第七十一話「これってターニアル、ルンの話だよね?」
こんばんわ!
那祢です。
今回の話は・・・・・
エンディングを選べないライローグの話。
どちらを選ぶのか?
それとも?
またあとがきで。
そして当日。
僕はあれからかなり悩んだ。
クロエの良いところ。
真面目で一直線。
思い立ったら即実行。
気になる相手にも果敢に挑む。
信頼できる女の子。
次にイルフィスの良いところ。
仕事など進んで行いよく頼られる。
自分の空間があるのか癒される方々も。
家庭的で優しく食堂のムードメーカー。
その二人のどちらかを選ばなければいけない。
二人の勇者に頼まれたこと。
僕は、どうしたら良いんだ!
頭を抱える。
クロエか?
それともイルフィスか。
僕の頭の中で二人のイメージがぐるぐる回っている。
「考えてもしょうがないか。なるようにしか成らないならば・・・・」
僕は卒業パーティーのしたくをする。
これが終わればいつもと同じ「アイツ」がやって来て話の内容をまとめ終わらせる。
・・・・・・・
今、気がついたけどこれって終わるのか?
何も無いまま僕はどちらかと普通に結婚する。
二人の勇者が世界を救う。
その後、僕は何年この世界で生きるんだ?
妖怪の寿命なんて学校では教えてくれない。
ー はぁー。 ー
ため息が聞こえる。
もう一人のライローグだ。
ー 早くクリアーしたいのはわかる。が進んで死にたいなんて思う奴は初めて見たぞ? ー
「まあ、確かにいないよね。でもすべて終わらせないとこの世界から出れない。ならば・・・・」
ー 自殺は多分「アイツ」は許さないぜ? ー
「わかっている。」
ー なにか不穏な事を考えているな? ー
「まあね。」
ー ならばお前に任せる。いくぞ! ー
「ああ、任せてくれ。」
僕は卒業パーティーの会場へ向かった。
パーティー内は凄く賑やかであった。
食べ物の量も飾りも今まで見た中で一番豪華であった。
「おっ!ライローグ!」
入り口近くで僕を待っていたのかクロエが駆け寄ってくる。
服装は・・・・・うん、素敵だ。
赤いドレスに足が少し見えるスリット。
多分本人は動きやすい物を選んだのだろう。
体の線がよく分かり、スタイルが強調される。
例えるなら情熱の薔薇と呼びたいぐらいだ。
遠くで見とれていた男性方に睨まれる。
僕は悪くないぞ。
声をかけなかった君たちがいけない。
「なに考えてるんだ?眉間にシワがついているぞ?」
そう言いながら僕の眉間をつつく。
「いや、綺麗だなって思ってさ。」
「なっ!?なにをっ!?」
「周りの男子達が君を見ていたよ。」
「あ、ああ。その視線は気がついていた。舐め回すような視線は特にな。」
先程見ていた男性方がビクッ!となる。
まあ、男だもん。
見たくなるさ。
風に吹かれて
「あ、スカートが!」
と聞けば多分何割かは目がそちらに向くはず。
僕だってその一人だと思う。
だから僕は
「見たい奴には見せつければ?」
「おっ!それ、いいね!ならば・・・・」
クロエは僕の腕に手をまわす。
まさにエスコートポーズだ。
「ライローグ!踊りに行こうぜ!」
「うわっ!ちょっ!」
僕はクロエに引きずられながらパーティー会場の奥にあるダンス広場に向かう。
クロエの柔らかい感触が!
ダンスってこんなに近づいていいのか!
動きがハイペースだが!
そして一時間ぐらい踊らされることになった。
「もうへとへとだよ。」
「だらしがないな。私が飲み物を持ってくる。」
「あ、ありがとう。」
クロエは飲み物を持ちにいった。
さすがの僕でもいつも鍛えているクロエのペースでは無理がある。
息を整えていると
「あっ!お待ちしてました。ライローグさん。」
人の集まりから一人の女性が抜け出した。
イルフィスだ。
真っ黒なドレスにキラキラのラメがついている。
まるで夜空の闇と星をイメージしたと言いたいぐらい。
「やあ、イルフィス。ドレス姿初めて見たので驚いたよ。」
「あら。・・・でどうですか?」
「うん。似合っているよ。まるで夜空を・・・ムッ!」
例えようとしたらいきなり指で口を押さえられる。
「先程、夜空に光る星のたとえを聞きました。是非違う例えでお願いします。」
「うっ!」
僕は言葉の引き出しを沢山開ける。
色々考えるんだ。
みんなが考えなさそうな。
絞り出した考えが・・・・
「まるで星やすべてを吸い込む宇宙のブラックホールのような・・・・・」
「ぷふっ!」
笑われてしまった。
一応沢山考えたのだけど。
「ごめんなさい。頑張って考えている貴方が可愛くて。」
「可愛い?」
「だって私のために色々考えて・・・・ふふふっ。」
凄く嬉しそうだ。
まあ、笑顔が見えたならいいか。
そう思い会釈をして離れようとすると。
「ごめんなさい。怒らないで。一緒に卒業パーティー回りましょう。」
腕を組んでくる。
先程のクロエと組んでいた逆の腕。
すると・・・・
「イルフィス、やっときたか。はい、ライローグ。」
クロエがやって来て僕に飲み物のグラスを渡してきた。
多分シャンパンかな?
