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何か変わった?

2 何か変わった?


 詩織はベッドの上で膝を抱えて座りながら、昨夜見た夢のことが気になっていた。

――― 夢って、確か記憶の整理とか何とかって話しやったと聞いたことあるねんけど、昨日見た夢の場所ってまるっきり見たこともない景色やったけど、あれって夢占いとかやと、何を意味しているねんやろ ―――

 昨日見た夢を再び見ないように思い、ベッドへ横になった。部活の疲れが程よく効いているのか、間もなく詩織の意識は夢の中へ落ちていった。

 昨夜の夢の続きを見ているのだろう。意識しないでいたふが、やっぱり見てしまった。

ただ何も起こらない。夢の中だと認識している自分は居るが、意識の輪郭は曖昧模糊としていて区別出来ていない。 昨日と違い、詩織は岸に立ち湖に向かっていた。何故だか解らないが、無意識に手を前にかざしてみた。その時の手の動きに呼応するように、湖の水面には少し変化が起き始めていた。

 それは少しであったが、鏡のような湖面に少しづつ波紋のようなものが広がっているように見えた。直感で分かった。これは自分がした事だと。試しに何かを絡めとるような動作で、掌をひねるようにして上側に向けて握りこんでみると、その動きに合わせるようにして、湖面の水が盛り上がってから、落下した。まるで魚がはねたような動きだった。

「何これ。まさか超能力ってやつ? 私にこんな力が有るって思ってへんかったわ」

詩織は面白がって手を上下左右に動かしてみたが予想通り水面は彼女の手の動きに呼応するように動いた。

なんという万能感! まるでゲームの世界だ。

今なら何でもできる気がした。もしかしたら空も飛べるかも……

ただ、いくら夢の中でもそこまで甘くはなかったのだが、最初から湖の水面に立っていた彼女にとって、今はどうでもいいことだった。

詩織を現実に呼び戻したのはやはり目覚ましの音だった。

「また変な夢」

 目覚めの悪さとは引き換えにやはりというか、疲れは余り取れていない様子だった。

 倦怠感は残っていた。

 今朝の通学路は昨日にも増して気怠かったが、さすがに中学生の回復力はバカにできない。空元気の元気のうちと、詩織は自身に言い聞かせると何故か気怠さまでかき消されていくような感じがしていた。

 ただ、冷静に考えてみれば、夢の出来事程度で翌日まで疲れが残るなどということは彼女らの年齢から言ってもあり得ないことである。しかし、今は彼女自身も気付いていないことだった。

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