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ユミファ物語 「勇者カイルと魔界の世界」

「あら?いらっしゃい!ようこそ!恋×戀モンスターラバァーズの世界へ!」


天井のスポットライトが光、少年を照らす。

中学生くらいの少年。

彼が俺を迎え入れる。


「恋×戀モンスターラバァーズ、訳して恋×戀モンラバ。君は誰と恋をする?それとも?君の力次第でハッピーエンドになったりバッドエンドにもなる。」


踊りながら語る少年。

とても嬉しそうだ。


「さあ!今日から君は勇者カイルだ!さあ!恋×戀ラバの世界へ旅立とう!!」


ー ふふふっ・・・・ ー


わらった?

そう思うと次の瞬間俺は飛ばされていた。


「ようこそ!恋×戀モンスターラバァーズの世界へ!」




俺はカイル。

半人前の勇者・・・・見習いさ。

戦士として師匠に鍛えられ魔族討伐で生活していたんだけど。

職業鑑定してもらったらどうやら「勇者」に変わっていたらしい。

戦士から勇者に変わるなんて驚きだけどね。

さらにその上の職業「伝説の勇者」もあるとのこと。

なれば国から認められるんだけど・・・・・

少し難しいらしい

王家の言い伝えには「真実の恋」と「くじけぬ心」、そして「立ち向かう勇気」が必要だ。

そう古い書物に書いてあると師匠が言っていた。

だから僕は「伝説の勇者」になるためにこの学校に入学したのだ。

なぜこの学校かって?


「たくさんの種族が仲良く生活するこの学校は「真実の恋」「くじけぬ心」「立ち向かう勇気」を見つけるのにピッタリじゃ!」


と師匠の提案なんだけど。

それでこの学校でそれを見つけることになった。

驚いたのはケンタウルスの女の子やラミア、蜘蛛の女の子にスライム。

人型で言えば巨人や雪女、ヴァンパイアなどもいた。

沢山の種族が交えるこの世界で俺はこの三つを見つけないといけない!

頑張れ俺!

そう思い青春は始まった。


入学式前、化け狐を草むらで見つけた。

俺は話しかけ直ぐに仲良くなった。

名前はたしかライローグと言っていたな。

クラスでは嫌われているが僕には女の子の好感度や情報をくれる存在。

かなり大切な役割で彼のアドバイスをしっかり聞く事にした。


彼が薦めるのは同種族の人間、ユミファ・ハルミン。

ユミファはモルファー出身でハルミン毛の三女だ。

年齢は十八才なのだが顔は中学生でも通るぐらい若く見える。

ただ体型に特徴があり・・・・

バストウエストヒップが


ー ボンっ!キュっ!ボンっ! ー


で男子にかなり人気があるようだ。

俺も悲しいけどそこにひかれた。

あと健康に気を使うようでニスの実をよく買っている。

ニスの実は野菜で紫色をしている。

野菜炒めにも単独で焼いても美味しい。

料理が好きなようで自作した歌を歌いながら作るのだが・・・・


「ニスの実~美味しくなるまで~待ちきれないの~♪」


オリジナルの歌を直ぐに作る。

しかも、あんまりうまくないのだ。

それは彼女に言えない秘密。

恥ずかしがりやで照れ屋なユミファ。

でも、宿敵ライローグとは言い争いをしたりする強さもある。

まあ、彼がユミファの嫌がる冷やかしをするのがいけないのだが。

ただ、彼女は困ると俺を頼ってくれるから。

止めないでみていたい。

そんな関係をずっと続けていきたい。

そう願う。


オリエンテーリングの時。

ライローグは先生に掛け合ってユミファと同じ班にしてくれた。

ユミファも楽しそうだった。

合宿。

海と山でみんな海を選んだな。

ユミファの水着は・・・・・

思春期の俺たちにはたまらなかったので遠泳で精神統一したよ。

男子の生理的現象だ!

聞かないでくれ。

花火を二人でしたの楽しかった。

運動会。

リレーで隣のクラスのシャーズとアンカー勝負。

かなりキツかったけど一位をとり逆転して赤組が優勝した。

ユミファが喜んで抱きついてきた。

あの柔らかさは幸せだ。

学園祭。

ユミファを誘い回り歩く。

射的や舞台を二人で見回る。

舞台で欠席者が出て替わりに俺たち二人が出る事になった。

姫の姿のユミファは綺麗だった。

そのときに初めて彼女にキスをした。

二人の頬は赤かった。

修学旅行。

近くの遺跡探索をした。

魔物が出てきてレベル上げにはちょうど良く近くには村があり温泉が湧いている場所だ。

俺は一度師匠と来たことがあったが。

今回はユミファが一緒なので楽しみだ。

まあ、班が一緒になっただけだけど。

彼女は俺が守る!

