第十八話「練習しましょ?」
マリアンとのご飯が終わり解放される。
そう思ったのだが。
それは間違いだった。
「で、勇者と結婚するのに私に足りないものは?」
「それは綺麗に振る舞うこと。淑女にならないと。」
「わたしにできると?」
帰りにずっと質問されている。
なにすれば綺麗になれるか。
どうしたら可愛いか。
何回も聞いてくる。
あと少しで予令がなる。
それまでの辛抱・・・・・・
ー ガシッ!!! ー
「えっ?!」
肩を組まれた。
予想通りマリアンだ。
「なあ、じゃあさ・・・どうやったらいいか試してみていいか?」
笑顔がイケメン!
僕も女子なら「きゃーすてき!!」と叫んでいたはず。
でも彼女は女性。
「こんな男女に付き合うのは嫌か?」
嫌じゃない。
むしろ頑張る人は好きな方だ。
そんな彼女が頑張るなら付き合うか。
「いいよ。まかせて。」
快く返事をした。
「やった!!ありがとう!!」
肩に回した手をそのまま引き寄せて力一杯抱き締められた。
ー ウォッ! ー
柔らかいものが俺に押し当たる!
こ、これは・・・・まさか!!
そう思ったときだった。
ー ガタン! ー
ー バンッバンッ! ー
あちらこちら音がする。
そして突き刺さる視線。
覗いていた学生たちだった。
いままでは
「何であんたがマリアン様と一緒なの!何様?」
と言いたそうな視線だったのだが今では・・・
「アイツ!なぜマリアン様に抱擁されてるの!殺す!」
な視線に変わったのだ。
あれば恨めしそうに見るろくろ首ギャルやオーガ。
頭上のハーピー等はギャーギャー騒いでいる。
「んっ?」
抱き締めてるのが長いな。
僕はマリアンの二つの柔らか富士山が当たっている。
一生懸命煩悩退散してるのだが。
まだまだ抱き締められている。
このままではいけないと思いマリアンに
「なあ、いつまで抱き締めてるの?」
と質問してみた。
「あっ!ゴメン!つい・・・・!!!」
名残惜し感じでゆっくり放してくれた。
でも、ついって?
何で抱き締められたんだろう?
その答えが次の会話でわかった。
「ねぇ・・・」
「ん?」
「何かライローグに男を意識したらかっこよく見えて・・・・キスをしたくなった。」
「っ!!!」
いきなり何を言うんだ!
こいつが好きなのはカイルだろ?
なら俺がキスするわけにはいかない。
「それは好きな人にとっておきなさい。」
「でも、あたしはライローグの・・・・」
「勇者の彼女になるんだろ?」
「う、うん・・・・」
「ならば練習は付き合うけどそれ以外は断るよ。好きな人は大切にして。」
「あ・・・・うん、わかったよ。ありがとう。ライローグ。」
「ああ、こちらこそ。頑張ろう。」
そして放課後付き合うことになった。
〰️ 放課後 〰️
「難しいよっ!ご機嫌麗しゅう御座いますなんて使わないし!」
「使う使わないじゃなくお嬢様方と会話できるかだから。」
色々淑女の指導した。
時折、ストレスの発散しているのか僕の背中や肩を揉んでくるが。
それから三時間。
「ごきげんよう・・・ライローグ様。」
一人の淑女 (仮) が出来上がったのだった。




