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私、メリーさん。  作者: iris
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五夜 残された髪の謎

前回のあらすじ「新たな被害者発生」

―次の日「警察署・鑑識部屋」―


「出たわよ……海水と似た成分があったわ」


鑑識の久美さんが持ってきた鑑識結果を見る。


「それじゃあ……メリーさんは今回の犯行時に海水を?」


「ええ。被っていた可能性があるわね」


「県内に海はありますけど……あのマンションからは少し遠いですよね?」


「ああ。それにメリーさんはどうやって中に入ったんだ?」


「女の子はパソコン画面からって……」


「バーーーカ!そんな訳無いだろう!相手は人間だ!何かしらトリックがあるはずだ!」


「そうね……そこには賛成よ。そんな非常識がアリなら多くの事件が謎の未解決よ」


「でも……」


あの子の証言は迷いなく、()()()()()()()()()()と言っていた。子供のいうことだからと周りは言うが……。


「とにかくだ!あいつは犯行直前に海水に関係する場所にいた。もしくは海水に触れるような仕事をしていたことになる。そして、セキュリティーが高い建物に簡単に入れる人物。これだけの情報があればかなり絞れるはずだ!いくぞ!」


「は……はい。久美さんありがとうございました!」


「私も少し疑問に思ったことが出来たから調べて置いておくから、分かったら教えるわ」


「はい。失礼しました」


私たちは鑑識部屋を後にして、雨が降る中、聞き込みへと行くのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―それから数日後「警察署」―


「出ないですね……」


「だな~……」


あれから、あれだけ特徴的な人物がいないかと探したが……見つからない。


「犯行もここ最近止まってるしな……」


「……そういえば、犯行の日時バラバラでしたね?」


「ああ……そうだな。確か4日間連続っていう日もあれば……2週間も現れない日もあったな……」


小見先輩が手帳を見て確認しようとする……が、近くにいた同僚の千葉さんからその答えが返ってくる。


「連続日数は最大4日、最低で2日……現れない期間はだいたい2週間ですね」


「ありがとうございます千葉さん!」


「いやな!俺達もその不規則な日数が気になってな……もしかして、何かしら理由があるかも!っと思って容疑者に出ている人達全員のここ2ヶ月の仕事の予定とか調べたんだけどな……何も出なかったよ」