と思っていたけど彼女のメイスさばきを確認してそう思うのを止めた。

かなりの腕前。

時折僕に微笑むのだが少し怖いくらいだ。

ライローグはよく喧嘩できるな。

その後温泉の定番でドッキリイベントがあり仕組んだのはやはりライローグだった。

ユミファは怒っていたが俺はかなり幸せだった。

色々あったが最後の卒業パーティーがあった。

そのとき誓いの言葉と腕輪を渡す。

俺は伴侶としてユミファを選んだ。

ライローグには首輪を渡す。

ユミファは嫌がったが話をすると納得してくれた。


「やはり二人はくっついたか!」

「く、悔しいですがお似合いです!」

「ああ、勇者様。どうして彼女なんです!」

「皆の者、勇者カイルと僧侶ユミファの誕生だ!」


かなり壮大な卒業パーティーだった。

学園卒業するとすぐにユミファと結婚した。

君と永遠に続く幸せな家庭を作る。

そう約束した。


だがそれは長くは続かなかった。

長旅をしてたユミファが急に病で倒れてしまったのだ。

次の町に急いで走った。


「小さい町の為、病名がわからない。」


次の町へ!


「これは病気か?まさか!ここでは治らない!隣の国の教会に行くと良い!」


たらい回しにされやっとの思いで次の町へ。

俺は都市の教会に着く。

そして神父からこう言われたのだ。


「これは高度の呪いですね。私たちの力ではどうすることもできない。だが、前に呪いを解いた人がいましたね。たしか・・・・かけた術者を見つけて倒したとか。」

「本当か!そうすれば治るのか!」


俺は解決方法を聞き喜んだ。


「勿論です。あと、かけた相手を探す魔法を使い探すだけ。ただ、相手が術者です。呪いをかけられたらあなた様も死んでしまう。そのためにこちらの指輪をお付けくださいませ。」

「指輪?」


それは銀色で何気ない指輪。

露店でも売ってそうだ。

だがこれで防げるなら。

疑い無く指輪をしてしまった。


「ふ、ふははははは!馬鹿な男だ!大切な女のために躊躇いなく指輪をするなんて!」

「なにっ?あ、あがががががぁぁぁ!!!!」

「これで駒が揃いましたぞ。王よ。」


祭壇の後ろから男が出てくる。

その男はニヤリと笑い・・・・・

俺は記憶がなくなった。


だがそれが悲劇の始まりになった。

そう、人間種の国の王は勇者を手に入れた事で人間社会が世界を支配するものだと発言したのだ。

手始めに邪魔になる学園や隣国に攻めてきたのだ。

人間種は妖魔属を殺し続けた。

学校の中庭に積まれた死体の山。

生徒の半分はここにある。

巨人やエルフ、ドワーフは人間に似ていると捕まえられ魔法封じの呪文を施して資金として金持ちに売られた。

ケンタウロスはいたぶり殺されヴァンパイアは実験の材料に。

ラミアは食料、メデューサ先生や化け猫など弄ばれた後切り殺された。


俺はと言うと


「か・・カ・イ・・・ルッ。」

「・・・・・・ライローグ?・・・ライローグ!!!」



ライローグ、彼の名前を呼んだ。

俺の剣が貫いていた。

俺は友を抱きしめた。


「これは?どういうことだ?学園が・・・みんなは!!!」


俺は操られていたのだ。

だから俺は!!

自分に言い訳をする!


「カイル・・・俺の中に・・・たまった妖気・・・爆発し・うだ・・・。早く・・・離れ・・れ。カイル・・・俺の中に・・・たまった妖気・・・爆発し・うだ・・・。早く・・・離れ・・れ。」

「お前を残していけない!友達だろ!!!」

「君は優しいな。だから・・・」


ライローグの妖術が俺を包む。

それは彼が得意とした技でマヨイガに送るもの。

まってくれ!

友よ!


「ライローグ!!!おいっ!」

「さ・・・よな・・ら・・と・・も・・だ・・・」


彼の妖気が爆発した。

爆発は凄く周りにいるあらゆる物を飲み込んだ。

カイルの妻のユミファも跡形もなく包む。


マヨイガが開いたのは直ぐにだった。

なにもないさら地。

絶望の世界が一瞬に荒野になっていた。


「ねぇ。ライローグ?ユミファ?先生?みんな、どこ行ったんだ?」


道とは言えないところを歩くカイル。

上からなにか二つ落ちてきた。

それを拾うと・・・

俺は絶望し怒りと憎しみに覆われた。

そして悲しくて泣いた。

一つはユミファに送った婚約腕輪だった。

彼女はこの爆発に・・・・・

もうこの世にいないと。

もう一つは自分がライローグに信頼の証として渡した首輪だった。


絶望で俺の心は無くなった。

憎しみは人から違うものへ角まで生えた。

怒りは力になりすべてを砕くものに。

悲しみに顔が歪み人でないものに。


俺は魔王になり人間のいるすべての国を滅ぼした。


そして何も無くなった。



「いかがでしょうか?良い話ですよね?素晴らしいハッピーエンドでしたよ?」


少年はおどける。


「その人の道が出来たなら良くても悪くてもかまいません。それがその人の人生なんですから。まあ人ではないですがね?人でなし・・・ってね?」


スポットライトが当たっている少年。


「では次回も良い物語(ストーリー)でありますように。頑張ってください。」


そういい消えていった。

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