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手分け


NEW

NAME:スライム(召喚3体うち一体)

LV:4

HP:1/16

MP:1/8

攻撃力:10

守備力:9

素早さ:11

運:4

スキル:『増殖』『粘液』『捕食』


NAME:ガモス(幼体1体)

LV:4

HP:1/24

MP:1/13

攻撃力:20

守備力:19

素早さ:23

運:8

スキル:『怒り心頭』『毒突き』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕は通路の物陰から(ひら)けた部屋を覗き見、観察する。その後ろから、にんじんを持たせたスライム3体とガモス1体がじっとして僕の合図を待つ。


「ふぅ……どうやら誰もいないようだ。よし、進め」


「ぷる」

「モンスゥ!」


NAME:スライム LV:4

NAME:ガモス LV:4

 

新たに召喚したLV:4スライム3体とLV:4ガモス1体が周囲を警戒しつつ、にんじんを持ったまま大きめの部屋の内部へと侵入していく。

部屋にはホワイトボーンなどのモンスターは見当たらなかった。

部屋に入ると、部屋からはさらに前、右、左へと続く通路が分かれており、僕たちの進む道を困らせる。


「さて、どの通路を進むか」


僕はしばし考える。正直、どの道も怖い。気が引ける。本能的には左に行きたい気分だが、あえて右に行くという選択も出来る。猪突猛進で真っ直ぐ行くのも有りっちゃ有り。結局は、運だ。


「考えていても仕方がないな。それに僕は『運』という言葉があまり好きではない。なので、あえて僕はどれも選ばない。運というものに頼っていてはいけない。……考えたが、しばらく我はここに仮拠点を定め、これよりMP回復の儀に入る。探索は、スライム3体に任せることとする。ガモス、お前は我の儀の邪魔者が入らないよう、見張り役を任じる。前、右、左の通路はスライム3体にそれぞれ別の通路を行ってもらう。ただし、命大事に。これを第一とし、敵モンスターを見つけたら直ちに我に知らせ、脱兎のごとく帰還せよ。以上だ。なにか問題は? そこのスライム、問題はあるか?」


「ぷるぷるっ」


……スライムは身体を横に振るが、少し不服そうだ。

え、何が不服だ?


「何が不服だ? よい、言ってみよ」


「ぷるぅ」

「ぷるるり」

「ぷるりー」


3体のスライムが何やら話し始めた。

話の決着がついたのか、1体のスライムが持っているにんじんを下ろして、つんつんと捕食のジェスチャーをする。


「なに、そのHP回復にんじんを食いたいと?」

「ぷるぅ」

「ふむ、そうか……」


確かに現在スライムLV:4のHPは1だ。これを食えばHPが満タンになるから食いたいのだろう。基本的に召喚時、生成されるモンスターのHPMPは1から始まる。しかもスライムの場合、召喚時は形が小さめなので、攻撃力守備力素早さともに低く見積もられてしまう。通常サイズの通常ステータスになるまでは、約半日程を要してしまうのである。


「ふむ。だが、それを食うことで、お前は敵と遭遇した際、戦って勝つことが出来るのか? ここは第2階層。未知の世界。相手はつわ者ばかりで、最低でもLV:7以上はあるだろう。しかも相手が単独とは限らない。ホワイトボーン共なんか5体で我1体をなぶり殺しにしようとしたのだ。集団の可能性も大いに有り得る。LV:4のスライムごときでは、HPが1だろうと満タンだろうと、一撃で死んでしまうのではないか?」


「ぷ、ぷる……」


そ、それは……というような反応をする。


「にんじんは大事な食料だ。現在9本。もしかしたらこの第2階層には探せばまだまだにんじんや、それだけではなく未知の食材が眠っているかもしれん。もしもお前たちが探索でにんじんや未知の食材を見つけることが出来たら、それを食べることを1度だけ許可しよう。ただし、条件としてその場所を我にも知らせること。それだけは守って欲しい。よいな?」


「ぷーる!」

「ぷるりぃ!」

「ぷーるぷーるぅ」


スライムからやる気が見え始めた。どうやら、探索に行く意義が見つかったのだろう。モンスターたちだって食べなくても生活は出来るのだろうが、食べ物は食べたいのだ。


「ふむ、仕方がないな。では、1本を4等分してお前らに分けてやる! ありがたく思え!」


僕は大事なにんじんを1本ガモスの身体から取ると、杖の先端でポキポキと不揃いだが4等分に分け、食べさせてやった。


「これで少しは元気が出たか!」


「モンスゥ……」

「ぷるぅ」

「ぷるりぃ」

「ぷーるぷーる」


「なに!? まだ足りないだと! せっかく善意で1本やってあげたのに、足元を見やがって、贅沢な奴らだ。もうダメだ。あとは自分で探せ!」


「ぷるぅー!!」


僕は好意で大事なにんじんを1本あげたのにも関わらず、スライムとガモスたちに足元を見られてしまうのだった。




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