村を目指して
4人の様子です。
光達はセロの森を進んでいく。ライラの動きに十分警戒する。
「そう警戒するな。今は本当にしないさ。」
ライラは警戒していることには最初からわかっている。それでもあえて言ったのだろう。
「俺達が信じないのわかってないの知っていて言うか?」
「答えるのは自由だろう?」
見透かしたように答える。本当にリアラに何を考えているだと思ってしまう。
「私達がいなくなったあなたはきっと色々とひどいことしたのでしょうね。」
「……そうだな。色々としたよ。本当に……。」
どことなく寂しい表情をしているように見えた。光以外のメンバーはそれには気づかなかった。
(……今の表情はいったい?)
光はそのことを聞こうとする前にライラがとんでもない爆弾発言をする。
「あぁ、お前の父親も殺したな。そういえば。」
その発言と同時にヒルナがライラの胸元を掴みかかる。普段の穏やかな感じとは明らかに違う。
「本当にそれを言っているのですか!?」
「本当だよ。面倒なやつだったよ。」
「お父様の悪口は許しません!!」
「なら、殺すか?」
バシッ!
ヒルナがライラの頬を平手打ちをする。光には防げたような気がした。いや、防げたはずだ。
「これで、今回はこれで納めてきます。」
「ずいぶんと優しい王女様だな。父親と本当に似ているよ……。」
光はやはり表情にどことなく寂しい表情を感じる。今度はヒルナにも感じ取った気がした。
「この世界を救うために仕方ないことです。あなたの目的はわかりませんが、リアラ様が言っている以上はとりあえずは信じることにしまう。」
「その判断は正しいな。殺そうとしたらあなたを殺すところだったよ。私の目的を達成するまでは……」
その発言ともに周りの空気が重くなる。これは魔王が放っていた威圧だ。その威圧に光達はすくんでしまう。
「これはいつでも、私達を殺せるアピールかな?」
「事実を証明しただけだよ。勇者の女よ。」
「だ、だれが勇者の女よ!!私と光は、つ、付き合っていないだから!」
「ふふふ。冗談だよ。」
そう言って威圧を解除する。体が軽くなり再び動けるようになる。しかし、佐織は何をさっきは焦っていたのだろうか?
「いきなりでびっくりしたよ。」
「勇者のパートナーにしては情けないやつだよな。お前は?」
「本当に口が悪いな……。」
良樹はちょっと傷ついたような言葉を発する。
「それより進むぞ。日がくれるからな。」
ライラはそういうと平然と進む。光はヒルナ以外の3人
と距離を少し取る。
「ヒルナはライラのことどう思う?」
「おそらくは元魔王と言うのは間違いないと思います。」
「俺もそう思うよ。」
光もそれに関しては間違いないと思っている。奴隷の首輪と勇者として戦った光だから言える。
「ただ……ちょっと悪いやつにも見えないです。お父様を殺したと言うのに……私達の国を滅ぼしたと言うのに……。」
「俺もちょっと気になりました。表情がどことなく寂しいような表情と言うかつらい表情と言うか……。」
それに本当にヒルナの父親を殺したのかも見ていないからわからない。リアラともう一度話を聞かなければ行かない。
「ウオォォォン!」
ヒルナと話をしていると魔物が現れる。
「光、ど、どうするのよ!」
「そうだぞ!俺達は武器もまだないのに!」
佐織と良樹が慌てる。その魔物はオオカミみたいな魔物だ。光はとりあえず逃げることを考える。するとライラが前に立つ。
「お前も精一杯生きているのはわかるが、私には目的があるからお前にはチリとなってもらう。<ダーク ダスト>」
オオカミの魔物の周りに黒い小さい球体が現れる。そしてそれがそのオオカミにめがけて炸裂する。
「キャン!キャン!」
ライラの攻撃を食らったオオカミ魔物は去っていく。
「助かった……。」
「さすがだな……。」
「2人とも大丈夫ですか?」
腰の抜けた佐織と良樹に優しくヒルナが声をかける。
「お前ら情けないな。……それにしても私もまだまだだな。殺すことが出来なかった。」
光はその言葉に少し疑問に思ってしまう。
「本当に殺し損ねたのか?」
「私と戦ったお前ならわかると思うのだが?」
「……そうだな。」
光はそれ以上とりあえずは追求しないことにする。おそらくはあのオオカミの魔物はほぼ100%殺せたはずだ。ところが逃げるオオカミの姿を見たがほとんど傷をしてないように見えた。光は更なる疑問が出てくる。ライラは本当にヒルナの王国を本当に滅ぼそうとしたのか?そんなことを考えながら再び進み始める。そして村が見えてきた。
僕の世界の吸血姫と異世界の吸血姫の出逢いもよろしくお願いいたしますm(__)m