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「モンスーッ!!」

「ハァ……ハァ……!! うおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」


左側のスライム1体の安否確認後の出来事。

戻り際、うっかり出くわしたホワイトボーン4体の群れ。


ホワイトボーン LV:10

ホワイトボーン LV:11

ホワイトボーン LV:13

ホワイトボーン LV:15


「「「「ゴ、シャァァァ……!!!」」」」


僕とガモス3体は逃げるスペースが開いているのを良いことに、戦闘を避け、全力で逃げ切ろうとしていた。


「……!」


『逃走』スキル『逃走』スキル『逃走』スキル、どこ、ない!!


『逃走』スキルなど覚えていないから逃げ切れないのかと思ったが、そんなわけはない。

単純に敵の『素早さ』が高く、差を広げられないのだ。


「こんな早いんじゃ、スライムが見つかったら、逃げるに逃げ切れないだろう……!」


前と右の通路のスライムがホワイトボーンにやられたのか定かではないが、仮にホワイトボーンに見つかったなら逃げ切れずに一閃されてしまうことだろう。


「やばいな……」


ちなみに、なぜ戦闘を避けているのかと言えば、単純に逃げ切れると踏んだからだ。別に戦っても良かったが、戻り道の通路はがら空きだったので、逃げの手を打った。


だが、無理そうだ……。


「モンスッ!!」


僕が反転攻勢をしかけるチャンスを伺っていたところ、ガモス1体が不意に僕に意思を訴えかけてきた。


「どうした、何か考えがあるのか……!?」


走りながら、ガモスに問いかける。


「モーン、モンスゥッ!!」


すると、何を思ったか、背中に載せていた『HP回復にんじん』を放り投げ、捨てようとしたので、僕は瞬時に『奪取』スキルを発動させて宙に舞うそれを空を裂いて手に収めた。


「おい、大事な食料だぞ。何をする……!」


「モーンスゥッ!!」

「うわ……ッ」


にんじんを捨てたかと思えば、今度は何を血迷ったか、ガモスが僕に突進してきた。……何の冗談だよ、こんな時に。僕はそれを躱す。


「やめろってマジで! 何を考えてる!」


ガン! 


「グハッ」


互いに話が通じないまま、僕はもう1体のガモスに背中から頭突きをかまされ空中で仰け反る。わけがわからん、もうどうにでもなれ!

僕はヤケになり、ガモスの考えに身を任せた。


僕の身体は宙を舞い、跳ねるガモスの身体に覆いかぶさる。


『怒り心頭』スキル発動。

『怒り心頭』スキル発動。

『怒り心頭』スキル発動。


それと同時に、ガモス3体が『怒り心頭』スキルを発動させる。


「モーンスゥ!!!!」


ガモスが次第に加速し、そのスピードを上げていく。

さっきまであんなに詰められていたホワイトボーン共との距離が広がっていく。


「そ、そうか……! その手があったか……!」


『怒り心頭』スキルはガモスの素早さを上昇させる能力。その素早さはLV:4ながらも僕やホワイトボーンの素早さをも上回る。


ガモス3体は跳躍力をフルに活かし圧倒的スピードでホワイトボーンの群れを引き離し、一気に仮拠点へと帰還する。

だが、ホワイトボーンを仮拠点へと誘い込んでしまった感は否めない。少しすれば、ここへ来てしまうのも時間の問題だろう。


「ガモス、右だ。右の通路へ突っ込め! このまま、2体目のスライムの安否確認へ行く!」


僕はガモス3体に命令した。


「モンス!」

「モンスゥ!」

「モーンスッ!」


ガモスが返事し、右の通路へ。やっと僕とガモスが通じ合った瞬間だった。






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