第七十話「勇者たちの思いと卒パ」
こんばんわ!
那祢です。
ターニアル、ルンのストーリー。
もうすぐ終わります。
えっ!
クロエとイルフィスではないか?
間違っていないですが・・・・
またあとがきで。
卒業パーティー前日。
ノリノリで飾りつけをしていた僕。
そんな僕にカイルから呼び出しがあった。
大事な話があると。
彼から呼び出しは結構あった。
主にターニアルの情報収集だ。
だが今回は違うようだった。
学校の誰も使われていない教室。
そこで話をしたいと。
で今、僕はその扉の前にいる。
ー ガラガラガラ・・・・・ ー
扉を開ける。
そこにはカイルはいなくエルフの少女、ターニアルがいた。
「あれ?教室間違えたか?」
教室を見渡してもカイルはいなかった。
ターニアルただ一人。
「あ、ライローグ・・・・・」
僕の声に気がついたターニアルが振り向く。
うう・・・・
気まずい。
僕は彼女にかなり嫌われている。
昔に嫌がらせしたりエッチな事をしたり。
何も無いまま終わらせたい。
そう思った僕は「まわれ右」をして教室を出ようとした。
「まって!」
大きな声で呼び止められる。
いつもは出さないぐらいの声量だ。
そのまま帰るのは無理なんだろうな。
諦めてターニアルの方を向き尋ねた。
「えっと・・・何?呼んだ?」
「ごめんなさい、ライローグ。カイルに頼んであなたを呼んだの。」
僕は首をかしげる。
「頼んだって?」
「そう。私があなたと話をしたいから。」
ならば自分で呼んでくれるばいいのに。
そう口に出しそうだったが堪えることにした。
「・・・・・で、話って何?」
「まず一つ目、カイルとの出会いありがとうございます。あなたですよね?カイルに私と仲良くする様に進めたのは?」
ば、ばれてたか。
「そ、そうだけど。」
「・・・・・ありがとうございます。」
「えっ!」
ターニアルから感謝の気持ちを伝えられる。
そう言われたのがはじめてだったので動揺してしまった。
「あなたが彼にアドバイスしてくれたおかげで付き合うことができました。そして、精霊と契約の儀もあなたの情報のおかげで無事終了しました。私、カイルと卒業したら結婚をします。」
「おお!おめでとうございます!」
「・・・・・」
祝福の言葉を伝えるとターニアルは沈黙をした。
そして廻を確認してから深呼吸をして話し出す。
「二つ目。クロエの件です。」
「クロエ?」
「はい。クロエですが・・・あなたはどうしたいのですか?」
「どうしたいと言うと?」
「彼女は昔から執着心が強い女の子でした。どうしても欲しいものは他人からでも勝ち取る。勇者の件もこれがありました。わたしとルンの前で猛アピール?でもカイルたちは私達を・・・・」
なるほど。
クロエが屋上で騒いでたのはこれがあったんだな。
勇者を奪うことに失敗。
そのイライラの矛先をアドバイザーの僕に当てた。
その結果・・・・・
彼女に好かれた。
ふー。
まあ、嫌われるよりは・・・ましかな?
でもなー。
「・・・・と言うわけです。」
やばい!
話を聞いていなかった!
「なのでクロエをどうするんですか?」
「く、クロエとは友達で・・・・」
ー バンッ! ー
ターニアルが机を叩く!
「聞いていないのですか!あなたは!今、クロエの寄り添える相手はあなたしかいないのです!」
「だけどさ・・・・」
「でももだけどもありません!だからあなたが・・・!」
その時だった。
ー ガラガラガラ・・・ ー
後ろの扉が開く。
カイルだった。
「よっ!ライローグ。」
「あっ!カイル!」
片手をあげて挨拶をした。
そしてターニアルの横につく。
「まあ、うちの者と喧嘩するな。ターニアルも押し付けすぎだ。ライローグのしたいようにさせてやれ。」
「か、カイル!でも・・・・」
「デモはないだろ。自分でいってたし。」
「うっ・・・・」
押し黙る。
ターニアルもカイルには弱いようだ。
カイルはこちらを向く。
「ちなみにお前に伝えとくが彼女、お前の血を飲んでハンヨウだからな。」
「ハンヨウ?」
「半分妖怪。半妖だ。どうやらお前と共鳴しすぎてなったらしい。」
だから妖力が失ったのか!
