第二十六話「勇者とマリアンと狐」
おはようございます。
那祢です。
今回でマリアンのストーリー終わります。
ハッピーエンド?
それとも?
またあとがきで。
僕は卒業パーティーには行かなかった。
いや行けなかったと言えば良い。
なお、話は回りの人。
セオンに聞いたから知っている。
ー 勇者カイルとケンタウロスの娘マリアンの婚約! ー
ー あの影なる特訓は勇者を射止めるためか? ー
ー ケンタウロス族の長は了承し人間族と友好条約を結ぶ! ー
ともう学園はお祭りムードになっている。
ー 二人を取り持った狐、噛ませ犬か? ー
何てことも言われているが・・・・
僕は・・・・気にしない。
だってこの世界からいなくなるのだから。
まだ全部、思い出せない今までいた世界へ。
帰還することを願い僕は。
学園を卒業した。
あれから数年・・・・・
俺は何故か国の建て直し作業をしていた。
あの後、エンディングが入ると思ったのだが・・・・
やはりそうは行かなかった。
その後の回想まで時間がかかるようだ。
そのため僕は妖怪の国に戻った。
戻った父親と母親からは
「なんじゃ、帰ってきたのか。お前、次男だからな。学校で学んだこと何か生かせることあるか?無いなら畑をくれてやるから百姓として民となれ。」
「まあ、勉強が役立つなら建築とかもやってみては?」
と言われすぐに屋敷を追い出された。
そしてから一人で家をやっとこさ建てて暮らし始めていた。
まあ家を作るのに一ヶ月以上かかりましたが今はスローライフをすごしている。
そんなある日事件が起こった。
妖怪の国、マヨイガで数十名失踪したのだ。
大きな屋敷に住んでいたろくろ首の家だった。
そう、学校にいたあの子だ。
屋敷の中はもぬけの殻で何もいない。
あったのは今まで生活していてそこに誰かがいた後のみだった。
お椀には味噌汁がありおかずやご飯も山盛り。
皆で今から食べる。
そのような支度の後があるだけなのだ。
しかも屋敷の周囲百メートルの民家もそのような状態になっているのだ。
不思議な現象に妖怪警察も出動したのだが・・・・
彼等もいた署がその出来事にあってしまう。
そして混乱の最中、新たな発見をもする。
最近いなくなった住民の屋敷の壁に矢のようなものが刺さっていたのだ。
その矢はキラキラしていた。
がその矢じりからは得体の知れないエネルギーを帯びていたのだ。
ー 何処かで見たことがある。たしかこれは・・・・!? ー
それが気になった俺が触ろうとしたときだった。
ー ピシュン! ー
俺を掠めるように矢が横切る。
矢が飛んできた方向をすかさず見る!
「なっ!」
俺は絶句した。
そこにはマリアンがいた。
しかもマリアンだけではない。
その背中には勇者カイルが跨がっていたのだ。
「よう、久し振りだな。」
片手をあげた挨拶。
少し偉そうだ。
マリアンの手には屋敷に打たれた矢が握りしめている。
「カイル、お前何してるんだよ!」
「ああん?何ってみてわからないか?妖怪を滅亡させようとしてるんだよ。」
「滅亡って俺たちが何をした!普通に暮らしているだけなんだぞ!平和協定も・・・・・」
「ふん、そんなもの無いさ。あるなら出してみろよ。お前達の長が持ってるんじゃないかな?長はだれだ?」
「そんなの決まっている!ぬらりひょん様だ!」
「じゃあ、そのお方はどこにいる?」
ぬらりひょん様は風来坊の癖がある。
だが今回はすぐに来てくれる・・・・・
そんな俺の前になにかが投げ捨てられる。
ヒラヒラしたものが・・・・・
ー バサリ・・・・ ー
それはぬらりひょん様がいつも着ていた着物の色だ。
そこにはついてはいけないものがこびりついている。
赤。
そう血の色。
「ご、ごめんなさい。この着物を着た妖怪・・・・あなたの言うぬらりひょん様をカイルからもらったホーリーアローで・・・・・・撃ち抜いたの。」
「あっははは!そいつ、弾き返そうとしていたけど見事頭に命中して消滅しちゃった!」
「なっ!」
マリアンとカイルから言われた衝撃的な言葉に言葉を失う。
頭を抱えようとしたときだった。
ー ブスリッ! ー
「なっ!いぎっ!」
俺の足に矢が刺さる
刺さった部分から煙が出始める。
これは・・・・・
「俺が作ったホーリーアロー。普通に一発受ければ消滅するんだが?あっ!お前半妖か!ふふふ。」
満面な笑みを浮かべるカイル。
そこに・・・・
「ちょっと!カイルっ!ライローグは妖怪一族として残ってもらう約束でしょ?!どうして打つの!」
俺に向けられている弓矢を遮るように出て怒るマリアン。
そんな彼女に
「マリアン、これで良いんだよ。君は彼の事が好きすぎるから。邪魔なんだよ!ライローグ、君にはここで消えてもらう!」
もう一つ矢が飛んでくる。
わざとバランスを崩そうするマリアン。
だが矢は的確俺をとらえる。
ー ブスリッ!! ー
俺の左肩に受ける。
その矢が先程の矢と繋がるようにエネルギーを発する!
