ファルスティーナ編後編 「恋する二人の吸血鬼」
こんばんわ!那祢です。
今回はギリギリなのでまえがきあとがきまたあとで更新します!
ではまた。
遅くなりました。
今回はファルスティーナ編最終章。
勇者カイルの目的は?
あの涙の訳は?
あとがきで。
やあ、俺だよ。
カイルだよ。
俺、とうとう勇者としての依頼が来たんだ!
なんと、魔神討伐指令!
しかも、ファルスティーナの父宛に依頼されたんだ。
このクエストを達成すればファルスティーナはますます俺にぞっこんLOVEに!?
ならばやるしかないってやつだってばよ!
でも。
でも俺は最近、気になっていることができたんだ。
それは・・・彼女が最近よくスマートフォンで楽しく会話をしている事だ。
どうやら相手はライローグ。
練習中以外でもライローグからのアドバイスを聞いたり相談したり。
暇な時にはメールもしている。
・・・・・
何がそこまで気になっているかって?
普通、彼氏持ちの女の子に頻繁に電話するか?
恋するようアドバイスされた俺の気持ちになれっ!
クソモブがよっ!
アイツだけはゆるせねえ。
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ある日、練習を確認しに行ったのだが。
そこで見た光景に俺は固まった。
ファルスティーナが・・・・・
アイツとキスをしたのだ。
今のはファルスティーナからキスをしに行った。
その時、俺は確信した。
― ファルスティーナはライローグが好きなんだ! ―
だからデートに誘ってもハプニングイベントが起きない。
言葉のキャッチボールをしてもうまく伝わらず好感度が上がらないなど。
思い起こせば数々あった。
だからこのことは俺の中ではあってはいけないことだった。
その後、ライローグの婚約者セオンがやってきた。
ファルスティーナに似ているが目元などが少し釣り目でどちらかといえば悪役令嬢に見た目が近かった。
悪役令嬢?
俺はその言葉に止まった。
悪役令嬢。
それは女性向け恋愛ゲームの中で主人公を邪魔するために作られたヒロインキャラクター。
主人公がその男性キャラを選ばなければ当たることのないまさに当て馬。
しかも主人公に嫌がらせをして最後には修道院送りか追放。
悪ければ死亡などあるかわいそうなキャラである。
死亡?
俺はその言葉に対し少し考えていった。
いよいよ卒業パーティーの日。
俺はファルスティーナをエスコートして会場に入る。
皆が俺とファルスティーナの登場を歓迎してくれた。
一区画を残して。
ライローグだ。
アイツ、女性を二人はべらかしている。
くそっ!
こっちが主役なのに!!
俺は一応、声をかけることにした。
「やあ!ライローグ!」
ライローグが振り替える。
「カイルじゃないか!どうしたんだ?」
「えーと、どうしたんだって聞かれると困るな。一応友達に会いに来てるんだけど。」
「友達?単に気になった女の子の情報がほしい時にしか呼ばないくせに。」
「な、なにおー!」
お前はそのためだけのモブキャラなんだろ!
生意気な!
ならば・・・・・
「じゃあ他には?暇潰しするために来たんじゃないだろう?」
「ちっ。知ってたんじゃないか!君に紹介したい人がいるんだ。いいだろ?」
婚約者の紹介。
貴族では当たり前の行為なんだが。
「お待たせいたしました。あら?」
「待ってましたよ。ファルスティーナ。」
ファルスティーナがやってきた。
リクエストでドレスアップしたファルスティーナが。
黒い光沢のドレスにアクセントの白。
俺の服が白いタキシードだけに色が映えるようにした。
そんな姿のファルスティーナをライローグを凝視する。
確認するとファルスティーナが手を振っていた。
「うちの嫁が何か?」
「いや、何も。」
「じゃあ、何故、ファルに手を振っていた?」
「綺麗な女性に振られたら振りかえすのが紳士だと。」
「確かに、一論ではあるな。」
あるわけない!
俺のだ!
「カイル。」
そう思っているといきなり呼ばれる。
「ん?」
ライローグだ。
いつもへらへらしている顔が少し違う。
まさに真剣そのものだ。
「僕も行きたいが邪魔になるだけだ。だからお前に皆の命を預けてある。」
「あ、ああ。」
「だから、全員無事に帰ってこいよ。」
「・・・・・・」
カイルは黙りこむ。
無事?
そんな簡単に終わるなら誰でもやっている。
気楽な事言いやがって。
でもここは穏便に・・・
「約束するよ。全員傷なしは無理かもしれないが必ずな!」
「頼むよ・・・」
嘘は言っていない。
真実を述べただけだ。
そう伝えるとライローグが何故かうずくまった。
「どうした?ライローグ?」
「いや、胸が痛くて。」
あーこいつ。
恋したことないんだな。
だから失恋の痛みを・・・・
「ファルの事か?やらんぞ?」
「失恋とかじゃないんだが。あといらないよ。」
だから失恋だって。
この世界でそうなっているんだよ!
