第三十五話「頑張りたいお年頃」
こんばんわ。
那祢です。
今回はヴァンパイア姉様の話。
彼女の訪問で何かを思い出すライローグ。
それは?
またあとがきで。
「また来ちゃった。」
大事なことらしく二回繰り返して言い直すセオン。
そんなセオンを僕は・・・・・
直視できなかった。
何故ならば!
ー すごーい!パジャマだね!!君は何の友達かな? ー
あの獣友達が僕の頭のなかで騒いでいる。
セオンが来ているのはどちらかと言うとベビードールというのだろう。
まさに透けているのだ!
素敵なのだが・・・・・
俺は彼女にハンガーにかかっている俺の愛用の上着をふさっとかぶせた。
透けている服が見えないように。
「ちょっ!な、何でなの?男性ってこう言う服装が好きじゃないの?」
そんな俺の対応に慌てるセオン。
そして俺は肩に手を置き優しく語りかける。
「男の夢、それはロマンとも言う。叶わないから夢であって叶ってしまうと夢でなくなってしまうのだ。夢は追い続けるもの。今、手にいれてはいけないんだ。」
「えっ?」
「わからないだろ?わかるまで考えな。」
俺はセオンにそう告げる。
自分でも内容が解らない。
でも、これで乗りきるしかない。
そう言われセオンは暫く意味を考えていた。
「んー。」
けしてたどり着くはずがない答え。
それをただひたすら真剣に考えている。
ー 五分後 ー
そして何か閃いたのだろう。
「これって貴方が昔言っていた事では?」
「昔?」
「そう昔。スカートめくりをしていたクラスメートと殴りあいしていた時かしら?貴方ったら私や妹のスカートめくられたのに腹が立ち両者殴りあいの喧嘩になったの。」
「へぇー。そんなことが。」
「でね、その時、彼を掴み合いながら貴方がこういっていたの。『スカートからたまに見えるパンツのチラリズム。それはロマンだ!だが無理矢理めくり上げるのは男じゃねぇ!』って。」
そんなこと言っていたのか。
しかし、コイツのメモ帳見たときたしかスカートめくりで怒られていたような?
自分はして他人は駄目って何てわがままだ。
そう思い頭をかきあげた。
「ねぇライローグ。もしかして記憶、戻ったの?」
セオンは僕の状況を聞いてきた。
でも、僕は言えない。
その答えを言うことができない。
何故ならば僕と彼は意思の融合で一つになったか ら。
彼の体を僕が奪ってしまったからだ。
たまに言葉使いが僕からが俺に変わるときにはライローグの意思が出てきて発言しているのだ。
さっきの「服、パサリ」は彼がした事なんだろう。
「君のあの姿を見たから体が勝手に動いただけだよ。」
「そ、そうよね。簡単には戻らないわよね。」
誤魔化しの一言。
その言葉が彼女を傷つける。
ただ真実を告げれば彼女は多分僕の存在を消すだろう。
・・・・・ヴァンパイアだし。
・・・・・・・黒魔術知ってそうだし。
彼女は特にライローグの事が好きだから。
そう思いながらそっと彼女のショートヘアーを撫でる。
「えっ?ええっ?」
僕の行動にセオンは動揺する。
「あっ!ゴメンっ!何かしょげているように見えたから。」
「いえっ!昔もこう寂しかったり悲しかったりしたとき妹と二人こう頭を撫でられたなって。」
「そ、そうなんだ。」
直ぐに頭を撫でるのをやめる。
セーフ!
危ない危ない!
危うく女性に訴えられる所だった。
最近は簡単なボディータッチはセクハラの対象となっている。
気を付けなくてはっ!
「あっ・・・・」
頭から手が離れ寂しい声をあげるセオン。
駄目だろ!
その声は反則だ。
女性に慣れていない僕はそんな彼女にときめいてしまう。
つい頬に手を・・・・
そうこのまま・・・・
十八禁の世界へ。
ー いかせるかっ! ー
「ふにーっ!?」
頭を振り彼女の頬を掴み引っ張る。
僕は何とか正気を取り戻した。
ライローグがフォローしてくれたのだ。
「セオン、今君、魅了のスキル使っただろ?」
「えっ?何の事かしら?」
とぼけるセオンにもう一度ほっぺをつねる。
「ご、ごめんなふぁい!記憶戻るかなって思って・・・・」
「それには魅了は必要ないよ。何か考えての事だろう?」
「そ、それは・・・・・」
「それは?」
モジモジし始める。
何か隠しているな?
もう一度頬をつねろうとする。
「いやっ!痛くしないで!いいます!いいますから!最近、クラスの話題で初体験の話があって・・・。」
「それで?」
「した子が羨ましくて私も・・・・」
「したかったと?」
無言でうなずいた。
うーん。
どこの世界でもあるよね。
エッチしたかしてないかの話。
初体験を自慢する事で優位に立ちたがる人。
そんなのいつ経験しても良いじゃないか?
と僕は思うのだけど・・・・
「それは今じゃなきゃ駄目なの?」
「えっ?いや、まだ大丈夫?かな?うん。」
「ならあせる必要ないよ。」
「えっ?何で?」
「だってさ・・・・。」
一生懸命まとめる。
そして出た言葉は・・・
「気持ちがフラフラしながらして失うより、しっかり愛しあい気持ちを高めてからの方が思い出になるじゃない。」
決まらなかった。
突拍子の無い言葉になる。
「そう・・・・そうよね!・・・大切な思い出にしたいし・・・・結婚してからでも・・・・」
何だか顔が赤くなっているように見える。
恥ずかしがっているのか?
「あっ、ならば今じゃなくてもいいわ。それではライローグ、また明日ね。ごきげんよう」
ー バンっ! ー
いきなり窓が開く。
そして・・・
ー チュッ! ー
頬にキスをしてそこから颯爽と飛び出すセオン。
その影はそのまま彼女の城に向かい入っていく。
ん?
そのあともうひとつそのあと影が一つ城に入っていく。
ファルスティーナかな?
何してたんだろう?
まあ、特訓でもしてたのかな?
僕は深く考えず今日出た宿題をする。
その事が後々自分自身に関わっていくことになることを知らないのだった。
ライローグと意志疎通ができるようになりました。
ヴァンパイアの姉妹と彼女たちの想いとは?
次回は妹の話になります。
またお願いします。
那祢でした。




