第四十六話 「パーティーは楽しめない」
こんばんは。
那祢です。
卒業パーティー。
訳して卒パ。
悪役令嬢なら断罪イベント何だが。
恋愛ゲームなら告白イベント。
ライローグはどうなる?
僕はパーティー会場についた。
ドレスコーデの皆がいる。
キサラギはドレスで来ると思ったが
「にゃに見てるのよ!?」
花魁が来ている着物にドレスをアレンジして着ている。
胸の強調された服に男子学生はメロメロのようだ。
チラチラキサラギを見ている。
「君の胸にまわりの男性たちが釘付けでそれで見ていただけさ。」
「にゃら貴方も?」
「まあ、気にはなるけど・・・・・」
ー ギューッ! ー
僕の腰に回された手に力が入る。
そこにはマリアンがいた。
アクセサリーは控えめにして蹄がギリギリ見えるぐらいの赤いドレススカート。
本人いわく「一色のシンプルオブベスト!」と言っていた。
ー ムニーっ! ー
次は頬をつねられる。
マリアンの逆方向にはセオンがいた。
青い光沢のあるドレスだ。
黒と悩んだらしいがマリアンと話をして決めたらしい。
二人は何故か仲が良いのだ。
自分が知らないうちに買い物や食事、お泊まりもしたと聞いていた。
そんな二人は卒業したら僕がどちらかを選ぶまで競い会うつもりだと話をしていた。
「カイルには持てる男はいいよな?」
と言っていたが。
君が告白すれば誰でも了承してもらえそうだけどな。
それは言わないでいた。
ファルスティーナに失礼だから。
それよりは先ず今やられていることを止めないといけないな。
「君も可愛いけどこの二人の方がもっと可愛いですよ。」
「「!!!」」
「ライローグ、言うじゃにゃい。でも可愛いって言ってくれたことは感謝にゃ!」
喜ぶキサラギに
「た、確かに着物と洋服の和洋アレンジは凄いですわ!勉強になります。」
「半馬の私にも似合う洋服あるのか?キサラギなら見つけてくれそうだが。」
とセオンとマリアンと食い入るように質問を始めた。
これは長くなりそうだな。
そう思いその場を静かに抜け出した。
前回は色々焦っていて感じ取れなかったから今回はパーティーをゆったり感じようではないか。
食べ物を集めてテーブルの恥で立食する。
スパゲティーと思ったら焼きそば!?
シチューみたいカレー?
何故かお好み焼き味のたい焼きもある。
デザートは・・・・・・
普通のゼリーだ。
牛乳寒天と杏仁まで?
僕は食事を腹一杯堪能した。
少し壁に寄りかかり消化を待つことにした。
「ぐー。もう食べれない。」
そう言いながらお腹を摩っていると
「やあ!ライローグ!」
急に呼ばれた。
振り替えるとそこにはカイルがいた。
「カイルじゃないか!どうしたんだ?」
「えーと、どうしたんだって聞かれると困るな。一応友達に会いに来てるんだけど。」
「友達?単に気になった女の子の情報がほしい時にしか呼ばないくせに。」
「な、なにおー!」
本当の事を言っただけなのにな。
こちらは情報をあげるだけでなにも得してないし。
「じゃあ他には?暇潰しするために来たんじゃないだろう?」
「ちっ。知ってたんじゃないか!君に紹介したい人がいるんだ。いいだろ?」
あーそのパターンか。
婚約者の紹介。
誰もが羨ましく思うこのイベント。
付き合えたのを回りに紹介する。
前回はマリアンの紹介があった様だが見ていられなくて逃げ出している。
今回は
「お待たせいたしました。あら?」
「待ってましたよ。ファルスティーナ。」
カイルはその人を呼ぶ。
そこにはドレスアップしたファルスティーナがいた。
黒い光沢のドレスにアクセントの白。
賑やかなゴスロリカラーと呼んでも可笑しくないくらい目立つ。
さらにカイルの服が白いタキシードだけに色が映えるのだが。
あっ!
ささやかに手を振っている!
ばれないように振り返したいが・・・・・
「うちの嫁が何か?」
カイルがやって来た。
手を振っていたのを気がついたのだろう。
「いや、何も。」
「じゃあ、何故、ファルに手を振っていた?」
「綺麗な女性に振られたら振りかえすのが紳士だと。」
「確かに、一論ではあるな。」
嫁。
そう。
カイルはとファルスティーナ。
そう、二人は卒業して直ぐに結婚することになる。
魔神討伐の任を受け死ぬかもしれない。
その為に絶対死なない様に念をかけるのだ。
ー 愛すべき者のため生き残る。 ー
だから僕もセオン達にしたかったが
「ふざけないで!貴方と添い遂げるまで死なないわよ。縁起でもない!」
「あたしが死ぬと?バッカにしてない?奥様になる女を信じなさい!」
と怒られた。
「カイル。」
「ん?」
「僕も行きたいが邪魔になるだけだ。だからお前に皆の命を預けてある。」
「あ、ああ。」
「だから、全員無事に帰ってこいよ。」
「・・・・・・」
カイルは黙りこんだ。
そして・・・・
「約束するよ。全員傷なしは無理かもしれないが必ずな!」
「頼むよ・・・」
僕は心配なのである。
何故かって?
朝起きてから胸がざわついているから。
何時あったかな?
ええと・・・・前あったときは・・・・・
ー ザシュッ! ー
痛っ!
また胸に痛みが!
その痛みでなにかを思い出しそうなんだが。
「どうした?ライローグ?」
「いや、胸が痛くて。」
「ファルの事か?やらんぞ?」
「失恋とかじゃないんだが。あといらないよ。」
あっ!
遠くで会話していたファルスティーナがこちらを睨んでる。
聞こえたんだろう。
特訓したからな。
確かにいらないは失礼か。
でもこのパーティーが終われば結婚する。
そんな女性に気を持たせたくない。
「ただ昔同じようなことがあった様だけど思い出せないだけさ。」
「そうか?ならいいけどな。」
そう話しているうちにファルスティーナがやって来る。
「お待たせしました。で、先ほど話が聞こえてきたのですが何を二人で話をしていたのでしょうか?私がいるとかいらないとか?」
あっ。
怒っていますな。
「ライローグ、私は回りの人たちと話がある。頼んだぞ?」
「ちょっ!カイル!」
カイルは颯爽と逃げていった。
残されたのは僕とファルスティーナ。
そこから弁解し続けた。
それはセオンとマリアンが来るまで続くのであった。
やはり楽しめなかったライローグ。
胸の痛みは何処であったのか?
それを知らずに流してしまったライローグの運命は?
次回はお休みしますので・・・・
「ファルスティーナ編最終章」第一は二週あとになります。
またよろしくお願いいたします。
那祢でした。




