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第十話「記憶」

マリアンと学食を食べ終わった僕は一人行動をしていた。

ふと気になることがあったからだ。


「ごめん、色々聞きたかったんだけどやることがあって。」

「気にすんな。また後でな。」


マリアンは気にすることなく手を振って別れた。

調べてみたいこととは?


食事中マリアンはずっとカイルの話をしていた。

人間のくせにこの学園で生き残ってるのはすごいと思うとか異種に平等にできる人間なんて珍しいとか。

あいつに好きな奴がいるのかとかも聞かれた。

どうやらマリアンはカイルに想いを寄せているようだ。


ーなら僕なんて誘わなきゃいいのにー


心の中でそう思ったが口には出さなかった。

会話をしているその時に一人だけじっと見ている奴がいた。

僕はそれが気になりそいつを探すことにしたのだ。


「あっ、いた! おーい!」


僕はそいつに声をかけると驚いたようで早足で逃げる始めた。


「ちょっと待ってくれよ!」


僕はすかさず追いかけるがあいつは早く離されないでついていくのがやっと。

しばらく後ろをついていくとあいつは教室に入った。

すかさず僕も中に入る。

二人だけの教室。


「や、やっと追い付いたよ。」


逃げていたやつが俺の方に振り返る。

その姿は体中鱗に覆われた鎧みたいな姿。

そうリザードマンだった。

リザードマンが話し始めた。


「オ前、コノ世界ノ人間ジャナイナ!転生者カ?異世界カラ来タノカ?」

「えっと記憶ないんだ~。」

「ソレハスマナイ。俺ノ名前ハ、ブレイ。見タママノリザードマンダ。転生スル前、ヤマモトユウキト名前ダッタ。」

「僕はライローグ。本名は覚えていないんです。記憶が全くないので。」

「ジャアオ前コノ世界知ラナイナ。」


ブレイは一息をはく。


「コノ世界ハナ恋愛ゲーム『恋×戀モンスターラバァーズ』通称コイモンラブノ世界ノナカダ。」

「恋×戀モンスターラバァーズ?」


僕はそんな名前を聞いたことがなかった。

記憶がないだけか?

いや、やったことがない。


ヤマモトことブレイが言うにはこの世界にエンディングが複数あって簡単にはクリアーは出来ないになっているようだ。

彼がクリアーしたのは妖魔種全滅エンドのみらしい。


「となるとうちらは?」

「勇者ニ殺サレル奴ダ。カイルノヤツガウラギッタ。酷カッタゼ。クラスメイトガ切リ殺サレルノヲ見ルノハ。」


そう言うとブレイは頭を抱えながら話始めた。


「オマエノヨコニイタケンタウロスナンテナ・・・」


ーうっ!?ー


頭に痛みを感じた。


「ドウシタ?」

「あ、頭が・・・痛い・・・うっ!」


次の瞬間、封印していた記憶が蘇る。


僕は役目はカイルが愛した女の子と結ばれるようにアドバイスをすることだった。

俺は何気なく同種族の人間であるユミファと恋をするようにした。

その為、俺は他のモンスター娘と恋愛にならないように邪魔したり酷い事をしまくった。

そのお陰かカイルが学園卒業するときにユミファと結婚したのだ。

だがそれが悲劇の始まりになった。

勇者カイルと結婚した人間種の国の王は勇者を手に入れた事で人間社会が世界を支配するものだと発言したのだ。

そして邪魔になる学園や隣国に攻めてきたのだ。

そう、俺の見ている前で・・・

敵になった人間種は妖魔属に酷い事をしたのだ。

ここは学校の中庭。

回りは死体の山。

学校にいた生徒の半分はその中にある。


「助けて!カイル!私だよ!ねえっ!」

「クラスメイトを売るつもり!!やめて!」


巨人やエルフ、ドワーフは金になると捕まえられ魔法封じの呪文を施して戦争の資金に売られた。


「誰が貴様たちの言いなりに!ギャッ!待って!ちょっと!やめて!走れなくなっちゃ・・・」


強気のケンタウロスは足の腱を切られ、いたぶり殺された。


「・・・最低。私、何回殺されるば良いの。うっ!あっ!!」


根暗なヴァンパイアは光魔法で封印されながら銀の杭で手足を射たれ弱くなったところで実験に。


「私たちは仲良くしてたよね?ねっだから酷い事しないで・・・あがっ!」


社交上手なラミアは切り刻まれ焼かれ蛇の部分を兵士の食料に。


「私たちをどうするつもりなのっ!」

「先生!!」

「生徒には手を出さないでっ!私が言うこと聞くから。」

「駄目!先生!・・・」


メデューサ先生や賑やかな化け猫など人種に近い者は弄ばれた後切り殺された。


そう僕のしたことで世界は混沌、絶望し苦しんだ。

そして俺はけじめをつけるため妖気を限界まで吸い込み最上級妖弧になり戦いを挑んだ。


「なぜ君と戦わなければいけない!答えろ!カイル!」

「・・・・・・」


妖弧ライローグと勇者カイルとの戦い。

壮絶な戦いはあらゆる物を壊した。

校舎やお城、周りにいた兵士まで巻き込んで戦う二人。

その戦いは三日にもかかった。

そして俺は油断した。


「いい加減に答えろ!カイル!おまえは!うっ!ガハァ!?」


俺の体は剣で貫かれた。


「か・・カ・イ・・・ルッ。」

「・・・・・・ライローグ?・・・ライローグ!!!」


その時、彼は俺の名前を呼んだ。

落下し地面に横たわる俺をカイルは抱きしめた。


「これは?どういうことだ?学園が・・・みんなは!!!」


そう、あいつは操られていたのだ。


「カイル・・・俺の中に・・・たまった妖気・・・爆発し・うだ・・・。早く・・・離れ・・れ。」

「お前を残していけない!友達だろ!!!」

「君は優しいな。だから・・・」


俺は残った妖術を彼に使う。

一時的にマヨイガに送るもの。

この爆発に巻き込みたくない。


「ライローグ!!!」

「さ・・・よな・・ら・・と・・も・・だ・・・」


送り届けた俺は体にたまった妖気が爆発した。

爆発は凄く周りにいるあらゆる物を飲み込んだ。


「グギャアァァ~!!!」


攻め込んできた兵士や魔法使いは跡形もなく死んだ。

妻のユミファも跡形もなく。

爆発のあとマヨイガからカイルが出てきた。

そこにはなにもない。

今まであった建物も消滅している。

残ったのはカイルのみだった。


「ねぇ。ライローグ?ユミファ?先生?みんな、どこ行ったんだ?」


歩くカイルの上からなにか二つ落ちてきた。

それを拾うと・・・

彼は絶望し怒りと憎しみに覆われた。

一つはユミファに送った婚約腕輪だった。

もう一つは自分がライローグに信頼の証として渡した首輪だった。

その戦い後。

カイルは魔王になりすべての国を滅ぼした。


「うっ!はっ!!!」


それが僕の思い出した記憶だった。



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