第百四話 「数ヵ月では何も変わらない」
こんばんわ。
那祢です。
外が寒い!
暖かい服を着て体調管理を。
皆さんも寒い冬、頑張りましょう。
今回は数か月後の話。
またあとがきで!
それから俺は勇者におすすめした彼女たちの情報を沢山話していった。
カイルとキサラギはあのイベントのおかげで結構仲良くなり俺の教室内でも会話をするようになった。
まあ俺にとっては仲の良かった幼馴染が男とイチャイチャしているのを見て少し微妙な気持ちにもなるが。
彼女の幸せを願うならこうした方がいいんだよな。
人を化かすだけの狐よりかは・・・偉大なる勇者との結婚を願う方が。
たまに俺も誘って三人で話すなどへたれな所もあるが良い方向に向いてるのだろう。
さてもう一方も何とかなったか。
話にのる気がなかったヤスベとジュリー先生ペア。
ジュリー先生とセツの二人に囲まれて只今幸せ状態に。
・・・・・本当なのか?
ここは保健室。
- ガラガラ・・・ ー
「失礼します・・・・・」
静かにセツは保健室に入る。
なぜ静かになのか?
理由は簡単。
体育の授業ヤスベはセツに手を振りよそ見をしていた。
そしてダンクシュートした学生の膝が顔面ヒット。
すぐに男子に囲まれ保健室行き。
そして今に至る。
「あらあらーあなたー雪女の子。セッちゃんじゃありませんか?」
上から声が聞こえ天井から液体が降ってきた。
そして声の主になる。
「ひゃっ!ジュリー先生!!!」
「驚いたー?スペシャルパフォーマンスですよー?保健室へいらっしゃーい。怪我でもしたのー?」
「いえそれは大丈夫です!え、ええっと先生、ヤスベ君は?」
「奥で寝てますよー?あらーもしや・・ヤスベ君をお待ちですかー?」
「いいいいえっ!とんでもございません!わ、私なんかがヤスベ君の事を思うなんて・・・ふきゅぅ。」
セツが顔を赤くして倒れてしまう。
顔が少し溶けかけている。
恥ずかしがったり体温が上がると溶けてしまうようだ。
「あら熱っぽいー。本当に保健室が必要になってしまいましたわねー。」
「きゅぅ・・・・・」
「あららーお仕事ですねー」
ジュリー先生はにこにこしながらセツを保健室のベッドに運んで寝かしつけるのであった。
・・・・と取り合うわけでもなく何故か二人とも仲が良い関係になっている。
この調子で両者ともうまくいけばいいのだが。
それから二か月後、事件が起こる。
「お前は何様にゃ!!!!!!!」
「ライローグ様でーす!!」
この声を聞けば誰だかわかると思う。
キサラギだ。
俺はキサラギと言い争いをしていた。
「うるせえな!俺は忙しいんだよ!だからお前と遊んでる余裕などないんだ!」
「何言ってるにゃ!たかがデパートへ買い物に行かにゃいか誘っただけじゃにゃいかー!」
「にゃーにゃ―煩いな!」
街を歩いていたらキサラギと偶然出会った。
俺はこいつ・・・キサラギのスチール収集のため近くまで来ていた。
そしたらデパートにて偶然出会い遊びに誘われるんだが・・・
勇者イベントを起こすなら俺が邪魔になってしまう。
「じゃあな。」
颯爽とその場を去ろうとした。
「待つにゃ!」
しかし回り込まれてしまった。
さすが猫妖怪。
めちゃくちゃ運動神経がいいな。
「だから何だって言うんだ・・・」
イライラした俺がキサラギを注意しようとした時だった。
「やあ、ライローグ。」
「!!!」
いきなり声がかかった。
この声は・・・・・・
そっと声がした方を振り返る。
そこにはカイルがいた。
「や、やあカイルどうしたの?」
「やあって君がキサ・・・」
「ごめんキサラギ!彼とちょっと男同士の話がしたいから借りていくね?」
「にゃ?」
俺は勢いよくカイルを連れてその場を離脱した。
