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第6話
寝てしまった緑を見ながら、先程の恋人に選んだ理由を思い浮かべた。
まさか、素直に話してくれるとは思ってなかった。
今回もはぐらかされると思っていたから…。
風邪を引いてたから話してくれたのだろうけどね。
(婚約者か…、まさか私がそんなものになるなんて、あの頃の私だったらきっと…。)
そう考えてしまったが、これ以上過去の記憶を思い浮かべないように、私も寝てしまう事にした。
そうしないと、思い出したくないものまで思い出してしまいそうだった。
私が冬夜に変わる前の事なんて、思い出さない方がいいのだから…。
そう考えていたせいか、夢を見てしまった。
とても懐かしくて、辛く悲しい私の始まりの記憶を夢で見てしまったのだ。
もう二度と思い出さないよう、気を付けていたのにな~。
やはり、思い出さないというのは無理があったかな…。