ー ビリビリビリビリ!!! ー
「ぎぃやぁぁぁ!」
矢が刺さった部分。
そこが焼かれた杭にかわり、矢から矢の間を雷で痺れさせられる。
普通なら消滅してしまうのだろうがなかなか消滅しない僕には拷問だ!
「やめてっ!彼だけはなにもしないと約束したでしょ!!」
「ふふふっ。君ね。彼に告白してフラれたんだろ。恨んでないの?俺、あの現場に見ていたから知っているよ。」
ー プスリッ! ー
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
もう片方の足にも矢が刺さる。
あっ。
意識が飛びそう。
体がひくつく俺を見てカイルを説得しようとするマリアン。
「やめてっ!・・・・・やめてください。お願いいたします!どうか彼を・・・・彼を殺すことだけは・・・・」
「うーん。それは君次第だよ。マリアン」
「えっ?私次第?」
「そう・・・・そうだよ。」
「わ、私は何をしたら良いの?」
「これを答えてくれば良いさ。もう一度聞く。君はライローグより俺の事が好きか?愛しているか?!」
「・・・はい。好きです。あ、愛しています。」
ー ピシュンッ!ブスリッ! ー
残った肩に矢が刺さる。
「あがっ!さもっ!ぎっ!ぎょっ!ぶっ!!!」
声になら無い擬音。
意識が・・・・・
「声が小さい!!!もっと大きな声で!そうしないと彼、死んじゃうよ?!!」
「だ、駄目っ!わ、私がっ!愛しているのは!!!カイル様だけです!」
「よしよし!良い子だ。」
「じゃあ・・・・・」
カイルに、背中を撫でられるマリアン。
それが段々体の方へむかい・・・・
ー ムギュッ! ー
「あっ!」
カイルはいきなりマリアンの乳房を握りしめる。
そして・・・・・
「そうだよな。ここへ来る前に彼女の心も体も全部頂いたからね。」
「ちょっと!カイルっ!やめっ!あっ!」
俺が見ている目の前でいちゃつく二人。
激痛に絶望。
そんな俺に見てからマリアンがカイルに・・・・
「カイル、だからさ。そんな風に彼を殺すのはもう止めて?お願いだから。」
「君のお願いか・・・・そうだな・・・・・」
抱き締めるようにして説得した。
辛いが生きていれば何とかなる。
カイルがマリアンに口づけしたそんなときだった。
ー ザクッ!!! ー
「あ、あでっ?あ、あだま・・・に・・」
「ひっ!」
頭になにかが刺さる。
口や刺さった所から血が・・・・
ー あ・・あれは・・みおぼ・・・・えあ・・・・る・・・・ ー
それはカイルがいつも背中に背負っていた。
大きな大きな剣。
聖なる剣シャイニングカリバーだ。
対魔獣やゴーストにもきく。
頭に刺さったそれはそのまま下に向かい僕を真っ二つにしてカイルの手に戻った。
「カ、カイル!何であんた!ライローグは・・友達で・・・」
「男女の関係に横槍はいらない・・君は誰にもわたさない・・・」
もめる二人を見ながら俺はそのまま絶命したのであった。
二人が言い争う声だけが・・・・・・聞こえた。
かくして人馬一体の人類とケンタウロスは全ての世界を統一するのであった。
カイルとマリアンの間には子どもが多数出来、他の種族と交配していった。
そしてそれぞれの種族は末永く暮らすのであった。
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ー データーセーブ・・・・はじめから始める ー
また物語は始まる。
どっちのエンドなんだろう!?
バッド?
将来的にはハッピー?
うーんわからない。
ただ一つわかるのは・・・・
勇者が病んだ。
またよろしくお願いいたします。
那祢でした。