「ただ昔同じようなことがあった様だけど思い出せないだけさ。」
「そうか?ならいいけどな。」
周りの人と話をしに行っていたファルスティーナが戻る。
「お待たせしました。で、先ほど話が聞こえてきたのですが何を二人で話をしていたのでしょうか?私がいるとかいらないとか?」
ふふふ・・・・・
さっきの言葉聞こえていたな?
このまま嫌われろ。
「ライローグ、私は回りの人たちと話がある。頼んだぞ?」
「ちょっ!カイル!」
俺はその場を後にした。
その後、パーティーは無事終わった。
そしていよいよ旅に出る。
一年目は主にレベル上げ、戦闘技術を上げるのに勤しんだ。
このままでは弱いままだからな。
魔神を倒すにはレベルが必要だ。
安全かつ効率を選び俺たちは戦った。
はやく魔神を倒すために・・・
二年目。
少し強いボスを倒したところだ。
俺たちもガーゴイルや中級悪魔なら簡単に倒せるぐらいになった。
特にセオンの魔法が役に立っている。
彼女は範囲魔法が使えるからだ。
ファルスティーナは魔力量が少ないため魔法の連発ができないが・・・
彼女はそれをこなしてしまう。
うむ。
ライローグにはもったいない。
そう思っていたそんな時だった。
セオンが・・・死んでしまったのだ。
それは魔神戦だった。
数ある戦いで隊の士気も落ちていた。
そんな時にファルスティーナが少しのミスで怪我をしてしまう。
俺も回復魔法や手持ちのポーションを使おうとしたが他の方が傷が多いと遠慮されてしまった。
そしてそのまま魔神との戦闘に入ってしまったのだ。
魔神はやはり弱っているものから狙ってくる。
そう、ファルスティーナだ
彼女が魔神にかかっていたバフを取り除く魔法を唱えていた。
その時に少し隙ができてしまったのだ。
狙ったかのような魔神が唱えた一つの魔法。
高圧水流みたいな魔法が彼女を襲った。
それを庇うために・・・・・マリアンが盾で防ごうと右腕を構えたが綺麗に吹き飛んでしまう。
そしてファルスティーナに。
寸前の事でセオンの魔法障壁にあたり・・・・弱くなったものが彼女を貫いた。
ヴァンパイアは修復能力が高い一族なのだが魔法障壁で魔力を使いすぎたセオンにはできなかったのだ。
このまま消滅するのは忍びない。
だから俺は前から聞いていたヴァンパイアの禁書に書いてあった魔法。
『融合』を使うことにした。
通常ならファルスティーナの方が弱いが今ならば・・・・
劣化したセオンなら。
そう思い融合させた。
俺の予想通りファルスティーナが残った。
顔つきも少し釣り目でますます俺好みに。
魔力量が増えたファルスティーナはまさに最強だった。
魔法障壁をこなしあっという間に魔神を追い詰める。
まさに化け物だった。
ライローグめ。
これを聞いたらどんな顔するのだろう?
少し楽しみになった。
そして旅が終わり帰国する。
まず先にライローグの元に行く。
あの話をするために。
「ライローグ、お前は見ていなかったから分からないが魔神はかなり強かった。大きさは俺達より大きく巨人属より少し小さい。そして右手を凪ぎ払えば疾風が舞い、息吹は炎を吐く。そして様々な魔法を使ってきた。」
ここは嘘偽りなく話す。
信憑性を増すためにだ。
「反撃の余地なしに怒濤のごとく降り注ぐ攻撃。その攻撃に耐えきれずバリアを張っていた私の妻のファルスティーナがダメージを負ってしまった。」
嘘
「そこで考えられたのはファルスティーナとセオン。この姉妹のさだめ、ヴァンパイア一族の掟に従うことにしたのだ。」
嘘
「知っているか?ヴァンパイア一族は子どもが多く存在する。それは何故か?理由を知ってるか?それはな融合するためだ。優れた者に劣化した者が吸収される仕組み。そして力をあげる。彼女らの父から聞いていないのか?結婚する時に話を・・・」
嘘
あ、婚約する時だったな。
ライローグを陥れるため付け加えて話していたから混ざった。
そんな話をしているとライローグの顔色が悪くなり・・・・
― バタン! ―
倒れてしまった。
少し気分がいい。
そう思っているとファルスティーナが駆け寄ってきた。
「ライローグ!カイル、あなた何をしたの?」
かなり怒っている。
「俺は何もしていない。セオンのことがショックで気を失ったんだろう。」
ぶっきらぼうに答える。
そして近くの仲間を呼んでライローグを運ぶとファルスティーナは心配だったのか付き添いでその場を後にした。
「ちっ!」
舌打ちをする。
それから凱旋パレードを行いパーティーをしてあっという間に三日たった。
ファルスティーナはライローグの容態が気になり様子を確認しに行っている。
二人きりは気が進まないが・・・・・・
ここは紳士らしくしないと嫌われるからな。
あとマリアン。
出血多量でそのまま亡くなった。
遺体は氷魔法で凍結したのでここまで運んでこれた。
まあライローグがわからないように町の端に墓でも作っておいた。
聞かせたらどうなるのか?
