第14話 ★ それは突然に!? ★ ②
koimayuです。
皆様、長らく更新をできなくて申し訳ありませんでした。
第14話は「それは突然に!?②」に変更して第13話のタイトルを変更しました。
俺は今、気絶していることに気がついていない。
意識が追いついていないのだ。
夢を見ているような気分でありながら、夢らしき夢は見えなかった。
ただ代わりに桃のような香りが意識内に届くのを感じた。
脳が上手く機能していないために動物が共通に持っている本能が働いて、その香りからの刺激をもっと受けようと身体を動かす。
「……ふふふ……」
どこからか微かに女の子の声がしたような気がしたが、俺の本能はそれを無かったものにした。
そうして身体を動かすと、僅かな所でどうしても突破することのできない見えない壁に進行を妨げられる。
何度もその向こう側に行こうとした。
「……あき……だいた……わ~」
その声が聞こえたとき、俺の脳が再起動をして意識が現状を理解しようとし始める。
確か沙耶さんに呼ばれて『憩いの間』に行って、それでプリントを取って、そしたらプリントやら棚なんかが落ちたり倒れてきたりして、それで俺は沙耶さんを庇って、それで、それで……!?
「沙耶さん!!」
おそらくは庇えたはずの先輩の名前を呼ぶ。
意識はしっかりしているのに視界は暗くて今の状況がわからない。
唯一わかるのは今俺は何かとても柔らかい枕のようなものに頭を乗せて横たわっていることだけだ。
「目が覚めてよかったですわ~」
前の方から聞こえると思っていた沙耶さんの声は予想に反して上、つまり天井の方から聞こえた。
おそらくさっきの衝撃のせいなのだろうが身体はそこそこ痛む。
何とか仰向けになろうとすると、俺の頭の下の枕のようなものが跳ねた。
そろそろこの暗さに慣れてきた目を凝らすと、目の前に俺の学園の校旗に描かれている蓮の花のボタンが見えた。
蓮の花が描かれているボタンを着けた服を着ているのは女子である。
少し視界を動かすとくびれた……腰!?
それで気が付いた。
今どういう状況にあって、俺の頭の下の柔らかい物は何かを。
俺は今、沙耶さんに膝枕をされている!!
あの桃の香りは沙耶さんの服からしたものだったのだ。
暗さに慣れた視界に写る沙耶さんの顔は微笑んでいた。
それがどういう微笑みなのかわからない俺は、とのかく早く起きないとと思った。
「す、すみません。沙耶さん」
必死に冷静を装って謝りながら起き上がろうとする。
だが、なぜか沙耶さんはそれを止めにくる。
「あのー、沙耶さん?」
「もう少しこのままでいてくれないかしら?」
沙耶さんは思わずゾッとしてしまいそうな色っぽい表情をしていた。
俺の頭を戻した沙耶さんのスラリとした手はそれほど力がないはずなのだが、その大人の女性の表情を見せられたとき俺は頭を上げる力はどこかに消えてしまっていた。
「沙耶さん」
それからどれくらい時間が経ったのだろうか。
俺には半時間は経過しているように思えたが、あいかわらず俺は膝枕の状態にあった。
沙耶さんは母親が小さな子供にするであろう愛撫を俺の額の辺りにしていた。
それもさすがに限度が来ていた。
怒っているのか、だって!?
違う。
恥ずかしさで理性が吹っ飛びそうになってきていたので、早く退散するべきだと思ったのだ。
真由美の声が聞こえたのはまさにそのときだった。
「沙耶ー、いないのー?」
こんなシーンを真由美はどう思うだろうか。
真由美の声が聞こえたからか沙耶さんが額から手を離したその隙に、俺は急いで身体を起こして立ち上がる。
そして、平然と真由美に見られても不思議に思われないように冷静を意識して『憩いの間』から出ようとすると、突然沙耶さんが横からふわっと跳んできた。
俺はえっ、と思いながらも身体を90°反転させて沙耶さんの方を向いたらーー
「沙耶ー、いるの?(ガチャ)・・・・・・~~!!」
真由美と目、だけが合って俺は悲鳴を上げたが、音として口から出ることはなかった。
声の出口を塞がれていたのだ・・・・・・沙耶さんの唇によって。
……沙耶さん、いつものお淑やかさはどこへ。
第15話以降のあらすじ
突然、沙耶にキスされたことに腰が抜けるほど驚く彰人。
だが、それを目撃した真由美は怒りを爆発させる。
さらにそこに芽衣が加わって、もはや『姫の間』は大混乱!?
〈終〉
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次話投稿は7月12日午後12時までを予定しています。




