第六十二話 「脅かし失敗!」
こんばんわ。
那祢です。
今回は妖力を取り戻すため。
頑張って脅かします。
方法とは?
またあとがきで。
保健室から出た僕は脅かす方法を考えていた。
まず足りないものを確認し始めた。
歌にのせて。
はー。
魔力はねぇー。
妖力ねぇー。
使えるもんは狐化だっ。
はっ!
人気はねぇー。
顔よくねぇー。
カイルとヤスベはくーるくるっ。
プライドねぇー。
時間もねぇー。
頼れる仲間が全くいねぇー。
オラこんなモブ嫌だ~。
オラこんなモブ嫌だ~。
妖力取り戻すだ~。
妖力取り戻したら、ここから逃げて。
何処かで馬飼うだ~っ。
はっ!
・
・・
・・・
・・・・
○三ノリで歌ってしまったが。
まあ先程の歌の通りで色々足りないのだ。
取り戻すにはどうしたらいい?
魂を取るか脅かすか。
魂を取る。
それは誰かを殺さなければいけない。
となると却下だ。
僕は仲間殺しはしたくない。
先程の悪い噂をしていたクラスメートだって嫌だ。
この世界はゲームと言ってもかなりのリアリティーがある。
カイルと戦った時はトラウマになるぐらい酷かったのも覚えている。
だからこれを繰り返す事は僕はしたくない。
次に脅かす。
脅かすにしても妖力足りないから巨大化や変化はできない。
となると・・・・・・
あの作戦しかないな。
教室を出た僕はあの部室に向かう。
そして僕は演劇部からキグルミを借りることにした。
正しくは拝借した。
時間は過ぎ放課後・・・・・・
「カチャポンですな!」
「「「きゃー!!!」」」
「真っ青ですな!」
「「「いやー!!!」」」
夕暮れの校舎で悲鳴が響き渡る。
国民的あのキグルミを少しリアルにした青い恐竜。
それが暗闇から脅かす。
どこかのドッキリで見たやつをそのまま真似てみた。
風紀が乱れるって?
ちゃんと先生には許可もらいましたよ。
なんて言ってって?
ハロウィーン近いので脅かし練習してますと言いました。
嘘はついてません。
いまは九月後半でだから!
部活で残っている方や先生、廊下で出会う人、全員を今のところ脅かしてます。
さて最後の一人は・・・・・
足音が聞こえる。
一人かな?
「そうなりますわね。」
「ですが・・・・」
どうやら二人のようだ。
僕は柱の後ろ構えて待つ。
足音が近づいてきた。
ん?
足音が大きく・・・・・
まさか・・・・・
柱からそっと覗く。
やつだ!
奴が来たんだ!
僕が脅かすのは無理な相手なんだ!
「わかりますわ。でも貴女とは釣り合わない。そう思いますわ。」
「はい・・・わかりました。諦めます。」
「ふふふっ。お利口さん。」
そこにいたのはシャンメールと巨人族の女の子。
確かエルグーラだっけ?
二人並んでた。
やばっ!
見つかったらかなりヤバイ!
僕はすかさず走り出した。
だが、
「あれはなにかしら?」
「青いキグルミですかね?」
間抜けな僕は廊下を渡って逃げようとしてしまった。
柱に隠れていたので逃げるには廊下を渡るしかないのだ。
しかも青色なのでかなり目立つ。
そのまま隠れていれば良かったのだが。
「不審者を発見!捕獲します。」
すごいスピードで近づいてきた。
五十メートル二秒ぐらい。
掴もうと手を伸ばす。
ー ブンっ! ー
頭の上で風を切る。
気分はまさに・・・・
進○の巨人だ。
「逃げないでっ!捕まりなさい!」
『おことわりだ!』
「逃げ道はないわ!大人しくっ!」
ー ブンっ!ブンっ! ー
二つの手が捕まえようと伸ばしてきた。
横へスウェーでかわし次を前転でかわす。
『あっ。』
キグルミで前転。
それは・・・・・
『このキグルミ、倒れたら起き上がれないやつだ。』
後ろに倒れてしまい起き上がれなくなってしまった。
二人はズンズン近づいてくる。
横たわる僕。
キグルミ脱げば逃げられる?
いえ、ファスナー後ろなんです。
だから・・・・・
ー ガシッ! ー
『痛っ!』
シャンメールが鷲掴みにする。
かなりの握力だ。
捕まれた僕はそのまま上空へ。
キグルミ越しで目が合う。
なんとなく手を降ってみた。
「フッ!」
シャンメールは笑う。
そして・・・・・
「エルグーラさん捕まえましたわ。青いカチャポンですわ?」
「カチャポン?ああ、入学式にいたキグルミの?ですがあれって勝手に動き出しますの?」
「いえいえ違いますわ。このカチャポンの中に人が入っていますの。中の方、今ファスナー開けますから出てきなさい。」
そう言いシャンメールはファスナーを開けた。
こうなったら出ないわけにはいかない。
床に置かれた僕は観念して出てきた。
「ら、ライローグさん!?」
「やはり貴方だったの。」
「あは、あはははは・・・・」
エルグーラは驚き硬直。
シャンメールはやはりとニヤリと笑っていた。
その笑顔はまさに氷の微笑だった。
キグルミ、使う必要があったのか?
シャンメールにつかまったライローグは?
どうなる?
次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。




