第百七十二話「おかえりなさい」
こんばんわ。
那祢です。
本日はあと数回で最後詐欺を終わらせたいと・・・・・・思ってます。
あとエピローグをかいて数話でおわります!
ではまたあとがきで。
秤は南甲署の岩倉と連絡をとっていた。
しばらく話すとふうッと溜息を吐き何かを待っている。
「いえ待っていませんわ。私はただ少し交渉をさせてもらえないかとお電話しただけで・・・・ええ・・・はい。あら!よろしいですの?・・・・ええ。持ち主に責任を持って・・・・・はい。私の方から分解破壊の映像をお送りします。・・・では今からお伺いいたしますわ。」
どうやら電話が終わったみたいだ。
「で、はっかりーん。おっけーもらったの?」
樹里が秤に尋ねる。
先ほどの内容、まさか・・・・
「パソコンの回収。一応了承は得たよ。ただ持ち主の許可が無ければいけないそうで。うーん。そうなるとあのゲーム会社に連絡しないといけないわね。」
「あー。響ちゃんと音姫ちゃんのー勤めていた会社よねー?」
樹里の言葉に響と音姫が苦い顔をする。
「あの会社、いい思い出ないからね。退社時も『退職金なんて貰えると思うな!お前たちは勝手に作って勝手に気を失い勝手に病院送りになったんだからな!忘れんなよ!』って言ってましたから。特に響があの後さらに怒らせて・・・・」
「ふん!怒らないでよ!貴方だって胸倉掴んで怒っていたでしょ?!・・・・まあこのままだと面倒な事になりそうな気配がビンビンするわねっ!例えるなら『こいつはくせえー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜ!』ですね!?」
「響ちゃん!女の子がそんなことを言ってはいけません!最低限『ゴミ』ぐらいにしておきなさい!」
と顔を見合わせて確認しあう。
そうだよな。
上司を怒らせて辞めた会社に頭を下げる。
普通はできない事だ。
サラリーマンの営業さんはそれをこなしてる。
すっごいんだぞ!?
「でも行かないとシュウに会えないんだろ?」
僕の問いに
「うん。」
と答えた。
誰かがため息をつく。
吐いたものが消える前に誰かが声を上げた。
「ねえ。本当にそのパソコン、あの会社の物なの?」
紫音が尋ねる。
その問いに妹、月菜が口を挟む。
「それはそうでしょ!お姉ちゃん。会社で作業するために使っているパソコンですし。」
「ふーん。じゃあ、そのパソコンはあなた方が買って設置していたものではないと?」
「パソコンを自分で購入させて使わせる?流石にそんなブラック企業なんかで働いてなんか・・・・・」
月菜は響と音姫と視線が合ってしまう。
「もしや・・・・・・」
僕はつぶやいてしまった。
彼女たちは急いで元会社の経理に連絡をし購入履歴を確認する。
そして絶対聞きたくないあのセリフが帰ってきた。
「会社で使うもの全部自分たちの給料から轢かれていた・・・・・信じられないけどまさかの自腹だったわ。」
「・・・・・・くそっ!だから私たちの一年目の給料、安くなってたんだ!報告連絡相談全くないじゃない!あのくそ社長が!」
二人は唖然となる。
ん?
てことは?
「なら君たち二人を連れて行けばパソコン回収できるのでは?」
「「はっ!?」」
こうして僕達・・・・いや、彼女たちは南甲署からパソコンを受け取ることが出来たのであった。
「準備完了!今、パソコンを起動させますからね。響、ネットには繋いでは駄目ですよ?」
「そんなのわかってますよ。」
「では!」
パソコンが立ち上がる。
あんまりパソコンに詳しくない僕。
それでもそのパソコンがかなりの高スペックとわかるぐらいの速さで起動した。
パソコンのデスクトップ画面に小さいアイコンキャラクターが出てきた。
通常はイルカさんだがこのパソコンは女の子だった。
いやちがうな。
- あれ?ここは? -
「僕が入院している病院だよ。」
スピーカーから出てくる声に対して僕は答える。
- あ、あなたは・・・・まさかライローグ? -
「ああ、そうだよ。シュウ。またせたね。」
- ・・・・待ってなんかいないわ。でも何で・・・・ -
「何でって?」
ー あのままパソコン内で封印されれば僕だって未練なんて残らないのに。なんで、なんで僕を起こしたの! ー
彼女は泣いている。
何でって?
そうだ。
何で僕はここまでしてパソコンを回収してもらいパソコンを治してまで起動したかったのか。
そんなの決まってる。
わかっているはずだ!
自分自身に嘘はつけない。
「決まってるじゃないか。」
- ??? -
彼女は泣き止みきょとんとする。
「それは僕が・・・・・君の事を好きだからだよ。」
- ふぇ!? -
「「「「「えーーーーーーーーー!!!!!」」」」」
一同一斉に驚きの声を上げた。
そして五月蠅いと八木沼さんに怒らえるのであった。
こうして僕達はじっくりと病室で会話をすることになる。
実態が無いがAIのシュウ。
それを物理的に壊そうとするもの。
それを止めながら理由を訪ねるもの。
悲しみで泣きじゃくるもの。
予想外の反応で唖然とするものと分かれた。
その様子を見ながらシュウは言う。
- 君、相変わらず人気だね。しかも考え方がぶっ飛んでいるよ。こんな機械に愛を囁くなんて。 -
「僕もそう思う。」
- じゃあ彼女たちをどうにかしなさいよ。 -
「じゃあ、何ていえばいいのか?パソコンならすぐ答えが出せるんじゃないか?」
- ざんねーん。ただ今インターネットにつながっていないからおこたえできませーん! -
「お前はー!」
- あははははは -
笑い会う二人。
違うか。
笑いあう一人と一台。
僕はマウスを握りパソコンのモニターを直接見る。
手を繋いでるようだ。
- ただいま -
「お帰り、シュウ。」
見つめて微笑みあうのであった。
・
・
・
・
「ところで・・・・・・パソコンの嫁って実質結婚できないよね?奥さんにはなれないんだよね?」
誰かの囁きがこの賑やかな病室を再び戦場に変わることに誰も知らないのであった。
というわけでデジタル彼女を選んだ獅子田。
ライローグとシュウは?
他のヒロインは?
エピローグであきらかに?
できるといいです。
次回はおやすみします。
またよろしくお願いします。
那祢でした。




