プロローグ
さらに新作です!
俺の名前は椎名 光。勇者として中1の夏に幼なじみの月島 佐織と日野 良樹と共に異世界に召喚された。
「ハァァァ!」
「甘いな!」
俺は魔王と決着をつけようとしていた。激しく攻防は数時間も続いた。そして………。
「所詮、勇者とはそんなものだ。」
「くそ……。」
俺は魔王に敗北したのだ。
異世界で国王に頼まれて魔王を倒す為に一生懸命修行をした。
幼なじみ2人よりも才能があると言われた。
それなのにこの様だ。皆から期待されて自惚れていたのかもしれない。
「お前は生かしといてやるよ。これをお前に嵌めてやる。」
「それは……奴隷の首輪!!」
奴隷の首輪とは着けた者の命令に従わなければならない。
「これはただの奴隷の首輪ではない。私が作成したより強力な物になる。」
「やめろ……。」
ガチャ
俺に奴隷の首輪がつけられた。
「その負け犬を地下牢に放り込め!」
「ハッ!」
「まだだ…。まだ、終わっていない…。」
「うるさい!黙れ!」
魔王の言葉で俺は黙ってしまう。さらに激痛が走る。叫びたい程に痛いのに叫びない。それからの日々は最悪のものだった。あらゆる雑用や魔族達による暴力を受けた。そして3ヶ月が経過した。
「ホラ!入れ!!」
「イタッ……。」
その頃には心も身体もズタズタになり壊れかけていた。このまま死んだ方が良いじゃないと思うくらいに……。
その時だった。
ドンッ!
「……なんだ?」
爆発音が聞こたような気がした。それからやけに騒がしくなったような気がする。するとこちらに近いてくる足音が聞こえる。魔族かなんか近いてくると思った。しかし、それは違った。
「光を助けに来たよ!!」
「大丈夫か?」
「佐織に良樹か…?」
そこにいたのは幼なじみの2人だった。
「傷がひどい……。これを飲んで!」
佐織は回復薬を光に飲ませる。すると傷が癒えていく。どうやら、かなり上等な回復薬を使ってくれたみたいだ。
「2人はなんでここに?」
「光を助けに来たに決まっているだろう!」
「そっか……。すまない。」
「気にするな!」
「そうだよ!今は皆が陽動で動いているだよ!」
俺の為にここまで動いてくれる人達に心の中で感謝する。もちろん幼なじみ2人に対してもだ。
「これからどうするだ?」
「国王に言われて北の塔に向かうように言われている。」
「わかった!行くぞ!」
「うん!!」
俺は神様がチャンスをくれたのだと思った。魔王にリベンジするチャンスをくれたんだ。たとえ、奴隷の首輪を着けたまま戦う事になってしまっても……。
そして3人は竜の背中に乗って塔に向かう。そこに居たのは王女のヒルナ アルテナだった。
「光さん、大丈夫ですか!?」
「俺は大丈夫です!ただ、奴隷の首輪が取れなくて……。」
「私に見せてください!」
ヒルナが奴隷の首輪を見る。ヒルナは解呪等を解く事を得意とする魔術師でもある。
ヒルナの国はリキア王国という魔法王国になる。そのリキア王国の国王がヒルナ王女の父でこの世界最高峰と言われる魔術師のジル アルテナ王になる。
女神の力とジル王の技術によってこの世界に3人は召喚されたのだ。
「ダメです……。これは父でも無理かもしれないです……。」
「そっか……。気にしないでください!俺の責任なので!」
ヒルナ王女が落ち込まないように言葉をかける。
「ところで今から何をするのでしょうか?」
「私もここについては詳しく聞いておりません。とりあえず、父に3人が来たら一緒に上の屋上の部屋に来るように言われています。」
「わかった!行こう!」
4人は屋上の部屋の前にたどり着く。その部屋を前には兵士がいる。
「父に言われて来ました。」
「ジル王から聞いています。ヒルナ様部屋の中心でお待ちください。」
兵士に言われて部屋の中心で待っている。しばらく待っていると……。
「「「「!!」」」」
床が光出したのだ。光達が召喚された時のように…。
「これは?」
「皆、聞こえているな?」
「お父様!」
ジル王の声が聞こえてくる。4人は何がなんだかわからない。
「まずは3人にヒルナを頼みたい。」
「お父様!何を言っているのですか!?」
ジル王の突然のお願いにヒルナ王女が叫ぶ。
「この世界はもうダメだ…。魔王によって支配される。」
「そんなことない!俺が魔王を倒す!」
「光殿気持ちは嬉しいが光殿の成長速度を軽く越すスピードで魔王が成長しているのだよ。」
「うそ……。」
ジル王の言葉を聞いて泣きそうな声で佐織が呟く。すると今度は良樹が質問する。
「じゃあ、何で光を助け出す作戦を?あなた方の兵士が大量に死んだじゃないですか!?」
「その答えは君達がここにいる理由だよ。」
「まさか……。」
光達はジル王の考えに気づく。ジル王は光達を元の世界に戻してヒルナ王女を生かす為に転移魔法を使うのだ。
「嫌です!お父様は私が嫌いになったのですか!?」
「好きに決まっているだろう!親より先に死ぬ親不孝者がおるか!」
「お父様……。」
光達はそれを黙って見るしかなかった。自分達にもっと力があればこんなことにはならなかっただろう。
「光殿、あなたには一番辛い想いをさせてしまった。国王として謝ろう。本当に申し訳なかった。」
「俺は……俺は……。」
「最後に国王として……いや、父として改めてお願いしたい。娘をあなた方の世界で幸せに暮らせるようにしてもらいたい。本当に頼む。」
「ジル王!俺は……!」
光が言葉を発しようとした時だった。周りが眩い輝きにより見えなくなる。そして元の世界に戻ったのだった。
僕の世界の吸血姫と異世界の異世界姫の出逢いもよろしくお願いいたしますm(__)m