第九十九話「自分の手で失われた命」
こんばんわ!
那祢です。
台風接近で少し怖がってます。
さて今回は石になった二人の話。
無事解凍され生き延びるのか?
それとも?
またあとがきで!
石化された僕はそのまま視界が暗くなる。
一度目を覚ますが・・・・・
「・・・・・。・・・・・。・・、・・・・・!!!」
何かが叫んでいるが見えない。
そして辺りが暗闇に・・・・・・・
暗闇に?
ー ユラリ・・・・・ユラリ・・・・・ ー
空間を漂って・・・・・
「おいっ!」
僕はこの光景に気がついた。
まさかこれって・・・・・
確かこの後一筋の光につつまれて・・・・
ー ピカーっ! ー
言葉通りに眩しい光に包まれた。
僕の想像が間違っていないならここは・・・・
『そうだよー?君は又、死んだのさ!』
子どもの様な甲高い声が聞こえた。
首を右に曲げるとそこには暇だったのか釣りをしている創造主がいた。
後ろを向いている。
「なあ、創造主。」
『無視でーす。』
「聞いてるのか?創造主!」
『アホな子の話は聞きませーん!』
耳を手でバタバタしながら塞いで後ろを向いている。
アホな子?
疑問が浮かんだ。
アホな事等一切していない。
多分。
「創造主・・・・様?」
こいつのご機嫌とりではない。
だが敬意を払うことができない人でもない。
様さえつければ・・・・
『大正解です!ライローグくん!そしてお帰り!』
回りを見渡す。
やはりここは何回も来ている死後の世界だ。
創造主がいるのだから間違いないだろう。
『そのとーり!君は死んだからここに来たんだよ?』
「死んだ!?」
僕は石化されただけだった。
だから最初みたいミリュン先生がジュリー先生に頼んだように石化解除技術があれば治るはず。
『あー。それね・・・・』
創造主が頭を掻いている。
なんか変な質問でもしたのか?
話したくないようだったが僕は気になってしょうがなかった。
残された仲間たち。
石化前のアルムファイムの一言。
魔王の討伐。
勇者二人のその後。
そして一緒に石化した愛しいメドサ。
彼女は無事だったのか?
ツンツンしているけど人に甘えたがりやなツンデレ彼女。
最初は苦手だったけど意思の強さ、前向きさが魅力的。
アルムファイムの付き人も彼女が一緒だから・・・・
『おやおや、色々考えこんでー。そんなに見たいの?聞きたいの?』
創造主が僕の顔を覗き込む。
嬉しそうな顔だ。
僕にとっては悪魔の微笑みに見える。
僕はその問いに無言で頷く。
『あははは!ならしかたないねー。見せてあげるよ!』
「あり・・・」
感謝の言葉を言おうとした僕の唇を創造主は人差し指で邪魔をする。
『感謝の言葉は要らないよん。だって・・・・』
回りが暗くなる。
『絶望するからさ。君はもう・・・・・』
僕に聞こえたのはそこまでだった。
画面が見えてきた。
石化されたメドサ。
その抱き締めている石像。
あれ?
僕はその石像に異変があることに気がついた。
だって・・・・
そ、それは・・・・
「ようやく治せるのですね。」
その場に一人の女性がやって来た。
年齢は少しシワがあるので四十歳ぐらいかな。
服装は大きな真っ赤なドレスを着ている。
どこかの姫なんだろう。
ティアラもしているし沢山の兵士を連れてきていた。
「ようやく完成したこの薬で・・・・・貴方たち、早くこれを石像にかけるんです!」
「はっ!」
部下の兵士が小瓶を受けとる。
そしてすぐさまメドサと僕の石像にかけ始める。
石像のかけた場所からけむりが発生する。
僕は一度石化を解くときそれを見たことがある。
あ、でも・・・・・
それはダメだ!!
今、メドサと僕を石化から解除しちゃ!
駄目なんだ!
「あ、あれ?」
メドサが目を覚ましてしまう。
「おはよう。メドサ。二十年ぶりですね。」
メドサは声のする方を見る。
「そ、その声はアルムファイム様?」
「当たりよ。今はアルムファイム女王ですけどね。」
やはり、アルムファイムだった。
顔と声で何となくわかった。
だがそこではない!
早くメドサを!
そこから離さないと!
「で、いつまでそれを持っていますのメドサ?」
「それ?あっ!ライローグ!!」
メドサが抱き締めていたライローグを思い出す。
彼女の大好きなライローグ。
自分から告白して付き合ってもらった。
抱き締めたままで何年も固まっていたなんて!
