第六十一話 「妖力をとりもどせっ!」
こんばんわ。
那祢です。
暑かったり寒かったり。
埃でくしゃみしたり。
体調管理大変ですね。
皆さんもあと少しの夏、頑張りましょう。
今回は黒髪狐の続きです。
戻る方法はないのか?
またあとがきで!
「おいっ!見ろあの狐!」
「やだっ!犬みたいに真っ黒の毛だわ!」
「妖怪なのに人間庇って怪我したんだってー。」
「やだー。ダサいわね。」
「いい君だわ。嫌らしいことばかりしてくるし。」
「ぬらりひょんさまにまで見捨てられて。」
廊下を歩く僕を見てざわめいてる声だ。
気にしない。
僕は教室に向かう。
昨日はショックのため気を失いそのまま寮の部屋まで運ばれた。
シャーズは指を指して笑っていていたがブレイと一緒に部屋まで付いてきてくれた。
ー 一日寝れば戻るだろう ー
そう思いながらユニットバスで汗を流した。
いつもより早く眠り・・・・・
登校。
そして今に至る。
「ライローグ!情報を・・・・ってうわぁ!?どうした!?」
「ら、ライローグくん?な、なんで真っ黒に!?」
カイルとヤスベがやって来た。
「髪の色を染めていいと校則でありましたか!?私は見た覚えはありませんよ!」
シャンメールが上から怒鳴る。
まいったな。
一応自分の起きた内容を伝えると
「そ、そうだったのですか。わかりましたわ!クラスの皆さんに伝えてきますわ!」
そう言いながら走り抜けていった。
ちなみにスカートから見える布の色はピンクのストライプ・・・・・
「猫キック!」
ー メキョッ! ー
布を見ていたせいではない!
必殺技はかわせないのだ!
五メートルぐらい吹き飛んだ。
「いったぁ!痛いにゃん!足グギッてなって・・・・」
この声は僕じゃない!
むしろ僕は腹に決まって悶えている所だ。
顔を上げてみるとそこにはキサラギが転がっていた。
確かに猫の足でライ○ーキックすればそうなるか。
おっ。
止まった。
何も無かったようにスタスタあるいてくる。
「ライローグ、わかった、にゃん?!これが、わたしの心の痛みにゃ!痛かった、にゃ?」
ー プルプル・・・・・ ー
やばい。
足痛めた人が偉そうにふんぞり返っている。
痛みで震えているのに。
僕は笑いをこらえる。
見ないようにしよう。
「き、聞いてるかにゃ?お前はなぜキックをされたか、わからないにゃ!」
「わ、わからないよ。」
わ、笑いそう。
キサラギは痛みを耐えているためか言葉が途切れ途切れになる。
「妖怪は、妖力が命にゃ!それを勉強、するためここに、学校に通っているにゃ。ならそれが、無ければどうなるにゃ?」
「もしや、僕って・・・・・」
キサラギを見る
小刻みに震えているが厳しい顔をして深く頷いた。
これが意味するもの。
それは『この学校に入られない。』
「あと、妖怪は妖力が、ステータスにゃ!恋愛も就職も、結婚も妖力が大事になるにゃ!」
「ん?はいっ?」
えっともしや・・・・・
「キサラギさんやい?」
「な、なんにゃ?ら、ライローグさん?」
ノリの良さは好感を持てるが。
聞き捨てなら無い言葉があったような?
「いまの話だと僕はこのままでは結婚できないって言われている気がして・・・・」
「何を言ってるにゃ?」
「そ、そうだよね!勘違いだよね!僕はすぐに気になってしまう。僕の悪い癖。」
「そういってるにゃ!ライローグはモテないしカッコ良くないしこのままだと妖怪追放されちゃうにゃ!」
「な、な、なんだって!と言うか言い過ぎだよね!!!も、戻る方法は!?これ、治るんだよね!」
キサラギに掴みかかる。
そんな二人の間に一人入る。
「あぶないなぁ。」
ー ひょいっ! ー
ー ズドーン! ー
「ぐふっ!」
ヤスベだった。
ヤスベが僕を投げ払い廊下の床に背中から落ちる。
「ら、ライローグ!!」
「駄目だよ?女の子に掴みかかっちゃあ。もしかしたら僕の婚約者になりかもしれない方だから。」
近寄ろうとするキサラギをヤスベは片手で抱き寄せる。
左手にはルンも来た。
「ライローグがキサラギに暴行しようとしたぞ!」
誰かの声が上がる!
そうすると・・・・
「ライローグ最低!」
「やっぱり駄目ぎつねだな!」
「あんな奴が同学年にいるなんて!」
「女性の敵だわ!」
「ヤスベ様はかっこいいわ!それに比べて汚ならしい黒ぎつね!」
「近寄らない方がいいわ!病気持ってそう!」
一斉に罵詈雑言の嵐が始まる。
「い、いや。僕は・・・・」
カイルも遠くから見ている。
ターニアルと一緒に。
心配と言うよりも・・・・・がっかりした顔で。
カイルと目が合う。
僕はカイルに手を伸ばす!