「何もか?」


「ああ……まあ、相手が愉快犯なら何か規則があるんだろうけど……それが何かが分からねえな」


そう言って同僚は椅子に寄り掛かって天井を見上げる。その目は眠そうだ。


「少しは休めよ」


「そうだな……少し休憩してくるわ」


そのまま、同僚は缶コーヒーとたばこを持って部屋を後にした。


「まあ、気持ちは分かりますね」


「だな……」


犯人の手掛かりを何も得られずに約2ヶ月。警察としては精神的に参ってくる。


「本部長も上やマスコミからつっかれて、胃薬飲んでるぐらいだしな」


「はあ~~……犯人ってどんな姿なんですかね」


「さあな……」


そのまま、少しだけ静かになった。私はある人物を思い出して、その方に助言を仰ごうと思って立ち上がる。


「佐々木?どこへ行くんだ?」


「この前のマスターさんへ。何かヒントを得られるかもっと思って」


「……捜査内容を喋るなよ」


「はい。それでは行ってきます」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

―「喫茶・みくも」―


「大変ですね……」


「はい……」


私はそう言って、ホットココアを飲む。


「それでなんですけど……何かメリーさんで情報を得られないかなと思いまして」


「私の所へ……ですか?」


「はい」


三雲さんにはこれまで得られた情報で海と関係があるかもと話をしている。何かここから導き出してくれないかな……と、少しだけ期待をしているのだが。


「そうですね……メリーさんと海は聞かないですね……それなら磯女とか海坊主にアマビエ……人形には結びつかないですね」


「そうですか」


現実はそんなにあまくはないか……。


「何か……通常とは異なる事があればそれをきっかけに出来そうですが……」


「何時もと異なる……子供と遊んでいたとかかな……」


「子供と遊んだ?」


私の小言を聞いて、三雲さんが反応する。


「あ。すいません。これは内緒で……」


「その子供は何て?」


「え?えーと。お人形さんと遊んだ。って」


「メリーさんでそんな話は聞かないですし……その子供が夢を見ていたというのは?」


「それは……」


証明は出来ないし、相手は子供。夢かもしれないと言われれば何も言えない。


「……仮にですが、これが生きている人間ならかなりの愉快犯。相手が幽霊なら全く新しい幽霊と思ってくれれば」


「新しい幽霊?」


「恐らくですが……刑事さんは僕がオカルトに詳しいからその視点から何か得られないかとお考えですよね?」


「は、はい……その通りです」


「そして、それらは人間技とは思えない犯行だった……違いますか?」


前回の事件と今回の事件の詳しい死因はマスコミには伝わっていない。そのため、体の半分がぐちゃぐちゃとか、腕がもぎ取られたとかは極秘である。伝えることは出来ない……しかし、何かきっかけを得るためには多少なりとも本当の事を言わないと……。


「詳しい事は言えませんが……ええ、まあ……」


「それなら、今回の犯人はオカルトらしく幽霊……いや、新たな都市伝説として仮定してお話させてもらいます」


「……お願いします」


「まず、被害者たちの家への侵入方法ですが最初の事件のあの映像が録画映像では無く、そのまま流れていたとしたら……侵入方法はパソコンからとなります。そうなれば、どんな場所も関係ありません」


「あの~……何件かはパソコンがありませんでしたけど……」


「なら、ネットにつながる機器が近くにあった。スマホやタブレット、最近ではゲーム機をネット回線につなげているご家庭もあると思います」


「……」


確かに被害者全員が何かしらの方法でネットを見ていた……そして、この情報も流れていない。


「そして、幽霊の登場方法はメリーさんの黒電話をなぞっている。ただしそれを伝える方法がメールという手段になっている」


「はい……」


「そして、最後に球体人形が現れて……被害者を驚かす、または殺害のどちらかを行う」


「そうです……ね」


「つまり、この都市伝説は、メリーさんの黒電話の進化版と考えられます」


「し、進化版?」


「まあ、呪いのビデオがネットに流されてユーチューバーになったとかのアレの類です」


「な、何の話です?」


三雲さんがかなり驚いた表情を見せている。


「まさか……そこまでとは……」


「え?有名何ですか!?」


「CMもありましたし……シリーズ化して今現在でも漫画になったりしてますよ……」


「そうなんですね……知らなかった」


「私としてはあなたのような人の方が驚きですよ……気を取り直してですが、幽霊は先ほど話した一連の行為を行う事が通常となっています。そこまではいいですか?」


「はい」


「しかし……一件だけ異常な行動を取った」


「お人形として現れて子供と遊んだ……?」


「そういうことです。この都市伝説は回避方法が存在するという事になります」


「回避方法?」


「都市伝説の中にはある一定の行動を取ることで、それを回避出来るという物があります。先ほどの呪いのビデオの場合は一週間以内に他の人に見せる。後は有名な物だったら口裂け女の場合はべっこう飴をあげるか、ポマードと唱える。紫の鏡なんかだと成人式を迎えるまでに、その話を忘れろとか……」


「じゃあ、遊ぶという行為を了承したから何も起きなかった……?」


「まあ、その人形としばらく遊ぶという行為が発生しますがね。ただ、死ぬ可能性は低くなるかと」


「なるほど」


私は一息つけるために少し冷めてしまったココアを飲む。


「……お替わりはどうですか?」


「あ。いいえ。そろそろ戻らないといけないので……」


「そうですか……まあ、あまり気にしないで下さいね?オカルトは好きですが……今回の事件はシャレにはなりませんから」


「そうですね……あれ?」


「どうかしましたか?」


「いえ。なんでもありません。お会計をお願いします」


「そうですか?……分かりました」


お会計を済ませた私は喫茶店を後にして、警察署に向かう。ある作戦について先輩と相談するために……。

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