第四十八話 「ファルスティーナ編終幕」
こんばんわ!
那祢です。
今回ファルスティーナ編最終章。
絶望のライローグになにかが起きる。
その時、カイルは?
またあとがきで。
「んっ?」
僕は目を覚ました。
薄暗い部屋で光があまり差し込まない部屋。
そういえばセオンとあったときはこんな部屋だったな。
意識を失い何時になっていたのだろう?
携帯をポケットから取り出す。
ボタンを押すと・・・・
ー ピカッ! ー
「うっ!」
眩しさに目を細める。
何時だ?
ん?
彼らの帰還から三日たっていた。
三日間も意識がなかったのか?
回りの人に迷惑かけたな。
でも、先生じゃなく用務員だから学校が汚くなるだけか。
畑の水やりは生徒に任せてあるし。
僕は布団から出ようとする。
「ん・・・・んんっ・・・・・。」
お腹の位置に誰かが寝ている。
目を凝らすとそこにはファルスティーナがいた。
「・・・・・・・」
ファルスティーナ。
彼女は・・・・
セオンを取り込んでしまった。
勉強したから知っている。
融合したものを強制分離は出来ない。
アニメで見たドラ○ンボールみたいに解除できないのだ。
昔の偉い魔術師様が文献でそう残していたのを読んだ。
だから今の彼女はファルスティーナセオンではなく新ファルスティーナとなっている。
ファルスティーナ。
彼女は何故ここにいるんだ?
全く関係ないのに。
ファルスティーナを見る。
卒業パーティーの時、ドレスを着ていたが今回のはかなり豪勢なものだ。
頭には綺麗な宝石がついている。
姫様と呼ぶには申し分のないな。
あっ。
肩に大きな傷がついている。
たぶんこの傷を癒すために・・・・・
「うっ・・・・うっ・・・・・。」
涙が出てきた。
そうだ。
涙を流さないから辛いんだ。
我慢するから心が辛いんだ。
僕は泣き始めてしまった。
歯を食い縛りながら。
ただ一人。
その場で泣いた。
誰も見られていない。
布団の中で僕は、俺は泣いた。
・
・
・
・
・
・
「ふぅ。」
僕は顔を出す。
目が腫れているだろうな。
皆に見られたら何を言われるか。
布団に再び潜ろうとする。
すると、眼があってしまった。
「あっ。」
目を凝らすとそこにはファルスティーナがいた。
泣いていたので起こしてしまったんだろう。
「おはよう。」
「部屋は暗いから遅ようだけどな。」
「すぐひねくれる。」
「元からだよ。」
懐かしさでつい笑ってしまう。
「所で何でここにいるんだ?」
「それは心配だったからかな。」
「心配?」
「そう。だから目を覚ますまでいたんだよ。」
ファルスティーナがにこりと笑う。
可愛いな。
見とれてしまいそうだけど耐える。
彼女は勇者カイルの奥さんだから。
「でも、君は淑女だろ?男と二人きりはダメだと思うのだが。」
「カイルにも言われた。でも私のわがままを通してくれたの。」
カイルにとってたまったもんじゃないだろうな。
奥さんが男性と二人きりなんて。
しかも好意を持っていた男と。
「すぐ帰りなさい。」
「嫌です。」
「僕はもう大丈夫ですから。」
「そうはいきません。」
「だから、今は一人にして・・・・」
「嫌ですっ!」
ファルスティーナが服を引っ張る。
んっ?
なんだ?
なにかを伝えたいのか?
凄い意思が伝わってくる。
「貴方に嘘をついていることがあります。」
「嘘?」
そう言うと・・・・・彼女は暫く黙る。
そして決心をしたようで話し始めた。
魔神討伐はかなり過酷だった。
光の力を持つカイルも魔神の呼んできた四天王に苦戦をしていた。
一人、また一人怪我をしてファルスティーナも
守るだけに精一杯だった。
疲れが見えたその瞬間隙が出来てしまい私は怪我をしてしまった。
それは致命傷ではなかったが・・・・・
魔神戦ではその傷を利用され攻めに転じられなかった。
そこでお姉ちゃんが考えたのは私たちの融合でした。
どちらかの肉体が消え意思は二人残るという話でしたが・・・・・・
状況を打開するにやむ終えず私と姉は決心し融合しました。
私は力と精神力が増えた上、傷も治りそして魔神をカイルと倒すことができました。
倒したことが嬉しかった私はお姉ちゃんを何回も呼びました。
何回も何回も。
呼んでも呼んでも出てきてくれません。
そう、姉の意思が消えてしまいました。
カイルはお父様から聞いていて知っていたようです。
融合したらどちらかが消えてしまうこと。
私はカイルを攻めました。
でも、やむ終えないことで・・・・・・
「うっ・・・・・」
泣き始めてしまった。
知らなかった。
ではなく。
知らせてなかった。
そこにイラッとした。
「あと・・・マリ・・・・アン・・・・が・・・」
マリアン?
「マリアンがどうした!」
「マリアンが・・・・・亡くなりました。」
「な、亡くなった・・・・?」
「は、はいっ。治療中と言うのは嘘です。」
嘘?
そんな馬鹿な!
何故そのような・・・・・!
僕は思い出す。
話したことを
ー マリアンは右腕が吹き飛び、直ぐに回復で治療したそうだ。かなり脳にも衝撃のダメージを受けたとか。毎日回復魔法をかけているとのこと。大きい修復のため時間がかかるが治せないわけではないと魔道師たちは言っていた。帰ってくるなり治療に専念するため都市の病院に直ぐに入院させたそうだ。 ー
右腕が吹き飛び治療できず死亡。
ということは都市の病院にはいない。
死者一人は・・・・・マリアンだった。
融合したセオンは死者に入っていなかったのだ。
全てが嘘。
真○はいつもひとつ!
