敵
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NAME:ゴブリン
称号:ゴブリン召喚士:ダンジョンマスター
称号獲得条件:獲得済み:ゴブリン召喚士:魔物一体を、所有する召喚杖によって召喚する。
ダンジョンマスター:召喚杖を所有する魔物が意思を持ってダンジョンマスター不在のダンジョンに立ち入る。
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「よーし、無事に集まったかー」
僕の呼びかけに応じたスライム共5体が、無事にダンジョン入り口まで戻ってきた。途中魔物にエンカウントしてしまったスライムも、気づかれずに戻ってこれたようだ。
僕らはまだLV1。
例えクソザコモンスターのスライムと言えど、一体でも戦力を失うのは大きな痛手となる。出来るだけ慎重を期し、万全の状態でモンスターを確実に仕留めねばならない。
そして、冒険者云々の前に、まずは最優先にLV上げをするのだ。
野生のモンスターは、いくら僕がダンジョンマスターとはいえ、言うことを聞かせることは難しいからな。あと今夜の食料。
ワンフォーオールオールフォーワン。
「スライム共聞いてくれ! 我らは弱い。だが、個々の力が弱くとも力を合わせて戦えば魔物の一体くらいは倒せるはずだ。幸いにもここは一階層。そこまで強いモンスターではないはずだ。だが油断は禁物。こんなところで死ぬようなザコは、僕のダンジョンにはいらん! わかったな? わかったやつは、ついてこい!」
とか言って、僕が真っ先に死んだら笑いものだな。
僕が鼓舞すると、スライム共は跳ねて返事をした。
「ぷるん」
「ぷるりん」
「ぶるん」
「ぶるりん」
「ぶるーり」
「ぶるぶる」
「……ん?」
スライムの返事を聞いて、なんか返事が1つ多いことに気づく。1、2、3……。あれ、一体多くない?
「……なんか6体いるんだが」
「ぶるぶる?」
一体のチビスライムがキョトンとする。ステータスがこいつだけ最低単位になってる。
HPMP攻撃力守備力素早さ運が全部1。
「そう、お前だ。お前は、だれだ? どこから来た?」
「ぶるぶるー」
一体のスライムは怯えている。だがステータスが見えること、敵意がないこと、僕に従っていることから、こいつは僕の仲間に違いない。
「ん? ……待てよ」
他のスライムのステータスを確認すると、なぜかその内の一体が新しく『増殖』スキルを覚えていた。しかもなぜかLVが2に上がっている。
「お前かー! しかし、なぜLV2に上がっているのか。こいつは別にモンスターにエンカウントしたやつじゃないしな……」
僕は今一度そいつのステータスを確認した。
NAME:スライム
LV:2
HP:8/8
MP:4/4
攻撃力:8
守備力:7
素早さ:8
運:2
スキル:『増殖』『粘液』『捕食』
「ふむ……。捕食、か。もしかすると、こいつはダンジョン内で何かを捕食したのかもしれん」
それがスライムよりも弱いモンスターだったのか、動かないモンスターまたは植物だったのか、はたまたLVの上がるアイテムだったのか。特にこのスライムから何か検知した覚えもない。
それともスライムって歩くだけで経験値が貯まるのだろうか?
「あー気になるなー! こいつ喋れないのかよ。不便!」
召喚杖も万能ではないのだ。しょうがない。
いや待てよ、そういえば『言語理解』スキルもあったような……。スキルポイント50くらい必要だったけど。召喚杖すげー。やっぱ万能だわ。何にしろ、LVを上げなければ話にならない。
「6体か……。この際、MP5を使用してさらに5体増やすのも手だが……無理だな」
気力的に無理だ。今の精神状態でMPを使い果たせば、僕はしばらく喪失感で無気力になるだろう。空腹と無気力の悪循環は計り知れない。それに今5体追加召喚したところで、スライムのステータスはオール1の最低レベル。それなら、自分の身を守れる程度の気力がある今の状態で戦闘に臨みたい。
「この6体でまずはさっき遭遇した敵を倒す! そして経験値を得て、LVアップと食料を確保する! 今日はそれで終了だ。スライム共、行くぞ! ついてこい!」
僕はスライム6体を連れてさっきエンカウントした野生のモンスターを討伐しに出立した。
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