表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が神ならば  作者: カラスキン
6/14

二人

それから俺はなすすべもなく1日1日、時を過ごした。俺は何も考えないようにしていた。

もしかしたら数字なんてなんの意味もなさない、ただの羅列なのかもしれない。そんなことだって考えていた。ただただ、俺は目の前の闇から逃げていた。

ついにあれから一週間が経とうとしていた。友の数字は1へと変化していた。

俺達は放課後、またあの丘にいた。

俺は口を開いた。「なぁ、この前言った話だけどさ」「何のことだよ」

次のセリフをいうまで、俺は何度もためらった。そのせいか気味の悪い間が出来てしまった。

「何もないなら、俺そろそろ帰るわ」「いや、待ってくれ」「だったら早く言えよ」

「お前の上にある数字、もう1になってるんだ」

「なんだ、またその話かよ。 俺は信じねーぜ」

「そうか…」


「ショウ。」「…どうした?」

「お前の将来の夢ってなんだ?」

唐突な質問に少し驚いた。

「まずは良い大学に入って、その後は大手企業に就職して、結婚もしたいし家族も作りたい。そんで老後はお金のことに困らないように必死に働いて…」

「そうか。」

「なんで急にそんなこと聞くんだ?」「…疲れないか? 後先考えるの。」「えっ」

「俺はなぁ、将来の夢なんかないんだ。だって俺達が生きてるのは未来じゃなくて今なんだぜ。

今を楽しめれば、もうそれでいい。」

俺は何も言うことは出来なかった。確かにそのとおりだ、コウ。

「ほら上見てみろ」

気づいたら辺りは暗くなっていた。空を見て俺は息を飲んだ。友は口を開いた。

「綺麗だな…満天の星空。」「あぁ」「星だって今を生きてるからあんなに光ることが出来るんだぜ。''日"を''生きる"、その二つが合わさって星って漢字が出来たんだろうな。」

妙に感心してしまった。

「このままずっとこうやって寝そべっていたいな」

そうだ、このままずーっとこうして…

「あっ!!」

突然、コウが叫んだ。

「ヤベー!門限過ぎてるし!!」「俺も過ぎてる!」「走るぞ!!」

二人は全速力で夜を駆けた。

全身脈動している。心臓が必死に俺の体中へ血液を送る。俺は必死に空気を取り込む。

俺は生きてるんだ。そしてコウも。今を生きてるんだ。

「じゃあ俺ここで曲がるわ!また明日な!」コウはそう言い残して交差点へと駆け出した。

「気をつけて帰れよ!!」…聞こえてねえか。

「…!!」俺は胸を抑えた。なんだこの動悸は…!?



瞬間、俺の前でものすごい音がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