少し楽しみだ。
そう思いライローグの病室を訪れた時だった。
病室から怒鳴り声が聞こえる。
何者かとファルスティーナの声だ。
衛兵もいない。
しかも部屋の中からものすごい魔力量を感じる。
部屋に入るとファルスティーナがまよいがに飲み込まれていた。
「た、助けてっ!・・・・・!ライローグっ!ライロー・・・・」
「お前っ!何しているっ!」
病室には俺は驚いた。
そこには大きな化物がいた。
真っ黒な黒狐。
そう例えるのがわかりやすい。
「我は魔王。ファルスティーナを助けたければ我が空間まで来るがいい。待っているぞ!勇者。」
「魔王!ファルスティーナを返せ!」
俺は剣を振る!
光の閃光が凪ぎ払われるが・・・・
寸前で黒狐は魔空間に消えていった。
「くそっ!アイツ!」
手間をかけてくれる!
絶対許さない!
「衛兵衛兵!!!」
俺は城の医療所から
人間と魔王の戦いが始まった。
愛するものを取り戻すために・・・・
十数年後。
俺はようやく魔王を倒した。
長い長い戦いが終わる。
いや、倒したではないな。
まだ生きているから。
「何処に行くのだ!魔王!」
魔法によって飛ばされた俺。
到着すると魔王は剣が刺さったまま家の中に入っていく。
致命傷のはずだ。
だが奴は動いていた。
一軒家。
アイツは一人寂れた場所にやって来た。
学園都市も戦火に包まれ朽ちた場所があった。
その中でもただ一つ残った家があった。
避難する際ここに逃げ込んだもの達は怪我一つなく助かった。
そんな神聖な場所だ。
中を覗くと魔王はただただ独り言をいいながら何かをしている。
一人で皿を並べて・・・・
そして姿が変化を起こす。
奴は元の姿に戻ったのだ。
最悪なことに自分の知っている者。
悪友に。
「ら、ライローグ。お前だったのか?」
ボロボロの服を着た狐が椅子に座っている。
その服のポケットから携帯が落ちる。
かなり古い携帯だ。
そこには笑いあっている五人の姿があった。
ひきつった笑いのファルスティーナとセオン。
無理矢理に肩を組んでいるマリアンと嫌そうにしているライローグとカイル。
「あ、あのときの写真だ。」
学生時代に嫌でしょうが無かったけど一枚写真を撮ることにした。
無理やりくっつかされる俺とアイツ。
ファルスティーナもセオンとくっつくのを嫌がっていたな。
回りには女の子が集まって笑いあって・・・・・・
その時の写真がなぜ?
よく見ると文字がはいっている。
ー 仲良し五人、ずっと友達だから! ー
あれ?
アイツは俺の事嫌いではなかったのか?
俺はファルスティーナを盗られるって。
考えてみればアイツからそんなこと一度も聞いたことがない。
ファルスティーナを好きだと言うのを。
ファルスティーナの特訓、淑女へ練習に付き合っていたライローグ。
俺へのアドバイスだってこなしていた。
それって?
もう一度ライローグの携帯の待受画面を見る。
ガラスが削れるぐらい触っていたのか傷が・・・・
まさか俺って・・・・・
訳がわからず闇雲にライローグを恨んでいた・・・・・
横に転がる死体を見る。
至福の顔をしながら横たわるライローグ。
ようやくうちに帰ってきた。
愛するものが迎えに来たのか?
その顔を見てカイルは寄り添い泣き続けるのであった。
「いかがでしょうか?良い話になりましたよね?まさに友情ハッピーエンドでした。」
少年は拍手をする。
「英雄も友達も死んでしまえばそれまで。まあ、長く生きていた方が正義ってこともありますしね・・・ってね?まあ友情なんてそんなものです。愛を大切にしてください!」
すると一度暗くなる。
そして場所が移動して画面前に。
「どう掴むかはあなた次第ですが。でしますよね?コンテニューすれば。一度きりの人生にはないですけどね!あっははっはー!」
まぶしいスポットライトが当たって喜んでいる少年。
「では次回も良い物語ストーリーでありますように。頑張ってください。」
そういい消えていった。
ライローグに憎しみしかなかった今回のカイル。
最後に友達とずっと思われていたのに気がつきます。
彼が愛したのは何だったのでしょうか?
で次回はお休みします。
いきなりですみません。
新展開にしたのですが・・・・・
間違ってボタンを押し消えてしまいました。
すみません。
またお願いします。
那祢でした。




