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第6話 ★ 俺と生徒会強制勧誘 ★

koimayuです。


どなたか、時間が経過していることを表す『ダッシュ』の打ち方を知っていましたら教えてください。


お手数ですが、誤字脱字があればご指摘ください。


また作品をよりよくするため、評価および感想をいただければと思います。









「おい、彰人。何で嫌がるんだよ?」


始業式が終わり、教室へ帰ってきて竜也が最初に口にしたのはそれだった。


「そうよ。お姉様に選んでもらえるなんて幸せよ」


クラスのやつは皆、俺が姫の生徒会勧誘を拒むことを不思議に思っていた。


はぁ、どこがいいんだよ。


思わずため息をついてしまう。


あの真由美が動かしている組織せいとかいだぞ!?








ー始業式終了間際ー


誰かを探すように眺めていた姫の視線はボーッと壇上を眺めていた俺の視線と合致した。


俺は直感でマズいと判断する。


目をキラッキラッて輝かせて、満面の笑みである。


まるで子供がお気に入りのおもちゃを見つけたかのように。


俺の直感はほぼ間違いない。


だから逃げよう、と考えても事実だとしても逃げるすべはなく。


「今日から彰人を生徒会に入れることにしました」


姫は堂々と生徒たちの前で宣言する。


致命的なミスを犯して。


俺はめちゃくちゃ恥ずかしくなる。


「え、彰人?それって誰?」


「あの学生の内では絶対に恋人を作らないと噂されていた姫からいきなり男子の下の名前!?」


などと興奮気味に騒いでいる。


これが主に俺のクラス以外の反応。


ではそっちはというと……。


「おい、どういうことだ!!なぜお前が呼ばれる!!」


「どういう知り合いだ!?」


「お姉様とどういう関係なの!?」


というふうに俺は質問攻めにされていた。


俺は大きなため息をつく。


マジで面倒なことになった。


で、騒ぎを起こすきっかけを作った本人は動揺してる、わけがなく。


「あ、失礼しました。二年C組の奥野おくの 彰人あきとを生徒会役員にすることを決定しました。これは校長以下先生方の同意も得ています」


まさに用意周到としか言い様がない。


だが、俺としては入る気はサラサラない。


あの姫に対抗するすべはもはや一つしかない。


俺はその場で立ち上がる。


「九条生徒会長」


俺は淡々と壇上に呼びかける。


「何でしょうか」


姫も淡々と応える。


「俺は生徒会役員になる気はありません。勝手に決めるのはやめていただけませんか?」


そう、俺は大衆の前で理不尽な決定を明らかにすれば生徒たちの心情をバックに覆すことも可能だと考えていた、のだが現実はまったくもって違っていた。


「姫の誘いを断るだと!!」


「私だって、お姉さまに呼ばれたいのに!!」


と結果的に姫の行動に賛同するかのように生徒たちは騒ぎ出す。


最後の頼みの綱であるアンチ姫の生徒たちも別に反応していない。


……完全に失敗だな。


そう思いながら壇上に視線を戻すと姫は先ほどの顔とは違う意味で笑っていた。


その顔は、勝ったと宣言していた。


俺は向かっ腹が立つが事実そのとおりなわけだ。


しかし姫は先ほども言ったとおり用意周到。


さらに俺を追い詰めることをする。


「奥野さんの言うことはわかりました。では、放課後に生徒会に来てください。そこで話し合いましょう」


と姫は言う。


これは実に最高で最悪の返答である。


これでまず俺が生徒会に出頭することが必須となる。


さらに自分ひめが少し強引だったというふうに言ったことにより、優しい人だ的な賛同が得られて支持する生徒がさらに増える。


すべてを自分の利益ものにする、いつか真由美はそんなことを言っていたな。


もはや俺に対抗手段は存在しなかった。


「わかりました」


俺はそう言って腰を下ろした。


ということがあった。








それから放課後までの授業で、俺は必死に姫の勧誘を振り切る口実を考えていたのだが。


キーン、コーン、カーン、コーン


いつの間にか最後のHRホームルームが終わるチャイムが鳴ってしまう。


つまり姫のもとに姿を現さなければならない時が来てしまったのだ。


数時間の内にいくつか口実は思いついたが、姫に理論的な面で勝てるとは思えなかった。


で、暢気な隣の竜也は


「じゃあ、これから職員室行ってくるわ」


と言ってポンと背中を叩いてくる。


ついでに、


「ちゃんと入って来るんだぞ、生徒会に」


と言い残していった。


自分のことをもっと心配しろよ、と俺は思うのだった。








俺は生徒会、今は『ひめ』の札が掛かっているドアの前に立つ。


ってもちろんこれはおかしいのだが。


そこには本来『生徒会』の札が掛かっていたはずなのだが。


いつのまにか、誰かがすり替えていた。


もっとも姫の行動力は高いそうで、誰も咎められなかったらしい。


コンコンコンコン。


「失礼します」


俺は通称、姫の間に足を踏み入れた。


その瞬間やはり、薔薇のイメージが脳内に侵入してくる。


姫は如何にも漫画に描かれている生徒会長のように優雅に紅茶を啜っている。


「来たわね、フフフ……」


姫は満面の笑みで俺を見てくる。


普通のやつならイチコロかもしれないが、残念ながら俺は幼い頃からの耐性で効き目がない。


「あら~、ということはこの子が真由美の言っていた彰人くんかしら♪」


部屋にはど真ん中に縦に長い机が置かれている。


姫はその正面、つまり今俺が立っている場所からちょうど部屋の反対側にいる。


声の主はその姫の左斜め前に座っている黒のロングヘアーの先輩。


右手の人差し指を口に持っていているその姿と印象的な声によって蠱惑こわく的な雰囲気が醸し出されている。


「そうよ、結構イイ線いってるでしょ?」


「うふふ、そうね。姫のはつこ、モゴモゴ……」


「(その先言ったら殺す)」


何か、急に席を立ったかと思うと姫はその人の口を塞いでいる。


で、耳打ちしているようなのだが……?


