第百二十話 「お前だったのか!」
『相棒』
俺をそんな風に呼ぶ奴なんて一人しかいない。
こいつはまさか・・・・・・
「もう一人の俺!!!!」
「ご明察!僕が言ったら禁止ワードになっていたよ?」
勇者カイルが笑う。
やはり!!
考えてみればそうだ。
まず、このメモの存在を知っている事。
それは家族、または同じ地域にいた者しか知らない事だ。
触った者の情報が載ってしまう。
だからあらゆる同級生や大人たちに懸念され距離を置かれていた。
この学校ではこのことを知っているのは同じまよいがから来た二人しかいない。
キサラギと俺、そしてこの世界で情報を求める者。
勇者。
そして俺の中にきたもう一人の俺だ。
俺のアドバイスを後半で全く聞かかったのも頷ける。
『聞かない』ではない。
『聞かなくていい』のだろう。
この世界の物語を何度もクリアーしてるのだから。
何が起きるか何がやってくるか何が必要なのか。
全て知っていたんだろう。
だからそれ以外の彼の知らないイベントを俺から盗んだメモ帳で調べて倒していたんだろう。
「な、なぜ生きていた!!この世界から消えてなくなるように存在そのものを消し飛ばしたはずだ!」
創造主は驚いた。
それもそうか。
俺の記憶が正しければ彼の存在はあの時に消滅をした。
消滅したはずなんだ。
なら何でここにいる?
「なんだか不思議がってるから説明する?」
キョトンとしているカイルに
「「当たり前!」だろ!」
俺と創造主は声を合わせて言った。
「しょうがないなー」
そして彼は話し始めた。
説明はこうだった。
創造主の相手をバラバラにする技は粒子化と呼ぶことにする。
僕は創造神に歯向かい存在その者を粒子化されてしまった。
この世界でバラバラになった者たちはゲームの裏側、別名『廃棄部屋』に集められる。
何人も粒子化をしたんだろうか。
そこには沢山の粉が一か所に集められてた。
僕はその一部になるはずだった。
のだが満杯で入らなかった。
それで僕を運んでいた作業員はそのまま違う部屋に押し込んだ。
部屋の名前は『転生勇者の部屋』と書かれていた。
その場に置かれた動けない粉の姿の僕は何故か転生用のカプセルに入れられる。
そして・・・・・・・
俺は気が付くと記憶がぽっかりとなくなりいきなり創造主が現れ、ゲームの説明をし始めた・・・・とさ。
「そんなことあるわけないだろ!!」
創造主が怒る。
「現実に起きてるからね。まあ、スキー教室まで記憶なかったけどね。」
「ありえない!粒子化した人間はこの世界にはもう戻らない!ましてや勇者になれるはずがない!私がミスをするはずがないんだ!」
怒り叫び散らす創造主。
煩いな。
ドラマで見たヒステリックを起こした女性に感じる。
「確かにあんたのミスじゃないよな。お前の部下のミスだけど。部下のミスは上司のミスなんだけどな。」
俺は創造主を小馬鹿にする。
いつも色々と嫌がらせされるからな。
「うるさい!私のミスではない!むしろ部下なんていないんだ!」
「じゃあ、誰が?二頭身ぐらいの生き物でしたよ?」
カイルは創造主に訪ねる。
「いないものはいない!合ってもいない!創造神の私がそう作った場所だ!」
「じゃあ、あれはだれだったんだ?そして僕はどうして復活できたんだっていうんだ?」
「だ、黙れ黙れ!下等の狐ごときが私に何を意見するな!!!!」
「ミスを誤魔化しては創造主の名前が・・・・・」
「五月蝿い!黙れって言ってる!!!」
創造主の手が俺に向けられいきなり光り出す。
あれって確か・・・・・
粒子化の魔法だ!
「その攻撃は・・・・!」
反応が遅れた!
光が大きくなる!
「危ない!!!!」
カイルが俺と創造主の間に入る。
カイルに押された衝撃で俺は飛ばされる。
「カイル!!」
光が放たれる。
創造主の光にカイルが飲み込まれる。
カイル・・・・いや。
「もう一人の俺!!!」
俺は手を伸ばす。
掴みとれないどころか光線に憚れ遠くなる彼の手。
「これでこの世界はもう終わりだね。だってカイルが死んだなら結婚も無くなるからさ。バッドエンドで終わりだよね!あはははははは」
創造主の光が弱くなる。
跡形もなく消えてしまっただろうカイル。
この話は失敗だ。
それに崩れ落ちる俺・・・・・・
ん?
埃のたち隠った部屋が見え始める。
あれ?
目を凝らすと立っている者がいた。
「お、お前まさか!」
「あ、ごめん泣かせちゃいました?いや、この場合ならこれか!『俺、なんかやっちゃいました?』」
無傷のカイルがそこにいた。