恥ずかしい!
笑顔で彼を見る!
今でも強く抱き締めてくれる。
最愛の彼氏・・・・・
「メドサ、見ちゃダメだー!!!そ、それは・・・・・」
『あははははははははははははははははははははは・・・・・・・』
何処からか笑い声も聞こえた。
「ライローグ。ライローグ。ねえ、ライローグ!!」
兵士は無言の者。
目をそらす者もいる。
メドサはまだ気がついていない。
それに気がつくのはすぐだった。
「あれ、軽い・・・・」
メドサは抱き締めているものが異様に軽いことに気がついた。
そして、さっきは暖かかったのに冷たい。
両腕でライローグを持ち上げてみた。
「・・・・・・・・!!!?!」
彼女は言葉を失う。
そう、そこには下半身がないライローグだったからだ。
僕は吐き気をもたらす。
だがこの空間はご都合主義なのか吐けない。
『僕の部屋だからね。僕が決めれるのよ。』
手を降る創造主。
「あ、あ、ああああああああああ・・・・」
やっと言葉が出たメドサ。
状況が読めないメドサにアルムファイムが近づく。
「早く、その塵を捨てるのよ。メドサ。」
「ご、ゴミ!?違う!私の彼氏だ!旦那になるものだ!だ、誰!誰なの!彼の下半身を壊したのは!」
メドサは回りの兵士に問う。
たまに笑い声も含まれている。
アルムファイムの注意を受けながらもさらにライローグを抱き締めるメドサ。
そんな彼女の問いにアルムファイムは答える。
「何を言ってますのよ?」
「えっ?」
「ライローグ、彼を殺したのは・・・・・」
い、言うな!
アルムファイム、黙れ!
それ以上は!
「貴女ですよ?」
「えっ?」
回りの者たち誰一人喋らない。
「う、う、嘘だ!そんなはずが!」
「だってメド、彼を石化するとき半分しか石化させませんでしたし。」
「嘘だ・・・・・」
「下半身は石化して1ヶ月位で腐り落ちましたわよ。町の人たちにお聞きになれば?たしか、肉と骨は野犬が食べていましたわ!」
「や、止めて!」
「でも一瞬でも又会えたから良いのではないですか!彼が最後の力で抱き締めてくれていたようですし。あら、先程まで開いていた目がもう閉じてますわね。」
「いやーっ!だ、駄目だ!!ライローグ!死んじゃ駄目!!」
半身のライローグを抱き締め叫びながらメドサは崩れ落ちた。
自分が・・・・
自分が彼を・・・・
殺してしまった。
まさに絶望しかなかった。
メドサが落ち着いたのを見計らってアルムファイムは話し出す。
「そういえばメドは固まっていて何があったか知らないわよね?」
「・・・・・・ふぇ」
喉がかれたのか声が出ていない。
「あれから色々ありましてよ。まずは石化をすぐに戻せなかったのには色々ありましてね。」
「そ、そうよ!ジュリー先生は!あの先生なら私たちを直ぐに治せたはず!先生は!」
その問いにアルムファイムは・・・・
口角を上げて笑うように答えた。
「ジュリー先生はヤスベを庇い死亡しました。その後、欠員した二つの勇者パーティを合わせて魔王を討伐。ミリュン先生はカイルと結ばれて私はヤスベと結ばれましたわ。そして今は女王になって・・・・・」
「えっ!ジュリー先生が!」
メドサはアルムファイムの言葉を遮る。
アルムファイムは少し楽しくなさそうだ。
「そうよ。ジュリー先生は失くなったの。」
「嘘よ!ミリュン先生が言ってました!ジュリー先生は無敵だって・・・」
アルムファイムはメドサの近くによる。
メドサはビクンと反応する。
これは身の危険が迫るときにある反応だ。
アルムファイムは又話し出す。
「どうやら盗賊団が持っていたみたいですのよ。スライムキラーを。」
「す、スライムキラーが!?何故!」
スライムキラー。
僕はその武器の名前をはじめて耳にした。
ただ二人はそれを知っているようだった。
それがこの話にどのように関係するのか。
僕はまだ知らなかった。
やはり駄目でした。
ライローグとジュリーが死亡。
そして歯車が狂い違うものと結び付く。
まだまだ話は終わりません。
スライムキラーとは?
他のみんなは!?
又次回もよろしくお願いします。
那祢でした。




