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第百六十五話「壊れ行く世界」

こんばんわ。

那祢です。

今回は少し話が進みます。

どのぐらいかは読んでからのお楽しみで。

またあとがきで!

この生活は長くは続かなかった。

それが起きたのはシュウとこの世界に二人で暮らしていたある日の夜だった。


「シュウ、どうしたの?」


家のベランダから外を覗いているシュウに尋ねる。

彼女の視線がいつもより影ているように感じたからだ。


「ん?いや、何でもないよ。」


こちらを向いて笑顔になる。

いや、笑顔を作っていた。

こういう時の彼女は何か悩んでいる時が多い。

学生だった時もこんな感じがあった。

あの時は創造主や他の学生とかに絡まれていた時だったな。

彼女は僕に気づかれないよう笑顔で誤魔化す。


「・・・・嘘言うなよ。僕とこの世界で付き合って何か月たったと思っているんだい?」

「うーん。学生時代を含めて11か月ぐらいかな?」


学生時代は付き合っていなかったぞ?

それも含むってどういう計算だ?


「どういう計算って?だから・・・・・」

「心の中を読むな!いいってば!そんな計算。」

「ふふふ・・・」


今見せてる笑顔が本当の笑顔だ。

冗談一つで見せてくれるならお安い御用さ!


「・・・・んーとね。ライローグ。」

「ン?なんだい?」


彼女がベランダで座っている自分の隣をペしぺし叩く。

座れってことだろう。

僕は流されるまま座る。

座ると彼女は僕にもたれかかる。

彼女の温かさを感じる。


「今さ、こういう風に暮らしてるけどさ。」

「ああ。」

「いつまでもこのように暮らすことってできないと思うんだ。」

「ん?何でだい?」

「そ、それはね・・・・・」


彼女はすくっと立ち上がる。


「この世界は二人の自称天才プロゲーマーが作った世界。モンラブの世界なんだ。でね、この世界の住人を作るために大量に彼ら、彼女らをこの世界につなぎとめていたのは知ってるよね。」

「まあ、僕もその中の一人だったからね。」


ライローグとして生きていたから。


「うん。そうなんだ。・・・・・だからさこの世界から彼女らを戻した時に想像はついていたんだけど・・・・」


何か言いにくい事なんだろう。

髪の毛を搔いている。


「・・・・・・シュウ。」

「ん?なーに?」

「言いたいこと・・・・何となくわかった。」


立ち上がったシュウの手を引っ張る。


「おっと!」


こけそうなシュウを抱きとめた。

いや正しくは抱きしめた。


「この世界が亡くなってしまうんだろ?」


その問いに彼女は反応し服を強く握りしめる。

肯定の代わりだろう。

彼女の言いたい言葉はわかった。

この世界は創造主とAIで作られた。

その創造主が戻った今、こんな危険なパソコンゲームを放置するわけにはいかない。

何故ならAIの自己判断で怪我人や病人をこの世界に送り込めるのだ。

下手をすれば軍だって欲しがる代物だと思う。

それを彼女らが上司に伝えないはずが無いのだ。


「だ、だからね。僕もライローグとお別れしなきゃいけないんだ。」


震えている。

チワワぐらい震えている。

消えるのが怖いんだ。

って言うのは違うか。

消えて滅する『消滅』が怖いのだ。


「大丈夫。僕も一緒だから。ずっと、君と。」

「ライローグ・・・・・・」


そう二人で語り合っている時だった。

空間が歪み亀裂が発生する。

これって見たことが・・・・

〇ルト〇マンAの〇獣が出てきた時だ。

でもこんなことが出来るのは?


「ライローグ!お待たせした!」


亀裂から車が出てくる。

あれってなんって言ったっけ?

昔喋る車で・・・・不審者を乗せると外まで飛ばす車。

それと未来にも行ける車が混ざったような姿の車が出てきた。

形はポリゴンでP〇2ランクだが。

で乗っているのは・・・・・


「やあ!待たせたわね!」

「私の財団からお金が出てるんですの!」

「PCのパーツはあたくしが仕入れてきましたの!」

「五月蠅いなー!開発者を蔑ろにするんじゃない!」

「まあ、落ち着きましょうー。深呼吸ー。」


大きい車から見知った顔が出てきた。

セオンと小さくなったファルスティーナかな?

後部座席からアルムファイムとキサラギ、ジュリーがいる。


「急いで作ったからキャラクターが間に合わなくてね。簡単に作れるキャラクターで乗り込んできたんだ!」

「車だってグラフィックと技術を使いこの世界に入れるようにしたのよ!」


流石、財団。

そしてプログラマー。


「さあ、シュウ。ライローグを返しなさい!」

「みんなであんたの帰還、待っていたが全然帰ってこないからさ。探しに来た。」

「さあ、帰ろう。元の世界まで。」


彼女たちは僕の手を取り引っ張る。

まあ気持ちがわからないわけじゃない。

このままここにいて消滅するより元の世界に戻った方が良い。

でも僕は・・・・・・


「ごめん皆。僕はシュウとこの世界で生きる。死ぬのも一緒に。」


右隣のシュウを右手で抱きしめる。


「駄目よ!貴方は元の世界では皆を救った貢献者ってなってるの!意地でも連れて帰って来いって!」

「だから僕は・・・・・」


そんな時だった。

町全体にアラートが鳴る。

地面がいきなり揺れ出したのだ。


「しゅ、シュウ、これは?」

「ライローグ、貴方には言ってなかったね。このアラートはね・・・・・・・この世界を壊すための。」

「壊す?」


周りの山が消滅していくこちらに向かってどんどん消滅していく。


「シュウ!貴方やっぱり!」


キサラギがシュウを睨みつける。


「ありゃー創造主ならバレるか。そうだよ。ライローグをこのままこの世界に留めてはいけないってずっと思っていた。返さなきゃいけないって。けど返したくない気持ちが強かったんだ。だからさ迎えが来るまで・・・・ちょっとの間だけ幸せをいただいたんだ。」

「しゅう?」


長文を話すシュウに驚く僕。

それってまさか。


「いっぱい思い出ありがとう。少しの間だったけど幸せだったよ?」

「あ、おいっ!シュウ!」

「あなたの事が大好きすぎてめちゃくちゃにしたこともあったね。」


涙を流すシュウ。


「今では・・・いい思い出。・・・君と過ごした短い期間。僕・・・・いや私にとって大切な宝物さ。」

「それって別れの言葉だろ!!止めろよ!シュウ!一緒にどこかへ!」

「いけないんだ・・・・。だってLANケーブル切れてるから・・・・。だから」


シュウが僕の頭を掴む。

そしてキスをした。

それが済むと彼女は車の後部座席に僕を押し込む。

その瞬間、車が走り出した。


「シュウ!だめだ!シュウ!!君はきえちゃ・・・一緒に・・・」


叫びながら車のドアを開けようともがく僕。

それをあっさり押さえつける三人。

そして見えた彼女。


「あ・い・し・て・る。」


彼女の口元はそう動いてるように見えた僕だった。

そして瞬く間に彼女から遠くなる。

消えていく世界に彼女を残して。

シュウを残してこの世界を離れるライローグ。

彼が思うことは!?

そしてどうなるのか?

うん、終わる展開になってきた!

次回もよろしくお願いいたします。


すみません。

五月十一日。

家の敷地内にご老体の車が突っ込んできました。

被害は植え込みのみで警察とお話ししています。

そのため本日はお休みします。

お待たせしてすみません!

次週、よろしくお願いします。

那祢でした。

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