第4話 ★ 俺と悪夢の一時間 ★ 前編
皆さん、こんばんわ。
ん、お昼に読まれている方もいるから違うかな(笑)
さて今日から始まる「俺と悪夢の一時間」は旧作の「俺と最悪の始業式」に当たりますが、
内容が少し変化しています。
より面白く感じていただけ、また次は何が起こるのかと思っていただける、そんなことを考えてたくさん変更しています。
少し長くなりました。
それではお楽しみください。
第4話 ★ 俺と悪夢の一時間 ★ 前編
「ところで、アーキトクン」
下駄箱で靴からスリッパに履き替えていると芽衣が話しかけてくるが、その声はなぜかいつもより固い。
「どうした?」
「さっきのことなんだけどさ」
「?」
さっきのこと、さっきのこと……わからん。
「朝会ったとき、私の胸見たでしょ」
思い出した。
ちょうど芽衣が膝に手を置き、息を切らせているとき俺はわざとしゃがんでいたのだ。
当然、その先には白い肌が見えていて……バチン。
「エッチ、バカ、変態。もう知らない!!」
芽衣は見事に俺の頬いっぱいに紅葉マークを残して、走っていった。
ちょい、やりすぎた。
俺は僅かに反省した。
何で僅かって?
誘惑させるようなかわいさを持っている方が悪い。
で、俺は自分の教室に入って席に着くと
「よ、今日は夫婦喧嘩か」
「「ちがうわ(よ)」」
と主に男子からからかわれる。
クラスのやつらは俺と芽衣が幼馴染ということを知っている。
そして、俺が基本芽衣と(美優もだが)一緒に登校しているのも知っている。
だから俺のことを男子どもは妬んでいるのだ。
で、からかわれたもう一人の当事者はもう完全に熟したリンゴと化している。
あ、言い忘れたが俺と芽衣は同じクラスで、さらには席は俺が前で芽衣が後ろだ。
それも男子が妬む一つの理由なのだ。
何と言っても芽衣のスタイルは抜群。
それに胸も……ガツン。
そんなことを考えていると、頭の上に一発喰らう。
振り返ると芽衣が右手に丸めたノートを持って仁王立ちになっている。
「このバカ彰人。またしょうもないこと考えてるでしょ」
よくわかっている、この幼馴染は。
俺の様子から何を考えていたか理解したらしい。
しかしもうそろそろ怒りを解いてもらわないと授業中に後ろからありとあらゆる攻撃をされたら敵わな
い。
「ああそうだ。考えてるぞ、何か悪いか?」
俺はわざと開き直る。
「悪いに決まってるでしょ。バカが伝染る」
相当酷いことを言われている。
なら対等にのダメージをおってもらおうっと、俺悪いやつ。
「しゃーねーじゃん。お前がかわいいなって考えてたら止まらなくなるんだよ」
「なっ……」
予想通り、芽衣は口をパクパクさせて何も言えなくなっている、と思ったけど。
「あんたなんかに言われても嬉しくないわよ!!」
と言いながらプイッとそっぽを向く。
照れ隠しを出来ていない芽衣だった。
「勘弁してくれよ。朝からピンクの世界を見るのは嫌だぜ」
これは右隣の竜也。
「ま、まあ悪いな」
俺としても迷惑かけたから素直に謝らないとな……ん、ちょっと待てよ、コイツそんなキャラだっけ?
「嫌なんだよ、俺が作る以外のピンク色を見るのは!!」
うん、いつもの竜也です。
竜也は俺が高校に入って初めに出来た友達なのだが、たまに選ぶやつを間違えたのではないかと心配に
なるときがある。
何と言っても竜也の頭の中身はエロで出来ている。
その証拠に今日もエロ本を持ってきている。
「おい、竜也。お前また持ってきたのかよ」
「ああ。今日はこいつだぜ」
と言って堂々と見せてくる。
あんまり興味はないんだが、誰が載っているのかと興味本位で覗くとどうでもいいブスだった。
「貧乳じゃん」
胸はそんなに大きくなかった。
「き、貴様貧乳の良いところを理解していないな。貧乳はな……」
竜也が語りだせば長い。
スピーチをOFFにするボタンがないので無視するに限る。
それにしても、さっき覗いた時に微かに視界の端にキラリと光るものが見えた気がしたんだが……気の
せいか。
そんなこんなしているうちに始業のベルが鳴る。
同時に教室の前の扉が外に向かって開かれる。
扉は今時では珍しい縦に開くようになっている。
で、そこに現れたのは一匹の黒猫である。
見た目はとてもかわいい。
だが、この黒猫ありえない能力を持っていて
「望は寝坊している。よって我輩が先に来た。廊下へ整列せよ」
喋れるのだ。
望とは俺のクラスの担任の名前だ。
「望ちゃん、先生として大丈夫かよ」
竜也が突っ込む。
「にゃーにゃー騒ぐな、小猫ども。さっさと並ばんか」
いろいろ突っ込みたいところはあるが、みんなはぺちゃくちゃ喋りながら廊下に出る。
「ところで河内、お前あとで職員室へ招待だ。忘れんなよ」
黒猫は小爆弾を落としてニャーニャー言いながら出て行った。
竜也が俺の方を見てくる。
目が、やっぱあれかな?と問いかけてくる。
俺は縦に頷く。
エロ本しかない。
何と言っても今日は始業式。
学校の敷地内に入って僅かに一時間も経過していないのだから。
その場に崩れ落ちる竜也を放って俺は出て行った。
それにしても思うのだが、過去に何度もやってるからもう懲りたらいいのにと。
どうせ職員室でみっちり説教を受けた後、指導室に連れて行かれるのだから。
そこには、あの校長がいるのに……。
……竜也はアホだ。
いかがでしたでしょうか。
もうおわかりになられている方も多いと思いますが、旧作とは彰人の性格を少し変えて、竜也の性格はさらに悪化させました。
というのも第5話、第6話でより楽しんでいただくのはこれが良いと判断したからです。
次回、第6話「★ 俺と悪夢の一時間 ★ 後編」 お楽しみに!!
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