第四十七話 「待つ男の探し者」
こんばんわ。
那祢です。
今回は・・・・・
ライローグのお留守番と魔神討伐後の話です。
どうなるのか?
またあとがきで!
僕は君たちと別れてからこの学園で待つことにした。
一年目は学校の臨時教師として新しく入る後輩たちのケアやアドバイザーとして働いた。
かなり慕われあだ名で呼ばれるぐらいになった。
ただ、ライちゃん呼ばわりは恥ずかしい。
全校生徒から呼ばれるぐらいだ。
威厳がほしい。
二年目からは後輩が優秀だったので教師を辞め用務員として働いた。
学校を綺麗にするのはとても愉しく隅から隅まできれいにした。
更衣室の掃除の時に偶然居合わせた女子に
「知らない人に柔肌を見られた!結婚するしかない!」
と言われたが謝りと婚約者の名前を告げると
「ま、まあ今回は許してあげるわ!つ、次は無くてよ!」
と許してもらえた。
セオン、マリアン。君達はそんなに怖いものなのか?
なんて失礼なこともその時考えていたな。
あと畑作りも始めてみた。
まよいがの中で作ったのでかなり出来は良い。
キュウリなんて河童の・・・・・そういえば名前を聞いていないな。
まあ、河童と後輩達は喜んで食べてくれるんだ。
作り概もあるんだよ。
それで料理の特訓しているからさ。
ご馳走振る舞うから。
だから・・・早く帰ってきてね。
待っているよ。
僕はこの手紙を戦いに出てるセオンとマリアンに送った。
一年で二通。
二年に入ったので新たに一通送る事にした。
一、二回目は返事が来ていた。
ガーゴイルを倒したとか無詠唱で魔法が使えるようになったとか。
途中寄った村のご飯は美味しかったとか。
寝る前に僕のことを思い出しちゃうとか書いてくれるのは少し恥ずかしいけど。
彼女が元気と伝わった。
そして今回の三回目。
君達からの手紙が無かった。
届かなかった。
ファルスティーナとセオンのお父さんに手紙を届けている従者に近況を報告するよう指示するが
「状況はすべてが終わるまでお伝えできません。それが規則だから。」
と拒否された。
残念がる僕に従者は
「ただこれだけはお伝えします。皆さん、魔神の城についたと。なのであと少しで帰って来ますよ。それまでお待ちください。」
そう伝え帰っていった。
あと少し。
皆が帰ってくるまであと少し。
頭の中の不安をぬぐい去ろうと努力した。
それから1ヶ月。
そして魔神を倒したと新聞で報道が届いた。
勇者のパーティーは魔神を倒すのにかなり消耗したと書いてある。
怪我人は十二人、死者一名となっていた。
死者・・・・・一名?
ー ドクンッ! ー
胸騒ぎがする。
一名とは?
名前は!
年齢は!
何処の部隊?
騒ぐ気持ちが高ぶる。
「だ、誰なんだよ!死者って!」
僕は、俺はその新聞をグシャグシャに丸めていた。
それから三ヶ月。
勇者のパーティが帰ってきた。
怪我人は回復魔法を使い全員いるそうだ。
マリアンは右腕が吹き飛び、直ぐに回復で治療したそうだ。
かなり脳にも衝撃のダメージを受けたとか。
毎日回復魔法をかけているとのこと。
大きい修復のため時間がかかるが治せないわけではないと魔道師たちは言っていた。
帰ってくるなり治療に専念するため都市の病院に直ぐに入院させたそうだ。
ならば誰がいない?
安否確認を仕切る者に聞く。
・
・
・
・
そう、セオンだった。
セオンを見ていない。
「せ、セオンは?」
「・・・・・・・」
聞いても答えてくれない。
知らないのか?
勇者の結婚相手の姉だぞ?
魅惑の女性。
俺の婚約者候補の一人。
「なあ!セオンは!?」
ー ビクッ! ー
大きい声のため驚かせてしまう。
でも、彼女がいないんだ。
いつも、ストーカーぐらいしつこい彼女。
クラスでは魔法の才能がずば抜けて凄いんだ!
回復から攻撃まで全てを使えるようにしたって自慢していたんだ!
その彼女は何処だ。
「え、えっと。その件でしたらカイル様が自ら話がしたいと・・・・」
「話っ!?」
「ひっ!」
あっ。
驚かせてしまったらしい。
「ご、ごめん。」
「あ、いえ。私こそ。」
「なら直接聞くか。」
「お、お願いします。」
俺は話を止め勇者のパーティの中心まで向かう。
そこならカイルがいるから。
彼に聞けば解るはずだ。
急いで向かう。
まだか!
まだなのか!
カイルは!?
いたっ!
「カイルっ!」
「あっライローグ・・・・・」
かなり後方にいた。
彼も顔に傷がついている。
かなりの激戦だったのだろう。
「お、お帰り。」
「お、おう。」
な、なんなんだ。
このぎこちなさ。
「で、カイル俺の嫁は?」
「マリアンか?マリアンなら・・・・」
「いや、マリアンではない。マリアンの話は聞いた。セオンだ。」
「・・・・・・・・・」
カイルが黙る。
そして深呼吸をして話し始めた。
「ライローグ、お前は見ていなかったから分からないが魔神はかなり強かった。大きさは俺達より大きく巨人属より少し小さい。そして右手を凪ぎ払えば疾風が舞い、息吹は炎を吐く。そして様々な魔法を使ってきた。」
カイルは遠くを見つめている。
「反撃の余地なしに怒濤のごとく降り注ぐ攻撃。その攻撃に耐えきれずバリアを張っていた私の妻のファルスティーナがダメージを負ってしまった。」
凱旋していたのでファルスティーナも横にいる。
彼女は憂いの顔をしている。
だがそれとセオンと何が関係あると?
「そこで考えられたのはファルスティーナとセオン。この姉妹のさだめ、ヴァンパイア一族の掟に従うことにしたのだ。」
ヴァンパイア一族の掟?
なんだそれは?
セオンから聞いたことがない。
「知っているか?ヴァンパイア一族は子どもが多く存在する。それは何故か?理由を知ってるか?それはな・・・・・・」
言いづらいのか。
カイルは黙ってしまう。
何故?
それとセオンがいないのは関係が?
全くわからない僕にカイルの言葉が刺さる。
「融合するためだ。優れた者に劣化した者が吸収される仕組み。そして力をあげる。彼女らの父から聞いていないのか?結婚する時に・・・・」
・・・・・吸収?
セオンが劣化?
僕はファルスティーナを見る。
唇を噛み締めるファルスティーナ。
泣きそうな顔だ。
そうか。
これは嘘じゃないんだ。
セオンは・・・・・
「ライローグ!妹に手を出さないでね。」
「妹じゃなく私に。君を夢中にしてあげるんだから。」
「妹には負けたくないんだ。理由?秘密。謎が多いほど気になるでしょ?」
「君ってマリアンが好きなの?それとも私?選べないかしら?罪な方。」
「あなたって人は!あ、きつねは!」
「帰ってきたら私を離さないでね。絶対に。」
彼女と夜に沢山話したときの思い出が甦る。
笑い顔。
怒った顔。
すねた顔
照れた顔
この顔はもう見られない。
もう、この世にいないんだ。
ー ガクンっ! ー
そのまま膝からずり落ちる。
「お、おい!ライローグっ!」
僕はブラックアウトするかの様に気を失った。
負傷のマリアン。
吸収され消えてしまったセオン。
二つの絶望にぶち当たるライローグ。
次回は!?
またよろしくお願いします。
那祢でした。




