第十七話「私、妖怪ですよ?」
俺はマリアンに引かれて屋上に向かった。
理由?
それはマリアンご飯を一緒に食べるため。
「やっと着いたな。」
ケンタウルスの馬力には勝てませぬ。
ずりずり埃にまみれながらやっと着いた。
俺は誇りを払いながら屋上を見渡す。
結構広くサッカーが二つできるぐらい大きかった。
まあ、巨人族やドラゴンがいるぐらいだからな。
そう思い近くのベンチに腰を掛けるとそれに習いマリアンも横に座る。
おっ!
馬の部分がベンチ(二人がけベンチ)寝転ぶようにして座る姿は・・・・
「あっ?なんだよ?」
視線に気がつきマリアンに聞かれる。
「いや、上手に座るなーって。」
その何気ない一言が彼女を傷つけた。
「やっぱり馬と人間の部分が別だと気持ち悪いか?」
「いや、そういう訳じゃないって!」
「妖怪らは良いよな。上手く化けれて。」
「えっ?」
「だってさ私、魔法と弓しかできないんだぜ?」
魔法。
そう、この世界には魔法がある。
そして妖怪の妖力もある。
使用すると大変疲れるらしく皆はなかなか使わないが。
僕は妖弧なので妖力が高く色々使えるらしい。
ただ問題なのは・・・・
前の持ち主が色々し腐り追って。
ー 入学時、風起こしてパンチラ ー
ー 草むしりを火遁を使い、草むら大火事 ー
ー 水と調和して水泳の時間、先輩の水着を水中で観察 ー
ー 岩を砕くため岩に妖力を使い何故かゴーレム作ってしまう ー
こんなことがあり妖力をある程度塞がれている。
魔法も練習してみたのだが・・・・・
「ファイアーボール!」
ー ぽふん。 ー
BB弾位の玉が飛んでいく。
威力は対になので。
ー ぴしっ! ー
エアガンみたいな威力と根性焼き位の熱さしかならない。
なので魔法は僕にとって憧れだった。
「いいじゃないですか。僕は弓も上手く出来ないし魔法も出来ない。しかも弓道大会では何時も上位じゃないですか!」
引きずられながらメモに目を通しておいた。
だから答えられる。
「でもよ、男って奴はやっぱり守られたいより守りたいだろ?」
「うーん?たしかに。でも。」
「でも?」
「背中預けられるのは嬉しいんじゃないかな?」
「えっ?」
「だって、守る守られると言う関係よりお互い信じ会い助け合えれば良いんじゃないかな?」
あっ。
マリアンの目が輝いている。
肩を両端捕まれた。
「お前、格好いいこと言えるんだな。すげぇぜっ!」
揺さぶりながら言うマリアン。
力が強いからガクガクになる。
「ちょっ?まっ!ゆさぶっ!らなあでっ!」
三分ぐらいほめられた。
あっ。
ほめられたとぽめらにあん。
平仮名にすると似てる。
おっと!
変なことを考えてしまったので意識をしっかり持つことにした。
「だからマリアンはそのままでいけば良いんだよ。カイルもそう思うさ。」
「な、なんでいきなりカイルの話!?」
「えっ?違うの?」
間違えたのか?
俺はそう思ったが顔を赤くしているマリアン。
ワイルドだけど心は恋する乙女なんですね。
まあ、上半身は申し分ない位のダイナマイトボディー(死語)で顔はギリシャの神話の本に出てくる美人さん。
惚れる人はいるはず。
いや、いる。
さっきからこちらをうかがっている。
むしろ女子も混ざっている。
すごい人気だ。
俺はもう一度、マリアンの顔を見る。
「んっ?」
にこりと微笑む。
俺は恥ずかしくなりそっぽを向いた。
「おっ!飯かい?まってな!」
そういうと彼女は背中のリュックから大きい包みをとりだした。
それを俺に渡す。
目の前には赤ちゃんの頭部ぐらい大きいもの。
「ねぇ、マリアン?」
「なんだい?」
「これは?」
「決まってるじゃん!おにぎり!」
「お、に、ぎ、りー!!!?」
中を開けるとそこにはとてつもないおにぎりがあった。
彼女の好意だ。
断れない。
ま、まあ食べるか。
「・・・・いただきます。」
「めしあがれっ!」
俺はかぶりつく。
具に届かない。
もう一口。
届かない。
それを繰り返すこと二十回。
具は・・・・・・
俺のは佃煮。
マリアンは、野菜だった。
そして、お腹はすべてお米で満たされていた。