透明でよくわからない。
「クロエさん、お待たせしました。でも私は最初から会場にいましたが?」
「あれ?そうだっけ?」
「はい、いろんな人と話をしてましたの。このパーティーの最後に・・・・」
「まさかあれがあるのか?」
「はい。詳しい情報ですから小間違えないと。なのでそろそろかと。」
二人でなにか話始めている。
なんの話だ?
ちゃっかりクロエも腕を組んできて両手に花の状況だ。
かなり男子達に睨まれてるんだが。
気にしないことにしよう。
そう思っていると・・・・・
「本日は皆さん、本校の卒業パーティーにご出席ありがとうございます。教頭のガベウルンです。」
教頭のスピーチが始まった。
お話好きな教頭。
十分ぐらい話をしている。
「・・・・・となります。さて長い話は終わりにして今からこちらの舞台で婚約発表会をしたいと思います!」
えっ?!
そんなの聞いてないぞ。
しかも初の試み。
僕はすぐに二人の顔を見る。
クロエはニヤリ顔。
イルフィスは微笑みを浮かべている。
・・・・・
この二人、知ってたな!
多分ここで発表することでどちらかを選ぶ。
そうしてエンディングに。
はかったな!○ャアっ!
君の生まれの不幸を呪う・・・・・
なんて言ってちゃダメだ。
どちらかを・・・・・・
僕に選べるのか?
そう悩んでいたときだった。
「勇者カイルの婚約者はターニアル。勇者ヤスベの婚約者にルン。そして貴族同士の結婚発表にうつる・・・・・」
ー バリーン!!! ー
いきなり後ろのステンドグラスが割れ一人、降ってくる。
小柄なので体型からして女性かな?
ガラスの破片が降ってくる。
それから逃げようと慌て人の並みが押し寄せる。
ステージ端まで追いやられる。
「ん?」
ガラスを割って入ってきた奴は動かない。
ー 怪しい。 ー
もう一人のライローグが声をかける。
「怪しい?」
ー ああ、考えてみろよ。アイツ何のためにあそこにいるんだ? ー
「警戒してるんじゃないかな?」
ー でも、目的があれば入ったらすぐに行動するはずだよな?だが奴は動かない。 ー
「それってまさか注目を集めてるしか・・・・・」
僕はすかさず逆方向を確認した。
そこにいるのはクロエ。
何者かがクロエに剣を振り下ろそうとしていた
「クロエ!」
そう思った僕はすかさずクロエのに覆い被さる。
振り下ろされた剣が僕にめり込む。
「ぐぎゃぁ!!!」
僕の体から煙が出る。
焼かれるように熱い!
これってまさか・・・・・・
『葬魔の剣』
学校で教えてもらったこの剣。
悪魔や妖怪、ヴァンパイアなどを一撃で葬る。
そう呼ばれついた名前だ。
大変危険なため閲覧などできず封印されていたのだが。
なぜこんなものを。
「ライローグ!ライローグ!!」
目の前で涙を流すクロエ。
傍らに近寄り震えてるイルフィス。
どうやら刺した奴が捕まったらしいな。
体が・・・・
熱い・・・・
僕の話はここでおしまい?
そりゃないよ・・・・。
エンディング・・・・見てないじゃないか・・・・。
「ぐ、ぐろえ、いるぶぃず。またね。」
また・・・復活する・・・・。
その時は二人をヒロインで勇者と・・・・
「「ライローグっ!ライローグー!!!」」
そう聞こえ、僕の体と意識が四散した。
そして僕はまた闇に包まれるのであった。
まあ本当はターニアルとルンの話なんだけど。
二人のその後はまた書きます。
イルフィスとクロエ。
両方選べなかったライローグ。
死がまっているとは。
次回・・・・・つづきます。
まだだ、まだおわらんよっ!
次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。




