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緑<5>
結局、氷のジト目に耐えられず正直に喋ってしまった。
茜への気持ちなどは少しぼかして言ったが…。
何故か気付いてしまっていた。
「あらかじめ、いくつか予測してたし今の説明でだいたい分かっちゃった」
…侮れない子だ。
「ばれてしまったからには、婚約者になってもらう」
私の今の言葉に氷はため息をついた。
「始めからそのつもりだったくせに…。すでに婚約者になっていると父に言われて、知ってるからね」
私は計画が上手くいった事に何故か、少し後ろめたく思ってしまった。
私が黙っていると氷は、私の額に手を乗せた。
「…冷たい…」
冷たくて気持ち良かった。
「熱が下がってるけど、また、寝てね」
その言葉通り私は、目を閉じた。