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第十三話「二人目」

ライローグ。

その名前を探しながら寮の中にはいる。

すると一番奥に名前を確認できた。

ちなみに前の方の意思があるのか文字は読めるようだ。

俺は自分の部屋を開けようとする。


ー ガチャガチャ・・・・・ ー


開かない。

扉には鍵みたいなものはない。

何故だ?

すると・・・・


「なあ、何ー扉を睨んでんのや?」


後ろから声が聞こえた。

振り向くと細い長身の男が声をかけてきた。


「あー。あんさんがライローグっちゅー化け猫か?」

「猫!?俺は狐だが。」


いきなり喧嘩売っているのか?

にらみ返そうとしたら背中をバンバン叩いてきた。


「おこりなさんな!ジョークや。」

「はいはいっ。てなわけでなんですか?」

「せや、扉にらんでたから開け方わからんのかなってな。」


なぜ俺の考えわかるんだ?


「っておもってるんだろ?お前、わかりやすいぞ?」

「なっ!お前もしや・・・」


にやっとした細い男。


「あー。俺は悪魔族だ。特技は人の心を読むかな。」


やはり。

悪魔は人に嘘をつかれないために心が読めるやつがいると聞いた。

その悪魔の中のエリートなんだろう。


「ご明察!なのでまあ、扉あけましょか?」

「ありがとう。」


こいつには嘘がつけない。

ならば素直になるか。

俺は感謝を口に出した。


「任せておき!まず扉の前にたつ。」

「扉の前に立つ・・・」

「そして扉を片手で握りながら」

「扉を片手で握りながら・・・」

「こういう。『開放』」

「えっと『開放?』」


ー ガチャリっ! ー


扉が空いたのだ。


「なっ?空いたやろ?」


自信満々な悪魔の男。

俺の空いたことを確認した彼は自分の部屋に向かう。


「そうそう俺はシャーズだ。またよろしくなー。」


そういってシャーズは手を降りながら三つ横の部屋に入っていた。

変わったやつだ。

おっと心読まれちゃうから気を付けないと。

俺は早速開いた自分の部屋に入る。

中には沢山の写真が並んでいた。


「ここが俺の部屋?」


写真を確認すると色々な写真を撮っているのがわかる。

スポーツ、文芸、そしてモデルとして撮ったクラスの女子たちまで。

あっ、際どい写真まである。


「よいこには見せられないよ!」


と言いたいぐらい。

写真の一つ一つを見ている俺。

その時、


「うぐっ!!!あがっ!!」


いきなり頭が割れる痛みを味わう。

頭の中に情報が流れてきたのだ。

僕は、俺は?

何で記憶がないのか。

衝撃で一部を思い出す。


ここはどこだ?


「どうしたのライローグ?」


いきなり呼ばれる。

ここは?

花嫁姿の女性。

彼女は?


「ああ、ゴメン。せっかくの結婚式なのにね。」

「ううん、気にしないで。私とカイルを結んでくれたのは貴方だもの。」

「いやそんなことないよ。君が頑張ったからだよ。」

「もうっ!私、知っているのよ?貴方がカイルに近づく女性たちに邪魔してたの。」

「あっ・・・・」


僕は言葉がでなかった。

ばれていたらしい。

まあ、素直に答えるか。


「そうだよ。勇者カイルの喜ぶ顔が見たかったからね。」


そういう僕に彼女は


「本当に?」


と言われた。


「えっ?」

「本当はそんな理由じゃないでしょ?」

「だからそれだけだって!」


そういう俺に


「嘘つき!!!!」


彼女は怒鳴る。

そして、静寂が流れた。


「私ね、貴方が私のことを好きなのは知っているの。」

「えっ?」


いきなりの告白に僕は驚いた。

そして話し出す。


「私は貴方が私と結婚をしてくれる。そう思っていたの。」

「だからそれは・・・・」

「お願い!最後まで聞いて!」

「でもあなたは、私とカイルの結婚。人間と悪魔、あやかし等の平和を望んでいるのよね。」

「・・・・・・」


僕は答えれなかった。

そうなのだ。

僕は今、争いで世界を滅びかかっている。

弱い人間たちは強い悪魔やあやかしに命や食料を奪われる。

弱い悪魔やあやかしは強い人間に倒され経験値や金品を奪われる。

そんな糞な世界に俺たちは生きているのだ。

だから僕は世界平和を望んでいた。

その為の人間とヴァンパイアの結婚なのである。


「貴方は私に優しかった。笑わせてくれたり奥手のカイルと三人で出かけたり。私は楽しかった。」

「そう・・だね。」

「だから、私は貴方に感謝してるの。」

「・・・・・」

「ねぇ、私のこと好き?」


彼女の素直な気持ち。

僕は返事ができなかった。

そのかわりとして


「・・・・セオン。」

「なに?」


振り向いた彼女に


「えっ?うっ!!!」


無理矢理キスをした。

しかし抵抗はなかった。


三十秒。


静かな時が流れた。

そして唇から離れた。


「もうっなにをするのよ。」


彼女は怒っていなかった。

そんな彼女に僕はこう告げる。


「もうお前たちの前にあらわれないよ。」


驚く彼女。


「えっ!ライローグそれって・・・!」

「ここでお別れだ。じゃあね。」


僕は返事を聞かず走り去る。


「ちょっと待って!ライローグ!!!」



俺は意識を取り戻した。

そうだよ。

俺はあの時に・・・・

恋をしてたんだ。

頭を抱えて後悔するのであった。

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