第七十七話「触る、蛇の鱗と尻尾。その時巨人が見た!」
こんばんわ。
那祢です。
今回は登校中の話。
もし自分がこんなことされたら・・・・
やり返すと思います。
またあとがきで。
「げっ!?」
「うわっ!?」
朝一の登校。
僕は一番会いたくない人にであった。
アルムファイムだ。
種族はラミアでお金大好きな女の子。
別名『黄金蛇』
そう呼ばれれば聞こえはいいものだが・・・・・
「朝から貧乏ギツネと出会ってしまったわ!見ず簿らしい。メド、道の端へ寄せなさい!」
「了解しました。お嬢様。では。」
アルムファイムの指示でメドが僕に近寄ってくる。
メド。
正しくはイクン・メドサ。
彼女はアルムファイムのメイド兼同級生だ。
アルムファイムは赤い鱗。
メドサは緑色の鱗となっている
どうやら身分で別れているらしい。
一番上から紫。
王族の血筋に多いらしい。
次に赤と青と黄色。
貴族から出るものは大体この色達だ。
何故三つあるのか?
ラミア族の大貴族が三つあるから。
炎魔法が得意で情熱的な赤。
水魔法が得意で冷淡な青。
雷魔法が得意で愉快な黄色などと分かれている。
あと三つだと意見のバランスがよく国政の会議など重要視されている。
そして下位の黒、緑、砂色となっている。
そんなアルムファイムに頼まれたメドサはジリジリ近寄り僕の肩を触る。
「すみませんがお嬢様の命令ですので。」
メドサは僕を端に押し始めた。
力強くない。
ソフトタッチで押している。
優しいんです彼女。
「メドッ!何をしているのッ!」
「はいっ!お嬢様!!!」
押す力が強くなる。
でも弱いので歩いてあげる。
嬉しそうだ。
ぐいぐい道の端へ追いやられる。
僕に人権はないのか?
人ではないか?
妖怪権はないのか?
少し頭に来た僕は押している力に抵抗する。
「はうっ!?むー!!!」
メドサは慌てる。
だが構わず力強く・・・・・はないが力一杯押し返してきた。
やはりかわいい。
「なあ?」
「はい?」
「端へ来たからもう良くないかい?」
「あっ!そうですね。」
まだ気づかずぐいぐい押している。
ー あっ!そうだ! ー
そんな中、僕の心に少し悪戯心が目覚めた。
もしここで力を抜いたら?
僕は?
彼女は?
そんな邪念が囁く。
ぜひ!
僕は身を任せることにした。
「きゃあっ!」
「メドッ!!」
いきなり力を抜いた僕にメドサがのし掛かってきた。
計画通り!
ー ぷにょん ー
上半身は人のため柔らかいものが僕を押し潰す!
しかし下半身は・・・・・
ー ジョリジョリ・・・ ー
「いたたたっ!!!」
「す、すみません!」
固い鱗がおろし金の様に僕を押し潰す。
まさに天国と地獄だ。
「いたっ!ちょっと、退いてください!」
「分かっているんですがネックレスが・・・・」
「ネックレス?」
首にかけていたネックレスがどうやら僕のボタンに引っ掛かっている。
これはしばらく取れないやつだ。
「メドっ!何時までしてるの!早く行くわよ!」
「あ、はいお嬢様!うっ!」
アルムファイムがメドサを注意する。
こう言うのってあわてればあわてるほど絡まるんだよな。
でもこのままではメドサがアルムファイムのお叱りを受けるだろう。
ならば?
ー プチン! ー
「えっ?」
僕はネックレスが絡まっているボタンを妖術で剥がした。
ボタンなら後で縫えば良い。
僕の悪戯で彼女が怒られる所を見たくないからな。
驚いて放心しているメド。
このまま抱き合ってもアルムファイムは許さないだろう。
ならば・・・・・
ー さわさわ・・・・ ー
「ひやんっ!」
「なっ!!!」
可愛い声だ。
僕はメドのおしり辺りの鱗を撫でた。
メドは慌てて飛び起きる!
