1.序章
初の小説投稿となります。
ボチボチあげていこうかと思います。
誤字脱字、語彙力の乏しさは御容赦くださいませ。
ガラガラがラ………
穏やかな春の日差しの下、ガルトラーナ王国とイグレシアス王国のちょうど国境付近で、兵士達に警護されながら一台の豪華な馬車が走っていた。
両国による戦争はひと月前、イグレシアス王国の勝利をもって終結した。
この馬車に乗る、ガルトラーナ王国第二王女エレノア・ミュール・ガルトラーナは、戦勝国であるイグレシアス王国の第一王子のもとへ、和平を結ぶために嫁ぐ道中なのである。
馬車の中はいたって静かであった。
「エレノア様、緊張しているのですか。」
エレノアの向かいに座る侍女が静かに、俯く王女に尋ねた。
ハッとして顔をあげたエレノアは、膝に置いていた両手が白くなっているのに気づいた。
知らずのうちにきつく握りしめていたらしい。
「リタ、大丈夫よ。」
エレノアはリタと呼ばれた侍女に小さく微笑みかけ、窓の外に目をやる。
「……でも、覚悟はできていたはずなのにね…」
つい、溜息とともにエレノアの小さな口から弱音が漏れ出る。
「イグレシアスの王子殿下は聡明な御方だと、聞き存じておりますが……」
「眉目秀麗、文武両道。優れた政策を建て、戦場においては冷静であり、かつ鬼の如き強さを誇る『冷鬼の将軍』だとも聞いてるわ。そんな御方が和平を破るような真似はなさらないとは思うけど……」
戦勝国に嫁ぐ敵国の王女の待遇は良くはないだろう。もちろん、侍女もである。想像に難くない。
だが、リタもそのことを承知のうえ、家の反対を押し切ってまでついて来てくれているのだ。
「大丈夫よ。政略結婚の道は十一の頃から分かっていたもの。」
エレノアは自分自身に言い聞かせるように言い切り、リタに笑顔を向けた。
「……もうすぐ国境を越えます。」
「そう……いよいよね。」
《そうよ。何てことはないわ。……死ぬ場所が少しだけ変わっただけ。》
イグレシアス王国に入りました。
次回、婚約者登場。