にんじん
NAME:毒スライム
LV:4
HP:9/16
MP:7/7
攻撃力:14
守備力:13
素早さ:15
運:4
スキル:『毒粘液』『捕食』『増殖』『隠密』
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「スライムたちが、さっきの戦いで疲弊しているようだ……。」
僕は小休憩の後、全員を連れて第2階層へと視察だけでも行こうかと思っていたが、スライムの状態が良くない。
キングデスラビットの猛攻をかわし続けていたのもあって、当のスライムたちはグダリとし疲弊しきっていた。
ガモスはあれだけ動き回っていたのに、比較的元気である。
「よーしわかった。スライム共は少し早めに我が仮の拠点へと帰り直ちに休憩を取ってくれ。第2階層へは比較的元気なガモスと余り戦闘に参加できなかったマヒスライム、そしてゴブリンである我の計5体で行く。毒スライムもデスラビットにやられた傷がまだ癒えていないようだ。それに突然変異した毒スライムはお前のみ。お前が死ねば、増殖も出来ず、せっかくの変異もなかったことになってしまう。それではいけない。だからお前も一緒に戻るんだ。わかったか?」
「ぷるるー」
「ぶるぅ」
スライム共、そして毒スライムは異論なしとでも言いたげに返事をする。
「それじゃあ、マヒスライム2体とガモス2体は我に付いてくるように」
「ぶるぶるー」
「モンスーッ」
「なんか遠足みたいだな……」
毒スライムとスライムたちとは第2階層入り口で別れ、僕たち計5体はさらに少数精鋭となり、第2階層への階段を下っていった。
コッコッコッコッ。
次第に第1階層が遠くなり、第2階層が見えてくる。階段は暗く、前が見えづらい。
「食いもん、食いもん、食いもん、寄越せ、食いもん、食いもん、食いもん、はよ、寄越せ」と階段を1段降りるたびに呟いていたら、第2階層へと到着した。
ダンジョン:第2階層
「なんか1階層より暗く感じる……気のせいか?」
第2階層は第1階層と比べてこころなしか薄暗く感じる。
両壁に灯っている照明の間隔が広くなっているからだろうか。
遠くが見えづらい。もしかすると何らかの対策を立てる必要があるかもしれない。
「マヒスライムが光ってるからか、マヒスライムの周りは見やすい。なるほどな」
光を作るとしたら、光魔法を覚えるか、それとも炎系魔法とその辺に転がっているもので提灯のようなものを作るか、マヒスライムを分裂させて視界を広げるか。召喚杖LV:3になれば炎系統か光系統かマヒ系統の魔物が選択肢に出ればそいつを召喚して明かり代わりに出来るかもしれないが、それは運になってしまう。
僕は周囲を見回して、『危機察知』スキルを発動する。
「思ったとおり、魔物の気配はなしか……」
『危機察知』スキルで詮索できる範囲はそこまで広くないが、付近には魔物の気配は一切なかった。
「ん? ……なんだあれ」
その代わり、奇妙なものを壁の根本の地面に発見する。
「もしかして……」
僕はおそるおそるそれに近づいた。
そこに生えているものをひっこ抜く。
「……き、きたー! これだ、これこそ、我の求めしもの。食材。野草。ダンジョンに潜って初めて目にするが、見るだけでわかる。匂いも悪くない。これは、食すことのできる食べ物だ。しかもこの形、見たことがあるぞ。お前、お前は……」
アイテム:『HP回復にんじん』
「そう……にんじん! 細長く、土に塗れていて、形も悪いが、紛れもなく、お前はにんじんだ。まさかこっちの世界でもにんじんがあるとはな。もしかして、キングデスラビットはこれを食べるために第2階層入り口付近にいたんじゃないだろうな。あり得る……。おお……しかもこっちにもあるじゃないか。うお、こっちにも。おい、お前達、見てないで周囲を警戒しつつ、この『HP回復にんじん』を取れるだけ取ってしまえ! こいつはしばらく我のディナーだ!」
「ぶるぶるー」
「モンスッ! モンスッ!」
マヒスライムとガモスは飛び跳ねて返事をすると、主人に良い格好をつけようとばかりにそれぞれが争うように『HP回復にんじん』を取っていった。
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