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[悲報] 魔法使いを目指す俺、ツッコミ役に就任しました  作者: テラトンパンチ


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学年代表戦1

――学年代表戦・第一試合。


静まり返った闘技場。

中央に立つ二人の代表。


ユウトは、いつも通り構えていた。

対する北方霊術学園の代表は――


微動だにしない。


「……え?」


開始の合図が鳴っても、動かない。


「開始しましたよ?」


審判が確認する。


北方代表は、ゆっくりと頷いた。


「はい。開始しています」


「いや、動いてください」


「動いています」


「動いてませんよね?」


「精神的には」


一瞬の沈黙。


「……開始続行!」



五分経過。

ユウトが一歩踏み出す。


北方代表は――

三重防御結界を展開。


「うわっ、硬っ!」


攻撃が、完全に弾かれる。


「防御特化か」


セリナが観客席で腕を組む。


「いや、特化しすぎ」


リアが呆れ顔で言う。



十分経過。

ユウトが距離を詰める。

北方代表、後退。


「逃げてる?」


「戦術です」


北方代表は即答した。


「攻めないの?」


「攻める必要がありません」


「……は?」



二十分経過。

闘技場に、奇妙な空気が漂い始める。


攻撃 → 防がれる

接近 → 離れられる

挑発 → 無反応


「……」


観客席がざわつく。


「これ、いつ終わるの?」


「戦ってる……よね?」


ミアが不安そうに呟く。



三十分経過。

審判が汗を拭う。


「……北方代表、攻撃の意思は?」


「あります」


「ではなぜ攻撃しないのですか?」


「今は、その時ではないので」


「いつですか?」


「未定です」


「……」



四十分経過。

相手校の控室。


「……なぁ」


「これ、修行?」


「いや、拷問だろ」


「帰りたい……」


精神的HPが、削れていく。



五十分経過。

相手校代表が、ふらついた。


「……もう、いい」


「棄権します」


会場が、どよめく。


「ええええええ!?」


審判が慌てて確認する。


「確認します!

棄権、でよろしいですね!?」


「はい……」


その場に座り込む相手代表。



――結果発表。


「勝者――

ルミナス学園代表!」


歓声……は、まばら。


ユウトは、ぽかんと立っていた。


「……勝った?」


北方代表は、深々と礼をする。


「ありがとうございました」


「いや、あの」


「良い試合でした」


「どこが!?」


北方代表は真顔で言った。


「これが、我々の戦い方です」



観客席。


セリナが額を押さえる。


「……確かに負けてないわ」


リアは笑いを堪えながら言う。


「でもこれ、

“勝ち逃げ”じゃなくて

“耐え逃げ”だよね」


ミアは小さく拍手した。


「……すごい、別の意味で……」



北方代表は、静かに去っていく。


背中が語っていた。


勝たずして、勝つ。


そしてユウトは悟る。


(……他学園、

 本当にヤバいのばっかだな)


学年代表戦は、

まだ始まったばかりだった。

 

控室に戻ったユウトは、椅子に座って天井を見上げていた。


「……勝ったのに、疲れてないのが逆に疲れる」


「分かる」


セリナが即答する。


「何もしてないのに消耗した気分」


リアは対戦表を覗き込みながら言った。


「でも次は逃げ場ないよ」


指先が示す先。


第二試合 勝者

西部戦技学園 vs 中央総合学園

――西部戦技学園 勝利


「……西部」


ミアが小さく息を呑む。


「“壊し屋”のところだよね」


「そう」


リアが頷く。


「尺稼ぎとは真逆」



――闘技場。


二回戦開始前。

会場の空気は、明らかに違っていた。


さっきまでの緩さはない。

観客も、審判も、選手も――

全員が前を見ている。


西部戦技学園の代表が姿を現す。


大柄。

無駄な防具はなし。

拳を鳴らしながら、こちらを見る。


「……来た」


ユウトの背筋が、自然と伸びる。


西部代表は、にやりと笑った。


「さっきの試合、見てたぜ」


「……どうも」


「退屈だったな」


一言で、空気が張り詰める。


「安心しろ」


西部代表は肩を回す。


「今回は、ちゃんと終わらせる」



審判が前に出る。


「これより、

学年代表戦・二回戦を開始します」


開始の合図。


西部代表は――

いきなり踏み込んだ。


「っ!」


風圧が、ユウトの頬を掠める。


「速っ!?」


リアが叫ぶ。


一撃。

重い。

防御が、軋む。


「これが……脳筋……!」


セリナが歯を食いしばる。


「違う」


ミアが言った。


「……ちゃんと考えて殴ってる」



ユウトは距離を取る。


(北方と真逆……)


攻め続ける圧。

考える時間を、与えない。


西部代表は笑っている。


「いいねぇ!」


「逃げるなよ!」


「……逃げてない」


ユウトは、足を止めた。


「溜めてる」


一瞬。


魔力が、収束する。


観客席がざわめく。


「出るぞ……」


二回戦は、

真正面からの殴り合いになる。


逃げも、時間稼ぎも、通用しない。


ここから先は――

本気の学年代表戦。



次回予告


激突する、二回戦。

西部戦技学園――

通称、殺し屋集団。


圧倒的な近接戦。

一切の無駄がない動き。

刻一刻と削られる体力。


――その時。


ピピピピッ。


場違いな電子音が、闘技場に響いた。


「……あ」


西部代表が動きを止める。


「プロテインの時間だ」


「は?」


審判も、観客も、完全にフリーズ。


「五分休憩を要求する」


「いや、試合中です!」


「我々は時間に厳しい」


真顔で言い切る。


しかし、ここで致命的な事実が発覚する。


「……しまった」


「試合中だから、持ってきていない」


ざわつく会場。


数秒後。


「……腕が、重い」


「集中力が……」


「禁断症状が……!」


完璧だった動きが、

徐々におかしくなっていく。


――殺し屋、

プロテイン切れ。


次回、

「時間厳守(※栄養)」


学年代表戦、

まさかの栄養管理バトルへ。


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