騒ぎ声が多いデパートの中でもキサラギは耳がいいから聞こえてしまう恐れがある。
なので・・・・
遠くで彼が寄れない場所・・・・
俺たちはデパートのトイレに向かった。
トイレにつくと
「おっ!連れショんか?」
目を輝かせながらこちらを見ていた。
「はー。ちげーよ!お前さー俺が話した情報、あの場所で言ったら駄目だろ?」
「えっ?なんで?」
「何でってお前キサラギを攻略・・・恋仲になるためここに来たんだよな?」
「そうだけど?」
「だったらキサラギがここにいるってこと俺が知ってたら怖いだろう?」
「確かに!」
確かにって気が付くの遅いんだけどな
「しかもデートにつながるイベントなんだから俺はお邪魔虫になるってわけさ。だからさっさと離脱しようとしていたのにお前―。」
「来るのが遅すぎたと・・・・」
「ああ、なんか用事があるならしょうがなかったと思うんだがな。」
そうあなたが来るのが遅すぎたの・・・・・
だから俺はキサラギにさっきから遊びのお誘いを受けていたのだ。
「ま、ごめんよ。午前中ちょっとやることがあったからさー。」
「やることって・・・まあいい。じゃああとは任せるからキサラギの元に行くぞ。」
「ああ、任せろ!」
「じゃあさっさと行く!」
「おい!押すなよ!あはははは・・・」
俺たちはトイレから出てキサラギの元へ。
あ、いた。
待ちわびたのか腕を組みながら足をシタシタとリズムをとって待ち構えていた。
よし、あとはお前に任せたぞ!!
俺は二人が見える柱に身を潜めた
こちらを確認してるのかカイルがキョロキョロしている。
目があった!
目があったカイルは静かに頷いた、。
本当に理解したのか?
「ああ、待たせたね」
キサラギに声をかけるカイル。
うんうん。
待ち合わせってこんな感じだよね
「男同士の話は終わったにゃ?あれ?ライローグは?」
今度はキサラギが回りを見渡す。
バレないように妖気を消した。
妖気は妖怪それぞれですぐに居場所がバレてしまうことも。
無心の心や悪さなど考えなければこちらに気がつかないはずだ。
「ああ、ライローグは・・・・・・トイレだってさ。長くなりそうだって。」
もっとましな言い分なかったか?
それだと便秘さんと呼ばれる気が。
「大丈夫かにゃ?あいつ昔からお腹と胃が弱いからにゃー。」
「えっ?そうなの?火なり丈夫な気がしたんだけど。」
そういう情報はいらん!
むしろ恥ずかしいから言うのはやめろ!
「へぇー。詳しいんだね。」
「まあにゃ。昔から・・・・知ってるからにゃ。」
「ふーん。じゃあ待つ間何処か遊びに行きますか?」
「う、うーん。いいにゃ。久しぶりにライローグ誘ったから今日は・・・・あいつを待つにゃ。」
「そのまま帰ったら?」
「えっ?」
「約束した?もし来なかったら?」
キサラギの目が泳いでそっぽを向いた。
俺は知っている。
寂しいときに見せる顔だ。
昔、高い木があり皆で上りあった。
ただ、キサラギだけ上れなかった。
猫なのに高いところが苦手なのだ。
その時に見せた顔。
俺はそれに耐えれず人化の術を覚え抱えて上った覚えがある。
その顔だ。
「はあっ。」
俺も甘いな。
「カイル、キサラギ。お待たせ!」
俺は二人の前に姿を見せた。
「ライローグ!?」
「あれっ?ライローグ?」
笑顔になるキサラギと驚くカイル。
はあ、しょうがねぇな。
「さて、三人で遊びにいくか?」
俺のその問いに
「まってたにゃ!いくにゃ!」
「ああ、是非いこう」
元気よく返事をする二人だった。
どの映画を見るのかもめたりファーストフードに立ち寄ったり楽しい一日だった。
この日々が続けばいいのに。
そう願ってしまうライローグがいた。
ライローグの願いは叶うのか?
それとも無に終わるのか?
次回もお願いします。
那祢でした。