第十四話「昔話」
『セオン』
そう、先程あったバンパイアの名前だ。
彼女をカイルと結婚させようと僕は色々手を回した。
そのため、セオンにアドバイスや恋愛ゲームで邪魔する他のヒロインの好感度を下げるよう徹底的に頑張った。
「ねぇ、ライローグ?可愛い女の子になるには?」
「まって。調べるから。色気がある子、笑顔が可愛い子が人気あるようだよ。」
「じゃあ練習に付き合ってくれますか?」
「かまわないよ。」
そうする中で彼女の可愛らしさにすこしひかれている僕がいた。
体力無いのに運動会や登山、持久走大会に出たり。
引っ込み思案だけどカイルと仲良くしたくて学園祭委員会したり。
頑張る彼女が俺には気にならざるを得なかったのだ。
そして・・・
「お疲れ様。ライローグ。」
「ああ、おつかれカイル。」
「最近さ、気になる子がいてさ・・・」
「ああ、彼女か?セオンか?」
指差して答えようとすると
「!!!?」
指差しを途中で止められた。
「指差すなよ!!バレるだろ!」
「お前、わかりやすいからな。」
「なら話が早い!色々教えてくれ!」
「セオンね。情報は・・・」
僕は色々教えた。
それから二人は意識し始めたのだ。
これで恋人同士になるかな?
僕はワクワクしていた。
数ヵ月後。
「ライローグさん。」
「あ、なんですか?」
セオンが話しかけてきた。
何かニコニコしている。
何か良いことあったかな?
「聞いて!ライローグ!私、カイルさんに付き合おうと告白されたんです。」
やはりそうだよね。
昨日言ってたし。
「良かったじゃないですか!かっこいいし人気あるし!しかも付き合って向こうから言われるなんてすごいです!」
俺は心から喜んだ。
そのはずだが。
「ねぇ、本当にそう思う?」
疑問で帰ってきた。
「何か不満があるんですか?」
「不満といいますか・・・。貴方は私がカイルさん付き合うのが良いんですか?」
「いや、いいと言うかセオンはそれを望んでいたのでは?」
その言葉。
彼女を怒らせたらしい。
かなり怖い顔をしている。
ヴァンパイアの血を引いているのがわかる。
そして呟くように話し出す。
「・・・確かに話をしたかったし色々知りたかった。カイルさんと仲良くなりたかった。」
「そうそう。だから色々聞いていたんだよね?」
「確かに色々聞いていた!でも!!」
「セオン。君は何を言いたいの?」
「だから私は・・・・・もう!いい!鈍感!!!」
怒られてしまった。
何で怒るんだろう?
「なあ、セオン?」
「知らない!私がカイルと付き合えばいいのでしょ!今から返事してくる!!!」
「ちょっ!まって!!」
止める声を聞かずにセオンは歩き出す。
二人が付き合う。
ーズギンッ!ー
胸が痛む。
何でだ?
僕は望むようにしただけ。
だから二人の恋の成長が楽しみにしていたはず。
でも、何故痛いんだ?
ーズギンッ!ズギンッ!ー
悲しくなるんだ?
でも俺の役目ってそんなものでは?
友人の幸せを。
ーズギンッ!ズギンッ!ズギンッ!ー
い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!
そうか、俺は君の事。
好きなんだ。
それを気がついた時には遅かった。
「貴方が好きです。」
「」
セオンの元に駆けつけた時にはカイルの告白を受け付き合ってしまった。
それから卒業式まで二人のフォローをする事に徹底した。
ばれない程度に。
そして卒業式当日。
二人は婚約した。
そして結婚式があり。
俺は二人のもとを去った。
そこまでが『セオン編』のストーリー。
記憶が少し戻った。
だから先程あったセオンの事を思い出したのだ。
でも、何故彼女はあんな積極的に?
そう考えている間、俺は布団に横になる。
暖かさに沈み混んだ。
ああ、眠い。
すいこまれそうだ。
ああああ・・・・
そのまま眠りついた。