「カイル、君ならわかって・・・・」
ー ヒュン!ゴンっ! ー
何かが僕の後頭部に直撃した。
僕は再び意識を失う。
暫くして僕は目を覚ました。
そこは真っ白な部屋。
見覚えがある。
「またいらっしゃいー。」
ジュリー先生だ。
人ではなくスライム型をしていた。
ジュリー先生?!
そうだ!
治療した先生なら直し方が分かりのでは!
「先生っ!」
「あらー。いきなりの告白~?先生困るわー?」
スライムの体がぷるんぷるん左右に動く。
お皿にのせたゼリーを左右に動かせば多分こうなるだろう。
「違いますよ!元に戻る方法!」
「あー。黒髪から金髪にする方法ー?染めちゃえばいいの・・・・・」
「誤魔化さないでください!何か知ってるんですよね!」
無表情のスライムはぷるんと揺れる。
無言。
沈黙。
一分ぐらいか。
ようやくジュリー先生が話し出した。
「無いわけでは無いのよねー。」
「やっぱりっ!」
「でもねー。これは難しいんだよー。」
「難しい?」
「一応話をしておくけどー。君の体には違う種族の血液が入っているのー。」
「違う種族?」
「横槍入れないのー。質問は全部聞いてからにしなさいー。で、君に入れたのはあそこにいたクロエちゃんと実験用で採ってあったカイル君の血液を少し混ぜてつくりだしたのー。」
・
・・
・・・
・・・・
「はあっ?!もぎゅっ!?」
「はい黙るー。」
いきなり口の中にゼリーが侵入した。
ジュリー先生右腕が入っている。
「しょうがないじゃないー?あなたの血液大量に流れていてセオンちゃんがまとめた血液再利用できなかったしー。適合するなら使うしかないよねー?それとも死にたかったのー?サヨナラ言わずに死にたかったのー?」
かなり怒っておられる様子。
そうだよね。
死にそうな妖怪を回復されたら文句を言われる。
それはお怒りになりますよね。
喋れないので首を横に降る。
「でしょー?あと私のわかることは妖怪+スレイヤー+勇者の血で姿の変化がおきてたのー。そしてスレイヤーと勇者の血液があなたの妖怪の血液と戦っているのがわかるぐらいかなー?」
てことは?
「もぎゅもーまいにももれなひにょ?」
「妖怪にー?半妖から妖怪になった事例は無いからねー。噂ならあるけど。」
「ふわさぁ?」
「そう。妖怪は人や生き物の恐怖や魂、生をエネルギーの糧にするでしょー?ならば・・・・」
「まはかぁ・・・・・・・・」
ジュリー先生はニヤッて笑う。
「人間の恐怖や魂を食べれば戻るんじゃないかなー?輸血した人を食べるとかー?」
僕の体はブルッと震えた。
ジュリー先生は言ってはならないこと言っている。
要するに僕は力を戻すならカイルやクロエの魂を取れと言っているのだ。
「君に出来るかなー?いってみよーやってみよー!」
ジュリー先生の言葉に頭に来た僕。
ー グチュンッ! ー
口に入っていたゼリー上の物を噛み切り吐き出す。
吐き出されたものがジュリー先生に戻る。
「ふざけんな!そんな事出来るわけ無いだろ!カイルやクロエは友達だ!」
怒鳴る僕に先生は・・・・・
ー パチパチ・・・・・ ー
拍手をする。
「実験成功ー。怒りで一時的に力が戻るみたいねー。」
「えっ!?」
ジュリー先生はスライム型からヒューマン型に戻る。
そしていつもの笑顔で
「ごめんごめんねー。実験してみたんだよー。怒りで妖力取り戻せるかー。」
「えっ?じゃあさっきの話は・・・・」
「半分ほんとで半分嘘だよー。エネルギーの話はほんとー。妖怪だからね。でもクラスメート食べろは嘘だよー。したら君を消滅させなきゃいけないしー。」
この先生と話をしていると疲れる。
でも恐怖をエネルギーにすればいつかは戻れるかもしれない。
「町や村に行き人食べれば・・・・・」
「黙っててください!」
ジュリー先生の口に保健室の枕を押し込む。
決意揺らぐでしょ!
「恐怖のエネルギー集めるぞ!がんばるぞ!」
「ふぐぅー。」
ノリでジュリー先生も手を上げる。
そういうとこは好き。
僕はアドバイスをくれた先生に一礼して保健室を後にするのであった。
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ー シャッー! ー
ライローグの寝ていたベッドの横のカーテンが開く。
一人の女性がいた。
「君は何ですぐに女性と仲良くなるのかな?私はしっかり貴方だけをみていたのに。ねぇ?ライローグ?」
保健室の物陰で見ていたもの。
彼女はそう呟き闇に消えていった。
いじめるやつって最初に体型いじるよね。
ワンパターンだ。
さて話を戻して戻れる方法を知ったライローグ。
恐怖を与えるにはあなたには○Pないのよ?
どうなるのか?
そして見ていたものとは?
次回もお願いします。
那祢でした。




