第百十八話 「勇者の意思とアイツと」
こんばんわ。那祢です。
キサラギ編最終章始まります。
約束を守らないカイルは?
またあとがきで。
「勇者カイル、ご挨拶を!」
再びカイルの名前が呼ばれた。
カイルはもう一度こちらを振り返る。
- にやっ -
「うっ!!」
嬉しそうなんだが・・・・
何かを企んでいる顔をしている。
いやな予感が・・・・・・
そう思いながらカイルを見ているとヤスベと合流して奥の部屋に向かう。
王様に誘われたのか?
二人は別室へ消えていった。
会場はまた賑やかに戻る。
でもこのままではいけない。
この世界は創造神の作った物だ。
奴が良いイベントを用意すれば良くなり悪いイベントを用意すれば悪くなる。
奴のさじ加減で決まってしまう。
そんな奴が後々に与えたイベントが二つ。
①勇者カイルの伴侶は1人に絞らなくてはいけない。
②ライローグ(俺)の伴侶も1人でなくてはいけない。
はっきり言って一夫多妻制を考えて二人と結婚してもらおうと思っていた俺にとってはいい迷惑だった。
ここまで仲良くなるために上げた人の好感度を下げる。
それがうまくいっていなかった。
だから・・・・・
だからこそ、ここでどうにかしなければいけない。
そう考えていたのに。
王様がカイルを呼んで数分後。
「皆の者!静粛に!」
王の従者が声を上げる。
「フリーダ王、御成りー!!!」
ひな壇の方のカーテンが開く。
そこには王様が王座に座っていた。
「おいおいおい・・・・まだ王様出てくる場所じゃないんだが。」
俺は一度クリアーしてるから知っている。
シナリオだとここにはまだフリーダ王は出てこないはずだった。
正式には勇者になった者がその後、魔王や魔神を倒して真の勇者と認められた時に王様と会見する。
まさにチョイ役だ。
が何故ここに?
そう思っているとフリーダ王が話し始める。
「やあ、皆の者。わしはジルクブームの王、フリーダ五世じゃ。本日の招待、喜びたもうぞ。今は若き芽の君たちはこれから旅立とうとしている。わしの学生時代はな・・・・・」
あらま。
少し長そうな話が始まってしまった。
会場の参加者たちも同じ顔をしている。
そうなんだよな。
王様と校長の話は全くと言って長いんだよな。
昔のエピソードを入れてきたり笑わせようとして失敗して長くなったり。
おや?
「で話が長くなりそうなのでここらで話を終わらせてもらおう。ご卒業、おめでとう。」
空気を呼んだのか少し早めに終わった。
多分この後か。
王様が王座に戻り従者が出てきた。
「引き続きましては勇者の花嫁、婚約者発表を行います。」
- パチパチパチ・・・・・ -
会場が拍手で埋め尽くされる。
多分ここにいる誰もがこれを心待ちしていたんだろう。
俺にとっては最悪なんだがな。
「では勇者ヤスベ、前へ。」
ヤスベが出てきた。
軽装だがかなり凝った鎧を着ている。
どちらかと言えば鎧武者っぽい姿だ。
「婚約者は・・・・ジュリー先生ことジュリー・ミド!!!」
会場が沸き上がる。
先生と教師の禁断のカップル。
考えてみれば女子コミックでは王道、男子コミックでは憧れなんだよな。
「この二人が婚約したことによりスレイバルフェルド学園は勇者の加護が与えられます。」
- ワー!ワー!ワー! -
学校の先生たちは嬉しそうに喜び涙を流していた。
加護がある場合その国、場所は優遇されるシステムとなっているのだ。
そう言えばジュリー先生出身地が無いから学校にしたんだっけ?
ジュリー先生を見ると・・・・
俺に対してウインクしてくれた。
ははは・・・流石先生だ。
となったら次は・・・・
「では勇者カイル、前へ。」
カイルが出てきた。
こちらは騎士っぽい鎧を着ている。
ヤスベが黒っぽい鎧を着てたのでカイルは白をモチーフにしたんだろう。
そんなカイルが連れてきたのは・・・・
やはり二人!!
シャンメールと・・・キサラギだ。
二人も登場したことに会場が盛り上がる。
「勇者カイルの婚約者は・・・・・・・な、なんだお前は!?」
いきなり従者の横に学生が現れる。
あ、あの顔は・・・・・
俺はそいつの顔を見るために最前列へ向かう。
「がっかりしたよ君たちに。特にエルグーラとライローグ君。」
そこにいたのは創造主だった。
学生に紛れ込んでいたようだ。
会場を警備していた兵士が捕まえようとしたが
「邪魔。」
その一言を言い手を振りかざすと彼らは霧のように消えていった。
それを見た参加者の悲鳴が上がる。
フリーダ王もその場を後にしようとしたが創造神の魔法なのか固まって動けなくなった。
「カイル君、何であなたは親友の話を何故聞かない?なぜ私の作った世界をここまでめちゃくちゃにするの?」
は・・・?
今めちゃくちゃにしてるのは手前なんすけどー?
そう思ったが言わなかった。
俺も気になる点があったからだ。
「はあ、めちゃくちゃにした覚えなんてないんだけどな。これ、わからないかな?」
「あっ!それは!!!!」
見覚えがあるものだった。
そう、それは俺が無くしていたメモ帳だったから。
「俺の無くしたメモ帳!!!カイル、何でお前が持っているんだ!!!」
俺はカイルに指さして言う。
「彼方、何でこんな大切なものを無くしているのです!!?」
創造主は笑顔だが少しひきつった顔でこちらを見る。
「ごめん、ライローグ。君のメモ、借りっぱなしにしていたよ!」
「お前!!わかっていて持っていたな!じゃあ今までのイベントや魔王討伐は・・・・」
「これで全部わかっていたから楽勝だったね。わからない情報もこいつが教えてくれるし。」
「ふざけるな!」
持っていたのは何となくわかっていた。
が怒らずにはいられなかった。
無くした時は大変だったんだぞ!
ヤスベに好感度聞かれたびにって。
ん?
でも、イベントの事って何か書いてあったかな?
・・・・・・・・
ああ、そうか。
このメモは持ち主が触った者の情報が更新される不思議なメモだ。
なら勇者が陽キャであちらこちら男女構わずふれあいコミュニケーションとれば更新しまくりだってことか。
ならば・・・・もしや!
「馬鹿者!!これでは攻略本を持っているチート男、チーターじゃないか!」
「すみません。」
「そこだと話しづらいからお前もこい!!」
創造主は俺を浮かせて舞台に上げる。
「これで役者はそろったね。」
勇者と創造主とライローグ。
今、三つ巴の戦いが開かれた。
ライロ―グと創造神とカイル。
このままシャンメールの国と学園は滅亡するのか?
次回はお休みします。
またよろしくお願いします。
那祢でした。




