過去の記憶<下>
今があるから、過去より楽しいのだ。
だから、もう起きたかったのに…。
しかし、この夢はさらに苦い記憶を私に思い出させる…。
あれは、祖父母に連れ戻されて1年後の話。
今年会う事になる義父達に会えていなかった頃。
私と母は礼儀作法をある程度覚え直したりしていた。
私は、母と会う時間が減り退屈していた。
知り合いのいない小学校に転校して、周囲はほとんど名のある家の子ばかり…。
ちょっと、転校する前の友達が恋しくなっていた。
つまり、ホームシックだったのだ。
祖父母も多少頑固だったけど、優しい所もあった。
他の青月の一族の人達もいい人達だったし…。
使用人もいい人達だったから、楽しいし不満はなかった。
ホームシックだった私は祖父母に中学校だけは、自分の行きたい所に行かせてくれるよう頼んだ。
孫娘が可愛い祖父母には、お願いに耐えられたのはたったの一日だけ。
そして、前の小学校の友人達が入る中学校に入学する事になった。
嬉しくて、より一層勉強などを頑張たが逆に頑張り過ぎだと怒られてしまったな。
そして二年後、13才になった頃。
義父と母の縁談話が進められていた時の事。
懐かしい友人達と再会し、日々が楽しかった。
そんな私の元に一人のおじさんが求婚して来た。
とある家の主催パーティー会場でその人は、母達がその男に気付くまで堂々と私を口説き始めた。
内容は、くだらない話だったので覚えていない。
ただ、恋はしたくないなと思ってしまうような内容だった。
私は、しばらく自分の恋はしたくないなと…。
その時から、私は現在まで一生独身でもいいやと思っていたのにね…。
運命は、分からないものだよ。