第1話
入学式から早くも一週間。
それなりに友人も出来た頃である。
そう言えば、春は出逢いの季節と誰かが言っていたが…、確かにそうだろう。
…周囲で同性の恋愛模様が多発しているようなので、そう言った意味でもあると思うし…。
まぁ、この学校って美形率が高いから、多発するのは仕方ない事なのかも知れない。
私のように少しポッチャリ気味で平凡顔の人なんて、今の所見かけないからな~。
それに、10年前ぐらいに同性婚とかが世界中で認められたらしいし…。
スルースキルが高いらしい私は、同性が好きな訳でも差別的でも無いので、余り細かい事は気にせずのんびりマイペースな日々を過ごしている。
というか、今の所自分の恋愛に興味を持てないので、どうでもいいのだ。
「冬夜さん!茜様が呼んでるよ!」
その声で私は立ち上がり、考え事&まどろみから起こした委員長さんに礼を言って、さっさと教室の外で待っている義理の姉の元へ向かった。
我が義理の姉…冬夜 茜。
2年Sクラスで、校内でも有名人の一人で氷姫と呼ばれているらしい。
何故氷姫と呼ばれているのか…。
それは、風紀委員長としての仕事をしている内に、問題を起こした人達を容赦なくバッサリと言葉&態度で切り捨てるなどしていたかららしい。
まぁ、元々身内以外優しくないせいではないかと私は思っているけどね。
さて、そんな姉はといえば…少し機嫌が良さそうである。
「姉さん、何か用?」
でも、そう言った私の言葉に少し眉をひそめたけど…。
「姉様と呼んでくれない?」
どうやら、呼び方が納得いかなかったみたいで腕を組み睨んでくる。
普通の人だったら、この状況にたえられないだろうけど…。
「別にいいでしょ?…それで何か用?」
私は、妹だから平気だ。
…私達の様子を見ている人達はたえられなかったみたいで、少しぷるぷるしているけどね…。
「ハァ~、…まぁ、いいわ。今日は一緒に帰れそうだから…それだけよ」
…それだけ言って、恥ずかしそうに立ち去った。
「…一緒に帰りたいなら、素直にそう言えばいいのに…」
小さく呟きつつ苦笑してしまった。
しばらく、姉が立ち去った方を見てから教室に戻ったのであった。