「じゃあ、生徒会委員の紹介をするわね。」


まずは例の黒のロングヘアーの先輩。


「この子は三島みしま 沙耶さや。役職は副会長」


紹介されると同時に沙耶さんは俺に抱きついてくる。


俺より身長が低い沙耶さんはそのまま倒れこむように俺の首に手を回して抱きついてきた。


「よろしくね。(もしも、寂しくなったらいつでもお姉さんの所にきてもいいわよ。フフフ、夜でもね)」


沙耶さんは俺の耳元に口を近づけて言ってくる。


(何か、声が色気たっぷり。これはヤバい)


俺はその色気が危険だと判断して咄嗟に後方に避ける。


「あら~、嫌われしまいましたわ~♪」


沙耶さんは黒髪を靡かせながら、クルッと反転して元の位置に戻った。


そこには姫がいたのだが。


「(沙耶、本当に次いらないことやったら潰すわよ)」


「(怖いですわ~)」


彰人にはわからない女同士の怖い怖いバトルがありました。


「次は書記の上条かみじょう はるか


「よろしくね、彰人くん。わからないことがあったら聞いてね」


そう言って、手を差し出してくる。この中で一番まともに見える。


勤勉型というか、慎ましいという感じ?


「会計の六十谷むそた 美鈴みれい。彰人と同じ学年だったわね」


「……(コクッ)……」


挨拶は一番地味で、会釈しただけだった。


そのまま美鈴は手元の資料に視線を戻したのだが、後ろから気配を消して忍び寄る者あり。


「ーーひぁっ!?」


美鈴が悲鳴を上げた。


「う~ん、今日はピンクなのね」


姫が笑う。


美鈴は捲り上げられたスカートを抑えて、顔を赤らめている。


で、それを俺はノーカットで見てしまっていたわけだ。


「……変態」


美鈴がこっちを恨めしそうに睨んでくる。


俺も被害者なのに、とはとても言えそうにない。


「これで紹介は終わり。で、彰人には会計をやってもらうわね!!」


「嫌です!!」・「ちょっと待て!!」


美鈴と俺が喋ったのはちょうど同じタイミングだった。


「何で変態と仕事をしないといけないんですか」


「待て、俺は変態じゃないぞ」「人が胸を揉まれていたのを凝視していたくせに(ポッ)」


顔を赤くしながら抗議する美鈴。


(恥ずかしいなら言わなかったらいいのに)


女心をわかっていない彰人である。


「それより、俺は生徒会に入るつもりはないぞ」


俺は生徒会入りをきっぱりと断るつもりだった。


「あら~、かわいい子がそろってるのに。残念ですわ~」


沙耶さん、自分のことも「かわいい子」に分類してる!?


確かにかわいいかもしれないが、それよりも「きれいなお姉さん」的な言葉の方が似合う。

「(・・・・・・よかった。変態と一緒にならなくて)」


(あのー、美鈴さん。わざとですよね!?)


美鈴はボソボソと俺にだけ聴こえる声で呟いた。


「え、彰人入ってくれないの?」


姫がウルウルと瞳に涙を溜めている。


誰がどう見ても嘘泣きである。


俺が姫を嫌う理由の一つ目がこれである。


「何で俺が入る必要があんだよ?第一、同学年を誘えばいいじゃないか。それにこっちも忙しいんだ」

もっともな発言をする。


普通の人ならここで引き下がるのだが……そうもいかないのが姫である。


「はぁー」


姫スマイルがため息と共に消える。


これは俺が嫌う理由の二つ目が発動する。


俺は身構えた。


「なら、この写真を学内ネットに流そうかしら?」


そう言って俺のところに来て、スマホの画面を見せてくる。


そこには俺たちが少々エロい雑誌を読んでいる姿が写っていた。


それは先ほど始業式の前、教室で俺が竜也のエロ本を覗いていた時の写真だった。


俺はふとあることを思い出す。


エロ本を覗いた瞬間、キラリと視界の隅に光が見えたことを。


もしかして……ではなく明らかに盗撮だった。


「彰人が入らないって言うなら、うっかりするかもしれないわよ」


俺が姫を嫌う理由の二つ目。


自分の思い通りにならなければ、無理やりにでもそうさせる。


「俺には退路がないんだろ」


半ば諦めモードになる。


もっともそのエロ本を見ていたのはほんの一瞬だけだった。


竜也に「良い女が写ってるぜ」と言って見せられたのを見ただけなのだ。


もっとも物的証拠に対して言い訳は通じないわけだが……。


「フフフ、歓迎するわ。生徒会へようこそ、彰人」


可憐な笑みで姫はそう言った。






・・・・・・姫は恐ろしい。






第6話は第5話までと比べて断然長いものになってしまいました。


予定ではまた前編・後編にわけて投稿する予定でしたが、ちょうど良いところがなく、こうなってしまいました。


また、更新時間は決まっていませんのでブックマーク登録をお勧めします。


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