第百七十三話「一緒、ずっと」
こんばんわ!
那祢です。
いきなりですが今日で本編最終回。
かなりつめてかきました。
本編ていうことは?
またあとがきで!
あれから何十年たったのだろう。
気が付けば僕はお爺さんになっていた。
ん?
若かったのにいきなりお爺さんだって?
あはは・・・・・
それは少し説明するよ。
うん、色々あったんだよ。
あの後『嫁さん決定戦』とかなんとか始まってさ。
走攻防の勝ち抜け戦とかクイズ早押しとか。
まさかテレビで使ってるあのフレン〇パークやタイ〇ショックの物を借りてくるとか。
お金に糸目をかけないのは怖いことだと知ったよ。
まあそこで結局決着がつかず僕が告白して決めたんだ。
いや最初から決めなければいけなかったんだ。
その彼女と連れ添い仕事を頑張ってかれこれ何十年。
僕は六十後半。
今に至ります。
「爺さん、今日も散歩へ行くのかい?」
「おや、お婆さん。暖かいから今日は日向ぼっこかい?」
「質問を質問で返すのはいけませんよ。」
僕の嫁、子どもを三人も生んだ働き者のお婆ちゃんです。
孫がいるので名前呼びから孫用の呼び方になっている。
「ああ、すまない。孫が買ってくれたSYUGAMES産の何とかウォッチが体調がいいから散歩でもしろって。」
「あら、その時計は・・・・・爺さんは〇太君でしたか?」
「それは妖怪捕まえる奴でな。確かに昔、妖怪であって・・・・じゃなく」
「ふふふ・・・のりの良い爺さん。あなたは散歩が好きですからねー。」
「ああ、探偵は足が基本だからな。」
「まあ、探偵止めて何十年たちますかね?未練でも?」
そう、あの後僕は探偵職に復帰したのだが依頼がなかなか達成できなく止めてしまった。
体力の衰えと事務所の閉鎖。
そして連れ添う彼女の為に。
「後悔はしてないよ。」
「嘘おっしゃい。」
「・・・・・・・少しだけな。」
「ふふふふ・・・正直が一番です。」
婆さんには負けるよ。
「・・・・で爺さんは逢引きしに行くんですよね?」
「ばっ!婆さん!?なんでそんな話に?」
「冗談ですよ。ほらほら行ってらっしゃいな。」
僕をかまった後、お婆さんは手を振る。
行ってらっしゃいの合図だ。
「全く、婆さんときたら・・・・・」
「ん?何ですか?誰が婆さんですか?」
「ひい!行ってきます!お婆さん。」
「気を付けて行ってらっしゃい。お爺さん。」
地獄耳だな。
でもそんな婆さん嫌いではない。
むしろ大好きさ!
僕は公園へ歩き出した。
公園には色んなものが要るから楽しい。
朝は何となくラジオ体操やジョギングをして体を鍛えている者。
・・・・決して薄着のお姉さん目的ではなく・・・・
- ピコン! -
腕につけてるウォッチが鳴る。
- スケベな視線は駄目ですよ。 -
婆さんからメールが来た!
つい周りを見渡すが婆さんはいない。
彼女は超能力者・・・・
- ピコン! -
再びウォッチが鳴る。
- 何でって思ったでしょ?お爺さんが考えてるのはお見通しです。 -
さすがは婆さんだ。
そう思いながら歩いていると公園へたどり着いた。
夕方だから誰もいない。
お昼前や後だと近所のママさんがいる。
そしてその子どもたちと遊ぶのが楽しい。
最初は大泣きされることもあったが今では『子守もお願いできる何でもお爺さん』とも呼ばれるようにもなった。
ただ最近は腰が痛くてな。
遊具で一緒には遊べなくなった。
ちなみに夕方は学生たちがイチャイチャしてることが多い。
学校が近いからかデートスポットとして有名だ。
手を繋ぐぐらいならいいのだがチューやギューをしているので目のやり場に困る時がある。
まったくけしからんな。
そう思っていた時だった。
『何をそんな微妙な顔をしてるんだ?』
「うぉ!!!」
いきなりスマートなウォッチが話しかけてきた。
「いきなり話しかけてくるなよ!」
僕はスマートなウォッチに応える。
スマートなウォッチのディスプレイに人が映る。
シュウだ。
あれから改良を加えていき携帯電話から液晶携帯電話へ。
そしてスマートフォンからこのスマートなウォッチに移行していった。
そうあれから彼女ともずっと一緒だ。
電話の場合は通話すればいいのだが・・・・・・
ただスマホの時はきつかった。
常にスマホと一緒で携帯画面に映るデジタルな女の子と会話している。
はたから見ればスマホ依存症・・・・と言うかスマホ彼女と言ってもおかしくないぐらいの日常であった。
スマートなウォッチになったら今ではウルト〇マンの隊員が使ってる通信機みたいに思われているようだ。
・・・・・
で僕とシュウと婆さんの三人でずっと暮らしている。
シュウの存在は我が子や孫にも内緒にしている。
何故かって?
