第九十話「見学場所は鍛冶屋と言うより工場?」
こんばんわ。
夏の暑さになってきましたね。
熱中症には気を付けてください。
(脱水症状には最近なりました。)
で今回は社会科見学後編。
鍛冶では何が起こるか?
また後書きで。
次の日の朝。
僕たちは目的のドワーフの大鍛冶屋に来ていた。
ー ガンガン! ー
ー ガキーン!ガキーン! ー
ー ジュー・・! ー
の繰り返しだ。
好きな人にはたまらないものだが興味がない人にはとことんつまらないだろう。
僕はどちらかと言えば前の方だ。
自分でオリジナルの武器を作る。
それはまさに男の夢。
最近増えたゲームにも大抵ある職種だ。
鍛冶屋と言うかかなり大きい工場と言ってもいいくらいだ。
刀や盾、槍に矢じりなどを何十人のドワーフが一斉に作業を行っている。
お喋りなキサラギだって・・・・
ー カーン!カーン! ー
「にゃっ!・・・・にゃっ!」
金属がぶつかる高い音が嫌なのだろう。
叩く度に鳴いている。
でも、作業を見る目は真剣だ。
アイツが・・・・珍しい・・・・
マリアン達はガラス作りを体験していた。
「マリアンさん、うちのステンドグラスはここで作りましたの。」
「・・・・・・」
「そうなんですかっ!さすがお姉さま!物知りですね!」
セオンが自分家の自慢をマリアンにしていたのだが何故か妹のファルスティーナが反応してしまった。
そのためか・・・・・
「ファルスティーナ!小さい頃、この話を家庭教師と勉強しませんでしたか!?」
「あれ?そうでしたっけ?でも私、家庭教師と勉強は・・・・・」
「あっ・・・・・」
セオンは気がついた。
ファルスティーナは家ではあまり家族から好かれていなかった。
そのため自分と違い家庭教師などから英才教育を受けていなかったのだ。
「ご、ごめんなさい。軽薄な発言でしたわ。」
謝罪するセオンに
「お、お姉さま!気にしなくて大丈夫ですよ!」
「でも、ファル・・・・」
「私はお姉さまに新しい話を色々聞けるから楽しいです。」
「あなたって子は・・・・・良い子ね。」
そっとファルスティーナをセオンが抱き締めた。
回りの生徒も感動しているが・・・・
「ぢょっどー!いっじょうげんめいガラスに息をぶぎごもうどしでだのに何でぞんな感動話ずるのよ!!」
涙でぐしゃぐしゃマリアンがツッコミをいれる。
「「あ、ごめんなさい。」」
直ぐに二人は謝る。
この熱い工房がしばらくは湿っぽくなるのであった。
場所は変わってシャンメールたち。
シャンメールはドワーフの作業に釘つけだ。
さすがに大きい巨人の熱視線を受け気になったのか。
「お嬢ちゃん、なんだい?!」
ハンマーで叩いていたドワーフが聞いてみることにした。
「あ、いえ。何もありませんわ。」
「ならさ、そんな目をするんじゃねぇな。」
「そ、そんな目?私、目付き悪かったかしら?」
「そういう訳じゃねぇ。・・・・まあいいや。」
しばらくハンマーを叩くドワーフ。
それを笑顔で興味津々で見ているシャンメール。
だからその目でみてんじゃねぇよ。
イラついているのか空気が悪い。
そう感じたのかドワーフを見ていた生徒たちは違う場所に移動した。
シャンメールだけを除いては。
「なあ、お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃん呼びは止めてほしいですわ!シャンメールと名前があります!」
「ならよー。シャンメールちゃん。」
「はい。」
「そんなに楽しいのか?ハンマー叩くの見てるの。」
疑問を再び聞いてみることにした。
「何を言ってますの?」
シャンメールは腕を組む。
そして、
「楽しいですわ!カンカンして水に入れてまた再び温めての繰り返し。武器の出来上がりには努力が付き物とわかるこの作業。私には魅力的です。」
そこ威張るところか?
そんな顔をしながら頭をかきむしりながら工房の後ろに行ってしまう。
「あっ」
失礼な事を言って機嫌を悪くしてしまった。
そう思ったシャンメール。
すると
「おーい!お嬢ちゃん。手伝ってくれ!」
工房の後ろでドワーフに呼ばれる。
シャンメールが向かうとそこには大きなハンマーがおいてあった。
「で、手伝うんだろ?お嬢ちゃん?」
ドワーフのニヒルな笑顔にシャンメールは
「はいっ!」
の二返事で答えた。
その後、二人は見学時間一杯まで作業することになる。
この中で伝説級があったとか無かったとか。
僕はキサラギとジュリー先生、クロエと三人で防具を見ていた。
「見てこれー!」
「キラキラしてるにゃ!」
「このネックレス魅力的ですねー。」
「これかわいいにゃ!」
「付属効果もついてるってー!?」
「で、この金額!安いにゃ!」
二人は大騒ぎ!
もう二方は・・・・・
「防具は軽装、重装悩むな。」
「私にはこれがある!」
「攻撃は最大の防御と言うがやはり防具も必要だよね。」
「私にはこれがある!」
「取り回しのしやすい盾とか・・・・」
「私にはこれが・・・・そろそろ人の話を聞け!」
背中の剣を見せながら熱弁するクロエ。
それを先程から無視している。
皆さん、忘れていませんか?
僕はその剣で瀕死になったのを。
「その剣、嫌なんだよ!鞘に入ってないしさ!どうせ妖魔対用なんだろ?」
「よくわかったな!これは対妖魔用武器、ザンギバソードって言うんだ。これで切られたものは魔力が使えなくなる。特注なんだよ。」
「なら僕に向けちゃ駄目だよ!僕は妖怪なんで即死だよ。」
離れる僕にクロエは気分がよくなったのか
「ライローグ。君なら刺さっただけでも大惨事だね。」
剣をこちらに向けて近寄る。
本当にそれは向けないでほしい。
僕はジリジリ壁まで追いやられる。
彼女の顔が一瞬笑顔になる。
嫌なことを思い付いた顔だ。
「ライローグ。切られたくないなら私にキスをしろ。」
彼女が手を差し出す。
手の甲にキス。
それは忠誠を誓うときにするものだ。
配下につけたいのか?
いや、悪ふざけなんだろう。
ならば!
「ちゅっ!」
僕はキスをした。
手の甲?
いいえ。
頬に。
「ふ、ふぇ?」
クロエが変な声を出す。
「これで満足かい?お嬢さま。」
アニメで見たシーンを再現してみたが。
クロエの様子を見ると
「い、イヤァァァァァ!!」
出入り口に走って逃げたしてしまった。
作戦成功!
喜んだ僕は後ろを向いてガッツポーズをとる。
が・・・・・・・・
「・・・・・・にゃにしてるにゃ?」
その後、キサラギにロープで繋がれ顔に傷を受けたライローグは大人しく見て回ることになったとさ。
お疲れ様です。
何にもないように進んだ社会科見学。
実は・・・・・
少し本編に関係します。
見学に同行しなかった二人は?
恋は?
二人の勇者は?
フラグは?
次回、少しわかるはず!
きっと・・・・・たぶん?
次回もよろしくお願いします。
那祢でした。




