第十五話「夢ではない」
「ふぁーっ・・・・・あれ?」
僕は目覚めた。
夢ではない。
見渡すと見慣れないベッドや机。
ー そうか。僕は夢ではないこの異世界にいるんだ。 ー
寝転がっていた床から立ち上がる。
体が痛い。
たしか頭痛でそのまま倒れたんだっけ?
俺はよれよれの制服を脱ぎシャワールームに向かった。
蛇口にふれるとシャワーから水がでる。
俺はシャワーを浴びはじめる。
ー あれ? ー
違和感を感じる。
シャワールームを知らないはずなのに何故?
使い方も?
それと先程から『俺』と言っている。
違う誰かが僕の中にいる感覚だ。
シャワー浴びるのをやめてタオルで体を急いでふく。
そして、制服に着替え自分自身に聞いてみることにした。
「なあ、君は誰だ?」
僕が問うと・・・・・・
右手が勝手に動き出す。
そして、いきなりポケットのメモ帳を取り出した。
右指がそっとページを撫でる。
すると
ー 俺?お前が夢で見たライローグだ。わかんねー? ー
と勝手にページに書かれた。
ライローグ!
僕の体の人だ!!
早速俺は聞いてみたいことがあったので聞いてみた。
「ライローグ?本物のライローグなんだね!じゃあ、体代わってよ!僕、元の世界に戻りたいから。」
ー それは無理。俺、今は幽霊みたいになってるしお前と融合し始めたからな。動かせるのは右手ぐらいだ。 ー
とメモ帳。
「融合!?そんな!!じゃあどうすれば戻れるの?」
ー 戻る?ああ、元の世界にか?わからないな。この世界はなかなか幸せにならないから。見ただろ?俺の記憶。ユミファとか。 ー
うっ。
吐き気を感じる映像を思い出す。
幸せと感じられない。
地獄絵図。
人間の駄目なところが合わさって作られた欲望の世界。
流石に自分自身胸くそ悪くなった。
ー そして、二人失敗して嫌気差しちゃった。だからお前にまかす。 ー
「えっ!そんな!!!」
ー 大丈夫だ。お前と俺はどうやら波長が会うみたいだし。記憶も混ざるからここの使い方もわかるはず。 ー
「でもそれって・・・。消えるんだよね。もう会えないの?」
ー そうだな。でも、それはしょうがないこと。俺とお前は何時でも一緒だから心配すんな。 ー
「消えちゃうんだよ?」
涙が出てきた。
ー ばーか。さっき会ったばかりの奴に心配すんな。お人好しだな。でも、嫌いじゃないぜ。あと、この世界、失敗しても始まりの世界に戻されるだけだから。気にしないで進めてみな。 ー
「わかったよ。ありがとう。」
ー それと ー
ん?
何だろう?
「あと少しで・・・朝食タイム終わるぞ?!」
メモを口にして俺は学食に向かった。
「おはよーライローグ。」
「寝坊か?急げよ。」
「食い意地張ってるお前らしくないじゃないか?」
「きょうの料理当番の子、可愛いぞ!」
通る知り合いの学生たちに会釈しながら走り抜ける。
そして、学食に着いた。
急いで朝定食を選びボタンを押す。
出てきた食券をカウンター出す。
「はい。作りますね。」
そう言っておばちゃんが引き取・・・・あれ?
そこにいたのはおばちゃんじゃなく可愛い女の子だった。
「あれ?何時ものおばちゃんは?」
気になった僕は聞いてみた。
「ちょっと腰痛でお休みです。なにかご用事ありましたか?」
「いや、ないけど。おばちゃんがかわいくなっていたので驚いただけだよ。」
あっ、しまった!
たしかこの世界って・・・・
僕のメモ帳が光だした。
目の前を見ると・・・・
女の子は顔が真っ赤にしながら照れていた。
そう、この世界は好感度で運命が決まる世界だったのだ。




