第九十二話「伝わる想いと壊すもの」
こんばんわ。
那祢です。
今回は少し話が進みます・・・・?
まあ、キーなる者がでます。
それは?
また後書きで。
それからまた月日がたった。
ヤスベはシャンメールが鍛冶修行でいなくなりジュリー先生一筋に。
ジュリー先生もヤスベの熱烈なアプローチにたじたじな様子。
カイルはアルムファイムとミリュン先生の二人を攻略対象としていたがヤスベが先生を狙うとなるとアルムファイムを止めミリュン先生を選ぶことにした。
選べる立場って羨ましいよな。
でアルムファイムはと・・・・・・・?
放課後。
僕は今、離れの教室にいる。
正しくは僕たちか。
僕を睨むアルムファイムと少し慌ただしいメドサ。
それと僕で話をしていた。
「ライローグ?なぜ私は勇者の妃として選ばれなかったのかしら?すぐ答えてくださらない?ねえ?」
「お、お嬢様の問いに答えろっ!」
僕の顎に手を伸ばすアルムファイム。
かなりの力だ。
血管が浮かんでいる。
その姿にたじろぐメドサ。
僕は何食わぬ顔で
「うーん。勇者の気持ちなんてわかりませんから。しかも僕、狐ですし。」
一応正直に思ったことを答える。
下手な言い訳を考えるのが面倒くさいし。
それと今のアルムファイム嬢に何を伝えても無駄だと思うし。
憎しみ・・・・・と言うより自分が選ばれなかったということの嫉妬なんだろう。
僕は彼らに情報を伝えるだけで彼らが・・・・勇者が誰を選ぶかは本当にわからないのだ。
「ふぅ。まあ、本当に使えない駄目狐ですね。えいっ!」
ー コン! ー
右手で頭を軽く小突かれる。
最初の頃は指輪が固く、当たった時は痛かった。
が・・・・今は慣れてきた。
まさかドMの才能がある?
いえ、それは・・・・・・・
レベルを上げたから。
そう思っていると・・・・・
「アルムファイム様!そんな狐に色々聞いても仕方ありません!そこの無能な貴方!お嬢様に謝罪の言葉を言うのです!」
少し慌てているメドサだ。
何時も強い口調でこちらを指差して批難するメドサ。
でも、今回は少し違っていた。
それに気がついた僕は笑いを堪えているが吹き出しそうになる
「殴られて笑ってられるなんて!気色悪い!メドサ、何とかしなさいっ!」
「はい!わ、わかりました!そこの狐、聞いてるか!!おい!なぜ笑ってられる!お嬢様の力になれなかったのだぞ!詫びろ!」
腕を組み構えるアルムファイム。
その前に後ろで手を組み威圧するメドサ。
だが、彼女は目を反らしてこちらを見ていない。
そんな対照的な彼女ら。
まあ、詫びろって言われたし・・・・
「アルムファイム様、すみませんでした!」
謝ってみた。
アルムファイムは嬉しそうだ。
メドサは困惑顔。
「誤りが足りません。今すぐ土下座しなさい」
「ライローグ、お嬢様の命令です!」
メドサは注意する。
僕は土下座をしながら
「アルムファイム様!すみませんでした!」
「もっと私を称えるようにっ!」
「ああ、素敵で美しい、アルムファイム様!申し訳ありませんでした!」
「私を恋しく!」
「麗しの美人商人のアルムファイム様!大変申し訳ありませんでした!」
「ならば・・・・・・」
そんな感じでしばらく全力で謝る。
アルムファイムの好きな言葉を色々付け加えて。
チラッとアルムファイムを見る。
褒め称えられ頬を赤くしながら満足気なアルムファイム。
その横に首を降るメドサ。
やり過ぎたかな?
すると・・・・・
「ふんっ。あなたみたいな雄狐になに言われても心には響かないけど気晴らしにはなったわ。メドサさん。今日は私、早く帰りますわ。で、そこの狐は正座姿でロープでぐるぐる巻きにでもさせて朝まで放置・・・・いえ、反省させときなさい。」
「はいっ!わかりました!」
とメドサに伝えアルムファイムは教室から出ていった。
静寂が訪れる。
ライローグを睨むメドサ。
蛇に睨まれた蛙。
そして扉が閉まり一分後。
時が動き出す。
「大丈夫ですか!?ライローグ!さっきの痛かった?」
いきなりメドサが近寄ってきた。
僕は・・・・
「大丈夫ですよ。何回も小突かれているから慣れました。で、メドサ。」
「何かしら?」
「喋り方、いつもと違ってたよ?」
「えっ!?」
「駄目狐って言わなかったし『貴方』って呼んでたよ。」
「あー。」
この会話で大体想像ができるだろう。
僕は最近彼女と彼氏彼女の関係になった。
それは結構時間がかかった。
最初は話さえ聞いてもらえなかった。
何回も話していくうちに自分と少し会話をしてくれるようになった。
短い会話から段々長文に。
三ヶ月くらいで気軽に話せるようにもなった。
会話の合間にメドサは自分にパンを渡した人の事を何回も聞いてきた。
知っていると確信してたそうだ。
なので答えることにした。
自分と。
「嘘だっ!お前の何処があの紳士に似ていると言うんだ!」
「だからそれは・・・・・」
「また私に嘘をつくのだな!やはりお前は最低だ!嘘で私の気を引こうなんて!」
「だから・・・・」
「お前の話は聞きたくない!去れっ!」
「うー!わかったよっ!見てろっ!」
イラついた僕は目の前で変身。
チャラ男がメドサの前に出現する。
「あ。」
「わかった?僕なんだよ?」
「あああ・・・・・」
「メドサ?」
メドサは驚き止まっている。
目には涙が・・・・・
そこからは・・・・・
「会いたかった!」
「ぐげっ!」
「さがしたのっ!」
力一杯のハグ。
頬のスリスリ。
そしてキス・・・・・は止めました。
彼女はそれからと言うものアルムファイムのいないタイミングを見計らい会話や甘えてくるようになる。
アルムファイムにはバレたくないようでいる時といない時のメリハリをつけているのだが。
今日の様な時が多々ある。
いきなりアルムファイムが入ってきたときは蛇固めを受けたことも。
「ライローグ?」
思いふけている僕にメドサが僕を呼ぶ。
「ん?どうしたの?」
「ライローグ、なに考えてたの?」
「いや、昔の事。メドサに会った時の。」
「あの時はご免なさい!私・・・・」
「気にしなくていいですよ。メドサに聞かれた時にすぐに答えればよかったのにしなかった僕がいけない。」
「いえ、喧嘩口調の私が!」
「いや、僕が・・・・・」
二人目が合う。
そしてしばらくにらめっこをして・・・・
二人顔を見合わせ笑い会う。
「今が幸せならいい。」
「そうだな。」
メドサが腕を組んでくる。
この教室でしかできないこと。
お嬢様の前ではメドサ。
「ふふっ。恥ずかしいな。」
そんな彼女の頭を撫でるのであった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
教室の隙間から誰かが覗く。
「幸せそう。」
頬を両手で覆いうっとりしている。
暫くして覗くのを止める。
「でもね、君は幸せにはならないよ?だって君は・・・・・・」
それは小さく
「・・だからね?」
そう呟くと放課後の闇に消えていった。
メドサと付き合うことになったライローグ。
しかし、それを覗いていたものが。
それがすべてを狂わせる・・・・
かもしれません。
次回もよろしくお願いします。
那祢でした。