そして距離を取る。
「ライローグ!あなたって狐は!!!」
アルムファイムのお怒りだ。
よし、ターゲットは僕に絞られた。
「しょうがないよ。アルムファイム。そこに山があれば上るでしょ?」
「あなたが触ったのはお尻ですが!」
「お尻って山に見えるし。」
「見えません!どう見たらそのようになりますの!?」
「うーん。ならいいお尻があったので。こうなっちゃったらしかたがないよね?」
「なに言ってるんですか!して良いことと悪いことがありますわ!」
「なら一般生徒を端に追いやるのは貴族がする事か?」
「シャー!ああ言えばこう言う!」
「自分の過ちに気づかない方が怖いよ。」
僕とアルムファイムは睨み合う。
そこにメドサ。
「大丈夫です。お嬢様。ライローグは端に追いやりましたし。私のお尻・・・・は触られたぐらい何ともありません。」
プルプル震えているメドサ。
初めてだったのだろうか。
ごめんね。
「なら謝罪として勇者と親しくなれる方法を・・・」
「結構です!私はお金しか興味ありませんですから。」
「誰もアルムファイムにとは言ってないのだけど?」
「なっ!」
早とちりをしたアルムファイムは顔が赤くなる。
「はめましたわね!」
「いや、アルムファイムが間違えただけだよ。」
「いえ、わざとです!ライローグ!あなたって人は!」
「人ではありません狐です。」
「シャーーー!!」
蛇のこの音は威嚇または攻撃の音とテレビでやっていたな。
さっさと学校へいこう。
「じゃあね。メドサ。」
「あ、はい。」
メドサに挨拶して学校に向かう。
「ライローグ!私にはないのですのっ!!!」
アルムファイムが立ちふさがる。
とぐろを巻いてないためかなり大きい。
しょうがないな。
僕はアルムファイムの近くにより・・・・
「アルムファイムもまたね。」
「んっ!」
尻尾の先を撫でて挨拶した。
そして横を通り抜ける。
「あ、あなたって妖怪は!!!」
先程の怒り顔ではなく照れ顔なんだろう。
プルプル震えている。
それをみてその場を立ち去る・・・
「・・・・何していたのですか?」
「あ・・・・・・」
僕は見つかってはいけないものに見つかる。
あ、あなた様は!
巨人族の姫、シャンメール。
僕が今、この場に会いたくない巨人ナンバーワンの方だ。
アルムファイムも固まっている。
「・・・・・・ライローグ。今、貴方は何をしていたのですかと聞いているのですが?」
「えっと、あ、アルムファイムの尻尾を触っていました。」
「・・・・・何故、結婚前の淑女に触っているのですか?」
目が笑っていない。
アニメで見たあの巨人の歌が脳内でかかる・・・・・
完璧に大型巨人と目があったあれだ。
「・・・・・まだ隠してることがありますよね?」
シャンメールは僕を掴み上げる。
あー。
捕食される感覚だ。
「・・・・メドサのお尻の件は聞いていませんが?」
「み、見間違えでは・・・・」
「・・・・私はこう見えても両面2ですが。」
「あ、うぐっ。」
僕の握られていた手に力が入る。
美しい顔が近くなる。
「・・・・・私には言えないのですか?」
「言った所で・・・・・」
「ならば生徒指導室へ行きましょう。」
「えっ!ちょっと!待って!」
「待ちませんわ。女性に悪さする不届きもの。このまま放置に出来ません!」
シャンメールは直ぐ様学校に向かう。
あっという間に小さくなるアルムファイムとメドサ。
手を降ると降り返してくれた。
「シャンメールさん?」
「ん?何でしょうか?」
「力を緩めていただけないでしょうか?」
「断る。」
「えー。」
「・・・・・罰だと思いなさい。」
僕は直行で生徒指導室へ向かった。
そして、シャンメールに事の始まりを伝えるとすぐに納得して解放してくれた。
全て見ていたらしい。
なら早く出てきて助けてよ。
「もう、お尻や尻尾を妄りに触ってはいけません。分かりましたか?」
「はーい。」
「『はい』は短く!」
「はいっ!」
「では教室に向かいましょう。」
僕は彼女の胸ポケットに入れられる。
最初の頃に入ったな。
柔らかで安定感あって・・・・
ん?
でも前と違う感覚が?
前より少し揺れている?
まさかノーブラとか?
いや、この固さ。
しているな。
ならば何なのか?
それに気がつかないのがお約束。
教室に着くまでその振動に揺さぶられるライローグであった。
アルムファイムとシャンメール。
そしてメドサ。
いつの間に新たな人たちが増えました。
そしてライローグが選ぶ次の勇者婚約候補は?
次回はお休みします。
またよろしくお願いします。
那祢でした。




