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待ち伏せ


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 早朝から出発し宿屋を後にした。

 今、俺達はギルドというものを受けるために隣の少し大きい村にむかっている。


 俺達は横一列になって歩く。しかし昼間なのに、人がまったくいないことを不審に思いルルに聞いてみた。


「おいルル、人が全然見当たらないぞ」

「実はこのルートはちょっと危険で、山賊の縄張りから近いんです。時々金銭目当てで襲うことがあるんです」

「えっ!?なら今すぐ引き返そう」


 俺とキラは足を動かすのを止め、引き返そうとするとルルが大きい声で呼び止めてきた。


「大丈夫ですって!私の格好見てください。何に見えますか?」


 キラは首を傾けながら言う。


「ただの変態コスプレイヤーにしか見えない」

「なんですか変態コスプレイヤーって?どう見たって魔女でしょ!魔女!」


 ルルは自分の服を軽く引っ張り、アピールをしている。


「 山賊はわざわざ魔法を使う魔女なんか攻撃するほどバカじゃないですよ。これが魔女の特権なんですよ。それにこのルートはよく使っています」


 確かに山賊が魔法を使う強力な相手にわざわざ攻撃して損害が利益を上回ることはしないだろう 。


 俺はそれでも少し不安だったがルルを信じる事にした。


「よく使ってるルートなんだな」

「そうです。だから安心してください」


 話をしている間にキラが何かに気づいた。


「前から誰か来る」


 見ると1人の男が近づいて来るようだ。

 危険だと言われているこの道に1人で歩いてるのはどうも不自然に感じる。どうやらキラもそう感じたらしく銃に手を伸ばし、いつでも構えられるような体勢になっている。


 男は10メートル先で、止まった。フードのようなものを被っているので顔がよく見えない。杖のようなものをもっている。明らかに怪しい。


「あのーすみません。ここがどこかわかりますか?道に迷ってしまいまして」


 ルルは道を教えるために近づいて行く。


「ちょっと待て、ルル」


 すでに遅かった。俺とキラには緊張が走る。


「あれ、お嬢さんは魔女ですか?」

「そうです。もしかして貴方も魔術師ですか?」

「はい。魔術師と山賊を......」


 そう言った瞬間、男は素早くはルルの首を腕で押さえられた。俺達は銃を素早く構える。すると男はルルに杖を当てた。


「おっと、あんたらもその変な格好からして魔術師だな。少しでも呪文を言ったら、わかってるな。おとなしく杖を置きな」


 どうやらこの男は銃を魔法の杖と勘違いしているようだ。


 狙いを定める。この距離なら男の額に当てるのは難しくない。


「彼女を離せ、今なら見逃してやるぞ」


 俺の話を聞いた男は笑いだす。


「何言ってんだお前ら?置かれてる状況が分かってないな。なあそうだろお前達」


 すると道の脇の茂みから武器をもった山賊が10人ほど出てきた。


「最近、魔王軍に魔女を出すと大金を出すって言われてな。できればお前らも傷つけさせたくはないんだ。なあ頼むよ〜」


 愚かな男に対して最後の忠告をする。


「最後だぞ。彼女を離せ」


 俺は引き金の遊びが無くなるまで引いた。


「呆れたぜ。どんだけお前らは馬鹿なんだ」


 男がいい終わった瞬間に引き金を引いた。

 銃口から火が吹き、銃声が周囲の音を搔き消す。ボルトが後退して薬莢が排出され、金属音が周囲を響く。

 それと同時に男は糸が切れた操り人形のように男は崩れる。


 ルルは何が起きたのかという顔している。


 俺とキラは、すかさず周囲の山賊に向けて発砲する。セミオートは思えないほどのサイクルで的確に命中させる。それは一瞬であまりにも簡単に終わった。


 ルルはまだ状況を掴めてないようだ。


「へっ? 一体、何が......」


 キラは飽きられた様子だった。


「あんなに怪しい人に引っかかるなんてあきれた」

「それよりさっきのは何ですか?あなた達も魔術師だったんですか?」

「そう、実は私達は魔術師で、さっきのは世界で数人しか使えない魔法」


 キラがあっさりととんでもない嘘をついた事に戸惑ってしまった。


 俺は小さく囁く。


「おい、キラなんで変な嘘つくんんだよ」

「この文明レベルの人に対してまともな説明しても時間の無駄。魔法というのが一番しっくり来るはず」

「確かにそうだが、後々面倒なことになりそうな気がするんだが」


 ルルは魔法だと勘違いするとすごい興奮し始めた。


「実は、二人共本当はすごい強い魔術師なんですね。高速でしかも一切、口を動かさずに呪文を唱える人なんて見たことがありません。これならどんなクエストも楽勝ですよ」

「どのぐらい強いんだ?」

「無茶苦茶強いと思います。本来、強力な魔法を使うほど呪文に時間がかかりますが、この魔法はすべての魔法に対して先制攻撃ができます」


 といわれても、ただの銃が強いと言われてもなんかしっくり来ない。


 少し立ち話が過ぎた。


「キラいつものやつをやるぞ」


 俺達は死体を一体ずつ銃の先の銃剣で刺していく。そんな俺達をルルが見ている。


「どうして、死体を刺すんですか?」

「たまに死んだフリするやつがいるからな」

「なんか手慣れてますね」


 俺はトーンを落として「ああ......」と言った。


 死体を脇の茂みの中に入れて分からないようにした後、俺達はその場を去った。


 ーーーーーーーーーーーーーーー

 ニオブ村


 山賊に襲われたが、無事にニオブ村に到着した。村というより町に近い感じだ。中に進んでいくと、少し大きい建物が現れた。


「早速、ギルドに入りましょう」


 中に入るとそこに酒場とカウンターがあり、筋肉質の人や魔術師らしき人達がたくさんいる。彼らは俺達の場違いな迷彩服を凝視している。

 そんな事は気にしないルルの後を追って、カウンターの横の掲示板を見に行く。そこにはここの言語で書かれた紙がたくさん貼られている。どうやら会話はできても、文字を読めないようだ。


「今までのその様子だと、初めてですよね。ならこれですかね」


 ルルは掲示板から一枚剥がして、カウンターの受付嬢に持って行く。


「こちらでよろしいですか」

「はい」


 すると受付嬢はスタンプを押した。何かをノートに書き込んだ。どうやらこれで終わりらしい。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 俺達はその場を後にし、宿屋を探す。


「一体何のクエストを受けたんだ?」

「ベグル抜きです」

「なんだそれ?」

「キノコです」


 魔法が使えるルルがまさかのキノコ採りとは、少し驚きだ。


「でも、少し高価のキノコなんです。しかも比較的簡単に見つけられます」

「簡単に見つかりますなら、価値なんて低いと思うが......」

「実は、場所がモンスターの住処で少し危険なんです。でも貴方達の魔法を使えば簡単でしょう」


 ルルは橋の上で止まり、腰をかけた。


「今夜はここで野宿しましょう」

「宿屋を探してたんじゃないのか?」

「もう今日の夕飯を食べるもお金ありません。明日のクエストで絶対、ベグルを見つけないといけません」


 ルルは空腹で腹を押さえている。キラはそれを見てMREを出した。ルルは梱包された袋を見て、不思議な顔していた。


「これは何ですか?」

「これは食べ物。私はお腹すいてないからあげる」

「そうだったんですか。ありがとうございます」


 もちろんこの後、ルルは吐きだした。

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