模擬戦
翌日、霧島ユウトが教室に入ると、すでに模擬戦の準備が整っていた。
「今日は模擬戦だ――防御、攻撃、応用、全部試すぞ」
教師の声にクラス全員がざわめく。ユウトは机に杖を置き、深呼吸する。
(昼休み地獄よりは……マシなはずだ。多分)
隣を見ると、ミアが弾ける笑顔でこちらを見つめていた。
「霧島くん、一緒のチームで戦おうよ!」
「いや、無理だって! 昨日の昼休み以上に暴走するだろ!」
「暴走じゃない! ちゃんと魔力の流れをコントロールしてるんだから!」
ルナは壁際から挑発的に微笑む。
「霧島くん、私とペアで戦ったら面白そうね」
「面白くねぇ! そもそも勝つ気あるのか?」
セリナは慎重に杖を握るが、机の角に足を引っかけてよろめく。
「セリナ! 魔力より足元を気にしろ!」
「……す、すみませんっ」
フィオナはのんびり手をかざし、微妙に空気を整える。
「……ちょっとだけ、流れを変えます~」
さすがにこの面子で平和に模擬戦をするのは、ほぼ不可能に近かった。
教師が説明を始める。
「今日の模擬戦はペア戦。攻撃、防御、補助の魔法を組み合わせて相手チームを制圧すること」
ユウトはペアを考え、ヒロインたちと作戦を練ろうとするが、個性全開のため作戦会議は即座に混乱する。
「霧島くん、私は前に出る! 光の玉で攻撃するね!」
「いや、前出すぎだ! 防御の間がないだろ!」
「私は横から幻影で攪乱するわ」
「え、横から!? 幻影って補助じゃなくて攻撃じゃねぇか!」
「私は支援魔法でユウトを守ります」
「支援はありがたいけど、君も机に気を付けろ!」
「……ちょっとだけ、流れを整えます~」
(微妙な魔力で補助か……いや、魔法の暴走に巻き込まれそうだ)
教師の号令で、教室の空間に魔力の光が飛び交う。
「開始!」
ミアの光の玉がユウトの前に飛び、横からルナの幻影が絡む。
セリナの補助魔法が加わり、フィオナが微妙に場を整える。
「ちょ、ちょっと待て! 攻撃と補助が同時に来すぎだ!」
「ふふ、楽しい~」
「暴走するな!」
ユウトは箸の昼休み地獄で鍛えたツッコミ力をフル稼働させ、魔法を制御する。
光の玉、幻影、支援魔法、微妙な空気調整――戦場はカオスだが、ユウトの指示がないとヒロインたちはまともに戦えない。
ミアが思い切り攻撃を放ち、ルナの幻影が混線する。
ユウトは防御魔法で耐えつつ、セリナに指示。
「セリナ、右側を守れ! フィオナ、空気の流れを読んで!」
フィオナは微笑みながら魔力を微調整し、奇跡的に光の玉が壁に当たるのを防ぐ。
ユウトの必死の指示で、クラスの模擬戦はなんとか成立する。
戦いが終わるころには全員が息を切らし、笑顔で教室に座っていた。
「霧島くん、すごかったね! 本当に指示通り動けるんだ」
「ふふ、楽しかったわね」
「……私も、ちゃんと役に立てたかな」
「……ちょっとだけ、流れを整えられたかな~」
ユウトは深呼吸する。
(昼休み地獄、初授業、そして模擬戦……
このクラス、俺のツッコミなしでは回らないな)
⸻
模擬戦が終わり、教室にはまだ魔力の余韻が残っていた。
光の玉や幻影の跡、微妙に揺れる空気。
霧島ユウトは杖を机に置き、息を整える。
(……やっと落ち着けるか)
と思ったのも束の間。
「霧島くん、見て見て! 私の光の玉、最後にちょっと跳ねたの!」
「ちょっとってレベルじゃねぇ! 床に当たるかと思ったぞ!」
ミアは弾ける笑顔で、まだ興奮冷めやらぬ様子。
昨日の昼休み、今日の模擬戦と、常に全力だ。
ユウトのツッコミも、もうフル稼働状態。
「で、次どうするんだ? まだ戦うのか?」
「えー、まだ遊ぶ~! 霧島くんもやろうよ!」
「いや、俺はもう休憩したい!」
ルナはにやりと笑い、ユウトの肩に軽く肘を置く。
「霧島くん、戦いの後は反応が面白いわね」
「面白くねぇ! 俺の心臓に悪いんだ!」
セリナは汗を拭いながら、静かに呟く。
「……私も、もっと上手くできたら良かったのに」
「いや、充分だ! 机にぶつからなければな!」
「……すみませんっ」
フィオナはのんびり微笑み、机の上で手をかざす。
空気がほんの少し揺れて、残りの魔力を整える。
「……ちょっとだけ、整えます~」
「その『ちょっとだけ』が結構効くんだよな……!」
⸻
教室には戦いの疲労と笑いが入り混じる。
ユウトは杖を背中に立て、深呼吸しながら考える。
(昼休み地獄→初授業→模擬戦……
このクラス、本当にツッコミなしでは生き残れないな)
ミアが突然、ユウトの前に飛び出してくる。
「ねえ霧島くん、次はもっと強い光の玉を作ろうよ!」
「いや、俺の魔力も限界だ! 休憩だってば!」
「でも練習すれば上手くなるじゃん!」
「いや、昨日も今日もフル稼働だろ!」
ルナが肩越しに笑う。
「ふふ、霧島くんの叫び声も面白いわね~」
「面白くねぇ! 叫ぶな!」
セリナがちょっと困った顔で、机を片付けながら呟く。
「……私ももっと、支援役に徹した方がよかったのかな」
「いや、充分だ! 事故も含めて面白いんだからな!」
フィオナは微笑んで、教室の魔力を整える。
「……ちょっとだけ~」
「……その『ちょっとだけ』で何度救われたことか!」
⸻
授業後の教室は、戦場だった模擬戦の名残で散らかっている。
魔力の痕跡、微妙にずれた机、倒れそうな椅子。
「……掃除は俺の仕事か?」
「ふふ、霧島くん、楽しそう~」
「楽しくねぇ! 俺はツッコミ役で疲れてるんだ!」
しかし、その中にも少しずつ、友情の芽生えが見える。
ミアの笑顔、ルナの挑発、セリナの努力、フィオナの微妙な魔力操作――
どれも、ユウトのツッコミを通じて少しずつまとまっていく。
(……このクラス、面白くなるな)
次の日も、きっとまた騒がしい学園生活が待っている。
弁当争奪戦、初授業、模擬戦――
そしてその先に、もっと予想外の事件が……。
模擬戦を無事(?)乗り越えた霧島ユウト。
光の玉、幻影、補助魔法……
あらゆる混乱の中で、クラスの秩序を守るツッコミ力をフル稼働させた。
しかし、学園生活はまだまだ落ち着かない。
放課後、教室や廊下でちょっとした小事件が勃発――
•弁当争奪戦の余波? 新たな騒動
•ヒロインたちの個性全開、珍事件連発
•ツッコミ役ユウト、再び大活躍
「平穏な学園生活なんて、幻想だったんだな…」
笑いとトラブル、魔法とドタバタ。
ユウトのツッコミ力が再び試される――
次回、放課後ギャグ&ラブコメ爆発回!
学園生活の面白さ、ここに極まれり!