『おーい!ライローグくーん。無視しないでよ。最近はあのこ・・・・・・』
彼女が向こうの世界のキャラで呼んでくるのとデジタルの子も好きと言う事実が恥ずかしいからである。
一回大きくなった子どもにシュウの事を伝えた所、
「父さん、仕事が忙しくてソシャゲにハマったみたいだ。仕事を手伝うよ。」
と優しくされたから。
だから婆さん・・・・・いや妻にシュウと会話する時間を作ってもらい話をしていた。
『おーい無視しないでよ。きみはすぐに考え込むんだから』
「悪い悪い。」
『この間なんて「HEY!尻!」とか「オーキーゴーグル!」とか言って検索させて。都合のいい女ってわけですか?』
「そんなわけないって。検索助かったから。紙飛行機のおり方とか。」
『じゃあ何で最近私の部屋にやってこないの?』
「それは・・・・・」
最近ではVRMMOって技術が出来ゲームの世界にダイブできるようになった。
ウォッチのSYUGAMESさんが他の会社と協力して作った機械がそれだ。
ちなみに今僕の家にも一台ある。
つかっていたのだが・・・・・・・・
ゲームダイブ中は肉体が若返り年齢を変えることが出来る。
僕はシュウと会うときはモンラバの姿になるのだが。
どうもゲームの中に閉じ込められた昔の事を思い出しそうで一週間に一回。
時間は五時間ぐらいにしている。
『どうせボクの作ったモンラバの世界を思い出すからでしょ?』
「知ってるなら言わせないでよ。戻れなくなりそうでさ。」
『そんなことしないよ。できないと入っていないけど。』
ぞぞぞ・・・・
出来るんだ。
『でも、もうしないよ。』
「へー何で?」
『だって。ねー。』
シュウはもじもじしていた。
ポリゴンランクから3Dになった彼女。
可愛いなーもう!
そんな彼女はこういった。
『もう私の野望は達成したから。』
えっ?
「や、野望?」
『そう野望。』
「それって何が?」
そう尋ねると画面内に映る彼女は少し画面奥に行く。
そして振り返る。
『ボク達の赤ちゃん。』
「赤ちゃん?」
『そう、赤ちゃん。』
嘘はつかない。
確かに僕はあの世界に残った時にイチャコラや子どもを作る行為もゲーム内でした。
でもそれが今さら?
『わかってない顔をしてるね。なら説明してあげるよ。AIだったボクの特技は何だい?』
「あの世界に連れていくこと・・・・・・キャラメイキングか。」
『そうキャラクターデーターを生成すること。だから君とボクのデーターを合わせた子どもを作ってみようとしたんだ。でも一流石に二人で過ごした時だけだと細かいデーターが足りなかったんだ。だから・・・・・』
僕の体に悪寒が走る。
それってまさか!
『だから君がボクの部屋にいるときにデーターを頂いたよ。あの行為もしたし。』
そう、僕は彼女とこっちの世界でも営んでしまった。
僕の顔がこわばる。
『そんな怖い顔しなくても大丈夫だよ。もうしないし。・・・・ただボクは君と君の世界にいる奥さんが羨ましかったから。』
「ああ、そうか。」
僕は後悔した。
好きな相手とその妻の暮らしを横で見続けその反対に家族に隠されこっそりとしなければいけないシュウ。
彼女の気持ちを僕は・・・・・
「わかったよ。もっと沢山君に会いに行くようにするよ。」
『えっ!?』
「君の気持ちを考えていなかった。」
『・・・・・・・ありがとう。』
「だからさ・・・・・・」
そんな時だった。
- ピコン! -
- お爺さん・・・・じゃなく忠くん。公園でシュウちゃんと仲良くやってますか?あなたは乙女心勉強した方が良いんです。さっき爺様と同じのを注文したから今度シュウちゃんに会いに行くよ。その時は三人でお話ししましょうね? -
『・・・・・・・・』
「・・・・・・・・」
ボクとシュウは顔を見合わせる。
『「あっははははははは・・・・・・」』
『さすがの僕も妻には勝てないね。』
そう言うシュウに僕は
「たしかにだ。でも君も妻だろ?シュウ。」
そう呼びかけると画面のシュウは涙を浮かべ
『うん!』
満面の笑みを浮かべる。
そうして僕たちは家に帰宅する。
残った時間は短い時間かもしれないし長い時間かもしれない。
僕は今を、精一杯楽しみたい。
愛する者たちと一緒にずっと。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
- ピー!データー構築完了。生成致シマス。生成完了。転送先検索。最新モジュール発見。アクセスコード解除。転送場所決定。場所ハ・・・・・・・・・ -
- チェイン・リングス・ストーリー -
やっと終わりました?
そう本編はです。
婆様を明らかにしてません。
ということは?
また各ストーリー書くのか!?
書かないのか?
次回もよろしくお願いいたします。
那祢でした。
あと本編に長くお付き合いありがとうございます。
この作品をよんでいただけてうれしいです。
まだもう少しお付き合いしていただきますが。
よろしくお願いいたします。