メガネの少年が言ってたなー。
二人がいないこの世界に何に興味があるんだ。
二人がいつでも帰ってきてもいいように家も買った。
まよいがもロック付きを作ることが出来るようになった。
椅子や机、家具だって空いている時間に作りました。
君たちがもめないように同じ食器を三つずつ買いもした。
そんな二人がいない世界に未練なんて。
いらない。
なにも。
破壊・・・・
「ライローグ?どうしたの?」
ー ビクッ! ー
体を震わせる。
ファルスティーナが心配そうにこちらを見ている。
いきなり声をかけられたから驚いてしまった。
驚いたから?
そうか。
驚いたのではない。
裏切られたから。
嘘をつかれたから。
こいつにも。
もう誰も信じられない。
ならばこの世界を。
すべてを壊してやる。
カイル。
きみには嘘をついた報いをさせてやる。
・・ない。
・さない
許さない!
ユルサナイ!!!
「ライローグ?」
「俺を・・・・・」
「どうしたの?ライローグ?」
「その名で呼ぶな!」
その瞬間、僕は俺は闇に包まれた。
魔力だろうか妖力なのか。
体に纏う負の感情。
絶望に呑まれるときかの者は生まれる。
悪しきもの、闇に侵食されるとき目覚める。
その名は。
「・・・・・・魔王?」
「そうだ。」
俺は笑う。
姿形も違うのであろう。
だが今はそんなのどうでもいい。
すべては復讐のため。
ファルスティーナをつかむ。
「きゃっ!!離して!!」
「だ、大丈夫ですかっ?ファルスティーナ姫!」
ファルスティーナの声に気がつき衛兵が部屋に入るが・・・・
「ゴギャッ!ハギャッ!」
ー ガシャッ!ベキベキッ! ー
一瞬で吹き飛び鎧ごと壁にめり込む衛兵。
「た、助けてっ!もどって!ライローグっ!ライロー・・・・」
俺はファルスティーナをまよいがと魔力で作った魔空間に放り込んだ。
次の瞬間、
「お前っ!何しているっ!」
ようやくカイルの登場だ。
そんなカイルに俺は・・・・
「我は魔王。ファルスティーナを助けたければ我が空間まで来るがいい。待っているぞ!勇者。」
「魔王!ファルスティーナを返せ!」
彼は剣を振る!
光の閃光が凪ぎ払われるが
寸前で俺は魔空間に消えていった。
そして、人間と魔王の戦いが始まった。
十数年。
人類が平和を取り戻すにかかった年月だ。
魔王が倒されたのだ。
戦いが終わる。
そう思った僕はなぜかこの町へ魔法で飛んできた。
昔、僕が作った家に。
ゆっくりと扉を開く。
みんな待ちわびただろう。
「・・・・ただいま。」
ー お帰りライローグ。 ー
「あ、いたんだ・・・・。僕ね・・・。うん、疲れたんだ・・・・。」
ー いっぱいいっぱい頑張ったのね。おつかれさま。 ー
「うん・・・。ありがと・・・」
ー じゃあ、お風呂にするご飯にする?それとも私? ー
「それは、全部・・かな・・。」
にこりと笑う。
ー ライローグ。私には? ー
もう一人の女性も来る。
ケンタウロスの女性だ。
「もちろん・・さ・・。二人とも一緒・・。」
ー 嬉しい!そんな男前なライローグ。みたことない! ー
ー そうそう、今日は鳥を捕ってきたからさ。たべようぜ!旨いから! ー
「期待・・し・・て・・る・・よ。」
ー おまたせ。沢山あったから料理、豪華にしちゃった。 ー
ー ほらほら、お皿並べてくれよ!冷めないうちにたべようぜ! ー
僕はお皿を並べる。
少し誇りかかってるな。
用意すると椅子に座る
ー さあ食べましょう。 ー
ー 三人でご飯なんて久しぶりね。 ー
ー そうだな。まるで夢のようだ・・・・・・ ー
ー いただきます。 ー
ー いただきます。 ー
ー いただき・・・ま・・・・・・・・・ ー
そこで動かなくなった。
息が途絶えた。
「ま、まさか・・・・」
入り口でただ一人。
光景を見るものがいた。
魔王が死ぬ間際に魔法を使った。
その時巻き込まれ一緒に飛ばされてきた者だ。
数分前
「何処に行くのだ!魔王!」
魔王は剣が刺さったまま家の中に入っていく。
致命傷のはずだ。
だが奴は動いている。
入っていくのは見たことのない一軒家。
魔王はただただ独り言をいいながら何かをしている。
一人で皿を並べて・・・・
そして姿が変化を起こす。
奴は元の姿に戻ったのだ。
最悪なことに自分の知っている者。
友達に。
「ら、ライローグ。お前だったのか?」
ボロボロの服を着た狐が椅子に座っている。
その服のポケットから携帯が落ちる。
かなり古い携帯だ。
そこには笑いあっている五人の姿があった。
ひきつった笑いのファルスティーナとセオン。
無理矢理に肩を組んでいるマリアンと嫌そうにしているライローグとカイル。
そして文字がはいっている。
ー 仲良し五人、ずっと友達だから! ー
それを見てカイルはライローグに寄り添い泣き続けるのであった。
悲しい終わりかたになりました。
少しごんぎつね展開?
ハッピーな感じにできなかった。
腰痛がいけないのか!
いえ、書き方がいけないのでは?
次回はまたアイツが出てきます。
またよろしくお願いします。
那祢でした。




