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第百七十二.五話「天使と小島と束縛と」

こんばんわ!

那祢です。

前回の話。

書き終えてきました!

またあとがきで!

「ここは何処だ?」


僕は目を覚ました。

ここは真っ暗な空間。

動こうにも全く動けないでいる。

ここは何処だ?

身動きもとれないし動きずらい。


「おーい!誰かいませんか?ここから出してください!」


声を出してみたが反応がない。

息苦しいのだが・・・・・・

しばらくすると何かの音が聞こえた。

この音って確か・・・・


「クレーンの音じゃ?」

- ガコン! - 

「うをっと!」


バランスを崩し横転する。

その時に自分が入っていた物の蓋が開いた。


「うっ!眩しい!」


丁度顔を上げた所に光が差し込んでいる。

ここは?

周りを見渡すと場所は何となくわかった。

ここは大きなコンテナの中だ。

そして僕が入っていたのは・・・・・大きな樽だった。

ちょっと待てよ!

樽ってなんだよ。

ドラ〇エとかで隠れた村人が入る奴だよ。

何でそんな物の中で運搬されてるんだ?

まず現状把握が必要か。

ここはコンテナの中。

しかもクレーンで吊り上げられてる。

ならば周りが見渡せるかもしれない。

そう思った僕は光が差し込む穴をのぞき込んだ。


「えっ?」


そこは想像していた事とは大きく違う世界が広がっていた。

真っ青の海。

大きな別荘以外建物も何もない島。

そして浜辺で一人水着姿で体を焼いている女性。


「まさかここは日本じゃない?」


そんな時だった。


- ガコン! -


どうやらコンテナが陸に着地したようだ。

浜辺にいた女性が走ってくる。

あれって確か・・・・・・・

血の気が失せた。

曽利唯流紗。

イルフィスだった。


「皆さんありがとうございます。あとは私一人で大丈夫ですから。」

「はい!唯流紗様!」


周りを囲んでいた者が去っていく。

残されたのはコンテナと唯流紗。


- ギギギギギギ・・・・・ -

「もう起きてますよね。獅々田様。」


コンテナが開かれ眩しい光が差し込んでくる。


「曽利・・・・」


そうつぶやくと彼女は駆け寄ってきた。


「はい!曽利です!唯流紗です!覚えておいでですか!」


ああ覚えているよ。

イルフィスだった時の記憶が蘇る。

まずは把握だ。


「ここは・・・?」

「ここですか?私と貴方の楽園。パラダイスですわ!」

「パラダイス?」


遠くに見えるのは別荘と思っていたがかなり大きく豪邸と言っても過言じゃない。

周りを見渡すと後ろに小さな山があり先ほどの荷下ろしは漁港だったようだ。


「ここは?」

「私が購入した島ですわ!」

「島?」


島なのはわかる。

わかるのだが何故ここに?


「何故ここにって思っていますね?」

「心を読まれた!」

「いえ、顔に出ていましたから。」


あっ、そうなんだ。

バレバレだったか。


「ならここは?」

「私の購入した島です。」


やはり島か。

・・・・・?


「買った島?」

「はい。あなたと二人で暮らすために全財産をかけて島を購入しましたの。」

「ぼ、僕と・・・・二人で?」

「はい。二人だけです。獅々田様。」


ならこの島にいるのは僕と彼女だけ。


「食料は秘密の業者が持ってきてくれますからご心配なく。」

「秘密の業者?・・・・ではあなたがやっていたニュースキャスターの仕事の方は?」

「仕事?ああ、それはね・・・・」


彼女は指を指した。

その方向には船がある。


「魚でも・・・・釣っていればいいと思います。」

「魚でも釣って!?」

「お金は安心してください。宝くじ、連続で当たったんで全然大丈夫ですから。」


確かに島買うぐらいのお金があるのはわかる。

今ここにいるのが現実だ。


「あとそれも頂戴。」


彼女は僕のポケットに指を指す。

そこに入っているのはポケベルだった。

その中には・・・・・シュウが入っているのだ。


「それを私に預けて。」

「そ、それは出来ん。」

「なんで?貴方の愛してるの私なんでしょ?」

「そ、それは・・・・・」


口ごもる。

僕はシュウを愛してる。

その中で彼女たちは僕を奪い合い競い合って・・・・・

競い合って?


「あの大会はどうなったんだ?」

「・・・・・・・・・・・」


唯流紗の顔を見ると彼女は笑顔で答えた。


「ま、まさか・・・」

「もちろんです。まあ、色々なことをして攫ってきましたわ。そしてここは日本ではないので向こうの法律は効かない場所ですし。」

「唯流紗、それは」

「駄目って言っても・・・・許しません。」

「なっ!」


彼女がすり寄ってきた。

いや正しくは覆い被さってきた。

息がかかる距離。

僕の体に手を回すと・・・・・・・


- するり! -


ポケベルが盗まれる!


「あっ!!!」

「今、それはいらないですわね。」


ぽいっと投げるとクーラーケースに入る。

鳴り始めるがその音が小さくなり・・・・・


彼女の声が聞こえる。


「永遠に幸せにしてね。愛しのライローグ様。いえ、獅々田様。私は貴方の奥さんですから。えへへへへ・・・・・・ずっと一緒よ。ずっと。永遠に。」

「うっ、うわああああああ!」


何十年後、僕たちは日本に戻り幸せな家庭を築く。

それまで僕がどうなったのかは一切語れない。

ヤンデレ?

ヤンデル化した彼女から逃れられない主人公。

彼はしあわせだったのか?

ご想像におまかせします。

次回もよろしくお願いいたします。

那祢でした。

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