ヴァンパイアや召喚獣みたいなもので仲間を増やすとかなりエネルギーを持ってかれると聞いたことがある。
なので僕の枯渇していた妖力。
半分をクロエに渡してしまったと。
「その責任を取れと?」
「いや、そうは言っていないさ。ただな・・・・」
「ただ?なんだよ。」
こちらを見ていたカイルが一度ターニアルを見る。
そして、
「彼女、実力ならこの学園トップクラスだ。それだけは覚えておいてほしい。さて話はここまでだ。また明日卒業パーティーで!ターニアル行くよ。」
「あ、はいっ!」
そう伝えて二人は出ていった。
要は僕にクロエを制御してほしいと言うことだろう。
そこまでクロエが危ないのか?
学園生活をクロエとイルフィスと一緒に過ごしていたのでそこまで感じないのだが。
卒業パーティー、クロエを誘うか?
そう思い廊下に出ようとした時だった。
「いきなりすまんな。教室に戻ってくれ。」
「うぇっ?」
扉の前にヤスベがいた。
そして教室に押し戻される。
「ライローグ。お前に頼みがある。」
「話?」
いつも偉そうなヤスベからの頼み。
嫌な予感がするのだが・・・・
「ああ。お前、卒業パーティーは誰と出るんだ?ワイルドなマリアンか?それともセクシーなセオンか?」
「いきなり何を聞いて・・・・・」
よく見るとヤスベの後ろに隠れるように一人いる。
ルンだ。
なんだか嫌な予感が・・・・・
「ヤスベ・・・・」
「話を続ける。もしいないなら・・・・お願いしたい人がいる。」
ルンがいるんだ。
多分相手は・・・・・・
クロエだろう。
「卒業パーティー、イルフィスをお願いしたい。」
えっ?
イルフィス?
お友達のクロエじゃなくなんでイルフィス?
「何で?」
つい何でと聞き返してしまう。
いや、何でだよね。
友達よりイルフィス?
「まあ理由はお説教後にたまにルンの事を話に行ったことがあってさ。お前並みにアドバイス受けてたんだ。ルンもクロエと仲が悪くなってからお世話になったし。」
「イルフィス、ルンの話を聞いてくれる。その時にライローグの事を聞いた。」
「てなわけだ。だからさ。相手がもし・・・・もしもいないならイルフィスを誘ってくれないか!たのむ!」
あのヤスベが!
プライドの塊のヤスベが頭を下げる。
出会った頃はあんなにチャラかったのに。
恩を受けた一人の女性のために。
愛するもののために。
「私からもお願いします。」
ルンもならんで頭を下げる。
あんなに嫌っていた相手に。
僕は申し訳なく思い・・・・
「二人とも頭を上げて!やめて!気持ちはわかったから!」
と直ぐに伝えた。
「今、クロエとイルフィス。二人のどちらか誘うか悩んでいる。だから・・・・」
「クロエ?クロエを誘うの?」
ルンがガバッと起き上がり驚いている。
「妖力失くなったの、クロエを助けるためだよね?」
「そ、そうだね。」
「そんな彼女、好きなの?」
好きか?
まあ普通かな?
彼女は僕に好意を抱いてるのは知ってる。
助けたからかな?
でも、吊り橋効果があったからと僕は思っているんだけどな。
ならイルフィスに対しては?
お風呂騒動や料理。
僕にだけ特別なのは好意を抱いているから。
二人の気持ちを無下にしてはいけない。
ならば、どちらかを選ばなくては。
うーん。
「わからないな。」
「「えっ!?」」
つい言葉が出てしまう。
「いや、どちらを誘うか分からなくなった。どちらも学園生活で一緒にいて過ごしていたから。でも、友達として接していたから恋人や婚約者候補としては・・・・」
本心を伝える。
すると・・・・・
「まあ、選ぶのはライローグ。お前さ。伝えたから帰る。行くよルン。」
「あ、はい!では、ライローグさん。」
ルンは僕に会釈して教室から出ていった。
残された僕。
二人の勇者たちに頼まれた二人の女性との卒業パーティー。
訳して卒パ。
エスコートで二人は選べない。
僕はどうしたらいいんだ!
次の日なんだぞ!
それから二時間、その場で考え込むライローグであった。
二つの天秤。
どちらかを選ばなければならないライローグ。
重りがなくなった天秤は?
そうバランスを崩します。
最後に選ぶのは?
次回は・・・・・
ワクチン二回目のためお休みします。
次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。




