第八十一話「主人公だからって許されません」
こんばんわ。
那祢です。
本編戻ってきました。
今回はヤスベ。
彼の性格が・・・・・
またあとがきで。
あっという間に夜。
寮はご飯時。
「ふふふっ!」
僕はこの日、この時間を楽しみにしていた。
何故なら・・・・・・
「ビッグボアのしょうが焼き定食」
今日の夜ご飯がこれだからだ。
ビッグボア。
大きな猪で・・・って前に説明した気がする。
焼くと豚肉よりジューシーでおいしいのだ!
しかも、食べ放題である。
服を着替え早速並ぶ。
ー トントン・・・ ー
誰かが肩を叩く。
振り向くか?
いや、振り向かん!
絶対こう言うときに呼ぶやつは面倒なこと。
肉を盛られるまで振り向かぬ!
ー ペシペシ! ー
呼ぶ力が強くなる。
絶対に振り向かん!
肉をある方みたいに
「うまいっ!うまいっ!!」
って食べるまで。
自分の番だ!
また呼び出そうと後ろの人が手を振り上げた瞬間、それをかわしておばちゃんから料理を受け取った。
やったぜ!
しょうが焼きだ!
ステーキの確率が多くしょうが焼きはたまに出る。
すべての配膳をもらい満足な僕。
席に着こうとキョロキョロした僕に
「お、おいっ!無視をするな!」
誰かが話しかける。
誰だ?
先程叩いて呼んだ奴だろう。
振り向くとそこには知っているやつがいた。
ヤスベだ。
「おい!無視をするな!」
「えー!」
「モブが主人公と話をするのを拒否するな!お前は俺たち勇者にアドバイスをする。それが役目だろ?」
「まあ、そうですけども・・・・飯ぐらいは・・・・」
「だから飯時前に話しかけたのにお前が無視をするから!」
「無視するって・・・・・」
いや、配膳をもらいに列に並んでるときだろ?
このヤスベは自分が中心で世界が回ってると考える人だ。
後ろに並んでいる人たちに迷惑かかるってわからない初歩的なおバカさんだ。
言葉にして伝えないとわからない人。
僕としてはかまわないですよ。
でもこれがバッドエンドのもとになるなら?
教えてあげるしかない。
「あの場所で話をしていたら他の生徒に迷惑かかるだろ?」
「迷惑って俺、主人公だし。そんなの・・・・・」
「主人公だからって関係ない。そんなこと考えているとヒロイン達にフラれるぞ?」
「はあ?そんなことねぇし!ヒロインと恋愛して幸せな家庭をつくるゲームだろ?」
この世界をそう簡単なものではない。
ハッピーエンドもあればバッドエンドもある。
前回のハッピーエンドからのバッドエンドもあるぐらいだ。
それをヤスベは知らない。
「ひとつアドバイスをあげるよ。」
「ん?」
「バッドエンドは勇者であっても死ぬ。」
「はあ?何言って・・・」
僕は真剣な顔をする。
「この世界で君も疲れや痛みを感じただろう?」
「ああ、それが?」
「ならばバッドエンドになれば?死ねば?そう、絶望と恐怖も感じるだろう。今いるヒロイン達もNPCもこの世界で生きているからね。」
「ゲームなのにか?」
「ゲームのキャラがこんなアドバイスするかな?君をご飯食べたいから無視をするかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヤスベは沈黙する。
そう彼は今、目の前でその事を体験している。
言うこと聞かないNPCに。
沈黙後・・・・
「ならこの後一緒にご飯を食べてアドバイスを聞くのは?」
提案してきた。
先程の威圧的態度ではなくフレンドリーに。
ならば僕も。
「もちろんいいよ。おかわりしながら今後の事を話し合おう。」
それから二人で攻略対象の話をした。
シャンメールとジュリー先生。
シャンメールに高圧な態度で怒らせた事。
ジュリー先生にアプローチしてものらりくらりで生徒にしか見てもらえなかった事など。
失敗談を話す。
それを聞いて僕は改善点を話をする。
「シャンメールは風紀委員だからちょいワルの方が・・・・」
「駄目駄目!彼女が好きなのはちょい悪ではなく回りに馴染めない不器用系男子だから。かまってあげたい、私が改善したい欲を出させないと。」
「お、おう。」
「ジュリー先生は何でも包み込む大人の女性だ。彼女は自分を引っ張ってく男性やいつも甘えてくれるかわいい系が好きだ。」
「ど、どっちがいいんだ?」
「僕的には甘える方が・・・・・おかわり行ってきます。」
「あ、どうぞ。」
おかわりを何回もしながら話し合った。
たまにイルフィスの視線も感じたが。
ヤスベが攻略法を納得するまで話をした。
「ありがとな。ライローグ。」
「いや。君達には幸せになって貰いたいから。」
そうしないと僕は・・・・・・
元の世界に戻れない。
戻る。
戻れるのか?
この世界から出れないのでは?
頭のなかで葛藤する。
「ライローグ?」
難しい顔をしていて心配したのかヤスベが声かけてくる。
本当は優しいヤツなんだけどな。
「大丈夫。色々考えていて変顔してた。」
「ならいいけど・・・・じゃあまたな!」
彼は配膳を片付け手を降り去っていった。
僕も片付ける。
「遅いよ!次はもっと早く片付けてね。」
イルフィスがそう言ってきたので
「ああわかった。」
と流すようにいいその場を去った。
また、好かれると面倒だから。
この世界から出るにはどうしたらいいのだろう?
アイツはこの世界から出してくれるのか?
考えてもしょうがない。
僕は部屋に戻る。
暗い部屋の中。
ライトのスイッチを探す。
たしかここだった気が・・・・・
手探りで探すと
ー むにゅっ! ー
「やんっ。」
「エッチ。」
柔らかさと声が聞こえる。
この声は・・・・・・
目を凝らすとそこにはマントをした女性が二人いた。
姉妹のヴァンパイアのセオンとファルスティーナがいた。
揉んだのはファルスティーナのだった。
「何してるの?」
「触ってる手をまず離して。」
「あ、ごめん。」
柔らかさからさよならバイバイする。
僕はこいつと旅に出る・・・・いやしないけど。
「で・・・・なんで二人いるの?」
「栄養足りなくて血が欲しいんだ・・・・・うわっ。」
「この臭いは!」
「どうした?」
セオンがいきなり距離をとる。
鼻をつまむファルスティーナ。
あ、そうか。
しょうが焼きにニンニク使っていた。
ヴァンパイアはニンニクを嫌うのだ。
「窓開けて!」
「早く歯を磨く!口臭に効く薬は!」
「服からも匂う!お風呂に行きなさい!」
それから彼女達に言われたことをこなしお説教される。
最後に血を吸われ去っていった。
そして、くたくたな一日が終わる。
疲れたよ。
暖かいお布団だ。
明日はきっといいことあるかな?
ねえ、○太郎。
布団の中で就寝するのであった。
過労死しそうな主人公。
頑張るしかないのか?
次回から恋愛ストーリーへ?
次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。




