第十六話 「モブは休みがない」
もぐもぐもぐ。
俺は頼んだものを食べる。
焼き魚とご飯と味噌汁。
何の魚だろう?
パクっ!
これはうまい!
今まで食べたことがない味だ。
うん、シンプルイズベスト。
ほぐしやすく食べやすいしホッケに似ている。
味噌汁は・・・
これは面白い!
味噌汁が自家製なのか美味しい!
卵スープと味噌汁が合わさった新たな味だな。
うん。
これもありだな。
おっと!このままだとまるで孤◯のグルメになる!
さて、誰か見ている気配がある
俺は食べているときからずっとこちらを伺っているようだが。
そちらを振り替えると先程料理をつくってくれた子が見ているようだ。
あ、目があった。
ー カーンッ!! ー
お盆を落としたようだ。
あ、周りのおばさんに気にされている。
なんか迷惑をかけたようなので早めに食べて早めに学校に行くことにした。
「ごちそうさまでした。」
「あっはいー!?」
配膳を片付ける時、いきなり声をかけたので驚いたようで彼女は変な声が上がる。
「美味しかったです。では・・・・」
俺は急いで食堂から出る。
「あ、あの・・・」
俺は聞こえないふりをした。
これ以上フラグは立てられないから。
俺は主役ではない。
俺は脇役だから。
「おーい!ライローグ!」
学校に向かうと後ろから声をかけられる。
あ、カイルだ。
「ん?おはよう。カイル。」
「ああ、おはようライローグ!それは後にして・・・・。聞きたいことがあるんだが・・・・」
「何を?」
「昨日、大きな巨人族の女性とヴァンパイアの子のこと聞きたいんだが。」
あー。
あの二人か。
シャンメールとファルスティーナ。
二人ともカイルに好意を持っている。
俺はカイルに二人の特徴を伝える。
「へー!シャンメールさんはやっぱり巨人族長の娘さんなんだね。
ファルスティーナさんも凄いお嬢様なんだ!仲良くするには・・・・」
俺の話を聞いて頷くカイル。
そして仲良くする方法を聞いて納得したのか
「また何かあったら教えてほしい!頼む。じゃあまた。」
両手を会わせて感謝のポーズをしてその場を立ち去った。
困ったな。
俺は今悩んでいる。
勇者カイルのことだ。
彼はいろんな人(生き物?)が気になるタイプなのだ。
先程のあと「昨日お前と仲良しのケンタウルスは?」とか「小さいレディーがいるが彼女は何歳なんだ?」とか「あの先生はきれいだ。旦那様は幸せ者だ。だがいるのか?」とか聞かれ続けた。
ハッキリ言ってウザいのだ。
俺は勇者カイルを幸せにするためにいるようアドバイスをするのが仕事。
でもウザいのだ。
授業は難しく魔法や妖気の使い方、文字や数学など通常なこともある。
学生からはなれていたので一生懸命やらなければ大学と同じく単位を落とすのだ。
その上休み時間に来ては長々話されるのは辛い。
「てなわけでわかったか?」
「ああ、ありがとう。」
俺はカイルに情報を話終えると早々立ち去ることにした。
このままではご飯が食べられなくなる!
学食にいるおばちゃんの素敵なご飯が!!
俺はすぐさま学食に向かう。
廊下を急ぎ足で歩いていると誰かに捕まった。
「おっと!ライローグ。どこへ行くんだい?」
ー この声はたしか・・・・ ー
俺を捕まえた人を見ると・・・・
そこにはガチムチ・・・
間違えた。
馬の下半身の豪腕な彼女。
マリアンがにこにこしながら服をつかんでいた。
「今暇だよな?飯いこう!」
「え、だから今から学食で・・・」
俺は学食がある方を指差す。
それに対してマリアンは満面な笑みで
「あたしが作ったおにぎり。屋上で食べようぜ!」
俺はその言葉を死の宣告として彼女に引きずられながら屋上まで連れていかれるのであった。




